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53話 精霊樹の里防衛戦⑨

  ◆◆◆エスリナside◆◆◆

私が走り出すと同時にフリードも走り出し、両者の距離が急速に縮まる。

フリードは騎士剣を振りかぶると、自分の周りを半円状に振り抜いた!


その斬撃により中小多数の飛礫(つぶて)が私に向かって来たが、大きく跳んで躱し、一回転してフリードの背後に着地した。

振り向き様に十文字に斬りつけ、前に出て(かわ)そうとしたフリードの背にかなりの傷を負わせる。


「グッ…サスガダ…」苦鳴を噛み殺し、振り向きの勢いで袈裟懸(けさが)けに斬りつけてくる。

それをギリギリで躱し、闇属性付与の効果による脱力を(こら)えながらショートソードの方で左胸を突き刺さした!


尚も剣で斬りつけようとするフリードだが、力が抜けたのか剣を取り落とし、そのまま倒れる。

「見事ダ…貴女ノ様ナ強者ト戦エタ事ヲ嬉シク思ウ…」

傷口から闇が急速に抜けていき、気配も薄れていく中、私を見てそう言った。

「…何か言い残す事がある?」

私がそう問いかけると、

「私ノ胴ノ中ニ、魔法袋ガ入ッテイル…中ノ物ヲ、良ケレバ使ッテクレ…」

頷くと、フリードはそれきり動くのを止めた。


少し瞑目し周りを見渡すと、スケルトンナイト達も全て倒され、戦場では戦線の押し上げが始まっていた。

直卒部隊をまとめ点呼を取ると、手傷を負った者は多かったが、重傷を負った者はいないとの事だった。

(死者が出なかったのは、やっぱり防具のおかげよね…この防具じゃ無ければ私も片腕くらい多分やられていたわ)


飛礫の細かい傷や闇属性による脱力感はあるが、まだ十分に戦える事を確認し押し上げに参加するべく前進を命令しようとすると、丁度そこにフレデリック様がやって来られた。

彼は私達を一瞥すると、左手を軽く上に向けそこに魔法陣が出現した。


すると、私達の傷が全て治り、私の脱力感も治まる。

「私の所に来たデュラハン達はただの屑共だったが、こちらは強かった様だな」

「回復ありがとうございます。そうですね、この防具が無ければ何人かやられていたでしょう」

「そうか、役に立っている様で何よりだ」


私は周囲に目を向け、

「それで、戦線の押し上げが始まっているようですが」

と訊くと、

「うむ、敵を4割近く削ったので、こちらの後ろ半分を左右に展開して半包囲攻撃に移行している」

やはりそういう事だった。


「では私達も参加しましょう」

「少し待ってくれ。敵本陣の動きが少し気になるのでな…」

フレデリック様は敵本陣の方に向き直り、少しすると敵本陣上空に巨大な魔法陣が浮かび上がった。

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