32話 エンブレム
中の物を全て出し終えた鉄の箱を回収し、同じ大きさの鉄の箱を再び取り出した。
最初のもので前衛用の近衛服以外は全て揃ったので、この後は前衛用の近衛服しか入っていない。
軽鎧となっているので少々嵩張る箱から次々と取り出しながら、その中でサイロスが左肩のエンブレムを指し示し
「フレデリック様、こちらのエンブレムは全ての服に付いている様ですが、貴国の国章とかでしょうか?」
「その通りだ。ただそのエンブレムは《回復師の腕輪》の【ヒール・エリア】の対象になる様に目印の役割があるから、布で覆って隠すとかして取り外さないように注意してくれ」
「分かりました、皆に伝えます(部下に目配せをした)。…鳥の様な翼が交差している上に真ん中に薙刀?と右下と左下から剣が出てこれも交差してますね」
「薙刀、みたいなのはグレイブと言って姉上が使っている武器だな。右下からのが私の武器で、左下からのが弟の武器になる。ちなみに弟の武器はロングソード状だから少し短いだろう?」
「なるほど、フレデリック様と御姉弟様の武器が意匠となっているのですね。お教えいただきありがとうございます」
微笑んで一礼したサイロスに続いてエスリナが、
「防具は同じ一部の箇所が赤か青か白になっていますが、これも何か意味があるのですか?」
そう訊いてきたので、
「近衛は3個連隊(約9000)で編成されているのだが、三姉弟に1個連隊ずつという割り振りで姉上の連隊が白、私の連隊が赤、弟の連隊が青が隊の色となっている」
特に軍機に触れる訳ではないので普通に説明した。
「そうなのですか(近衛だけで1万近いとは、やはり相当大きな国のようですね)、近衛になるという事は貴国の民にとって名誉な事なのでしょうね」
「まあ、そうなるかな」
などと話をしていると、ミューリエルが昼食の準備が出来たと呼びに来たのだった。




