3話 状況②
騒めきの収まらない儀式場から人々を解散させ、スーリオンの案内で樹木の家々を左右に見やりながら一際大きい樹に着く。
「こちらがいわゆる庁舎になります。行政に関する事は全てこちらでやっております…この部屋へお入りください」
その部屋はいわゆる会議室のようになっており、上座を勧められて着席した。
部屋にはアリステラ、スーリオン、初老のドワーフと25歳前後に見える猫獣人が入り、エルフの青年が最後に入って扉を閉めた。
「さて、場所を変えさせていただいたのは先程の理由の他に、2年前に西大陸の人間族に手酷く裏切られた関係で人間を快く思わない者達が増えましてな…公の場で謝罪が難しいのですじゃ…」
その話に特にエルフの青年が沈痛な表情を浮かべる。
「なので、改めてエルフ代表の私スーリオン、ドワーフ代表のガルド、獣人代表のエスリナ」
「そして儀式の責任者たる私アリステラが謝罪させていただきます」
全員が深々と頭を下げた。
「…分かった、謝罪を受け入れよう」
(起こってしまった事にいつまでも拘泥しても仕方ないし、そもそもいつでも帰れるからね)
そう思いながら、全員の頭を上げるよう言った。
「それで喚び出しておいて訊くのも本当におかしな話ですが、フレデリック様が居なくなった国は大丈夫なのでしょうか…?」
アリステラが緊張してそう訊いて来たので、
「まあ…姉も弟もいるし、妻も王族としての教育を十分受けているから、当面は問題ないだろう」
と、答えた。
それを聞いたアリステラ達は安堵を浮かべ、
「そ、そうですか…ひとまず安心しました…。
それで、私達に助力していただく事は可能でしょうか…?」
私は一呼吸置き、こう答えた。
「それには条件がある」