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The Voice  作者: 幸-sachi-
The Voice vol.1.5 ~episode H.I.N.A~
23/59

Prologue

主な登場人物(2015年時点)


栗山(くりやま)ひな(19)LOVELESS ボーカル 5オクターブの音域を持つ

赤木圭祐(あかぎけいすけ)(19)LOVELESS ギター

西野弘志(にしのひろし)(19)LOVELESS ベース

郷田勉(ごうだつとむ)(19)LOVELESS ドラム


相沢裕紀(あいざわゆうき)(46)サザンクロス ボーカル ひなの父

栗山(はな)(46)ひなの母


間宮(まみや)トオル(43)ライブハウス「ブラー」オーナー・サザンクロス ギター

相沢ひかり(享年22)その恋人・相沢裕紀の妹

奥田海(おくだかい)(46)サザンクロス ドラム

吉田聡(よしださとし)(44)サザンクロス ベース・音楽事務所「レディオ」エルヴァンのプロデューサー

黒崎沙耶(くろさきさや)(44)音楽事務所「オアシス」ディレクター・元サザンクロス ピアノ


持田瑠衣(もちだるい)(35)エルヴァン ボーカル&ギター

久保隆行(くぼたかゆき)(35)エルヴァン ドラム

藤堂永嗣(とうどうえいじ)(34)エルヴァン ギター

川島薫(かわしまかおる)(32)エルヴァン ベース


石原一成(いしはらかずなり)(19) ボーカル 郷田・西野を裏切り一人プロになった男

斉藤雅弘(さいとうまさひろ)(19)ひなの大阪時代のバンド仲間 ベース

石川茜(いしかわあかね)(19)ひなの大阪時代のバンド仲間 ギター

堀川遥(ほりかわはるか)(18)ひなの大阪時代のバンド仲間で拓也の元クラスメイト ドラム


橘拓也(たちばなたくや)(18)The Voice ボーカル 柴咲西高校3年生 七色の歌声を持つ

2015年2月14日(土) 


栗山(くりやま)ひなは母(はな)と共に墓石の前にいる。このお墓の中にはひなの叔母にあたる人物、相沢(あいざわ)ひかりが眠っている。

「ちょうど命日にお墓参りに来られて良かったわ。」

華はお墓に水をかけながらそう言った。華は大阪生活が長いはずなのに一切関西弁を使わない。生まれてからずっと大阪で育ったひなはもちろん母と同じく神奈川出身の父裕紀(ゆうき)も関西弁を使う。そんな中にいて標準語を使い続けられる事は凄い事だとひなは思っている。

(普通、関西弁になっていくもんやと思うねんけどな…)

「ひかり叔母さんって、いくつの時に亡くなったんやったっけ?」

華は軽く掃除をしながら答えた。

「22歳よ。」

「若いなぁ…」

「そうね…」

「ウチが産まれる前やったんやんな?」

「そうよ。」

「会ってみたかったなぁ。どんな人やったんかなぁ?」

「優しかったし綺麗だった。そして、何より明るい子だった。まるで太陽の光のようにね。」

ひなはお花を供えてから、「その名の通りの人やったんやな。」と言って手を合わせ目を閉じた。横では華が、娘大きくなったでしょう。とひかりに話している。ひなが目を開けると横にいる華がじっとひなの姿を見ていた。

「なに?」

「叔母さんにちゃんとプロのミュージシャンになれる事報告した?」

「もちろん!あと、大学合格した事も両親が離婚した事もちゃんと報告しといたで。」

華は、あいたたたー。と無邪気に笑っていた。

(こうやってオカンがひかり叔母さんのお墓の前で笑えるまでになったのには相当な時間が掛かったはずやし実の妹を亡くしたオトンの方はそれ以上に時間が掛かったはず。そして、恋人だった間宮(まみや)トオルは…もしかしたら今でもひかり叔母さんのお墓の前で笑顔を見せられてへんのかもしれん…)

「じゃあ、そろそろ帰ろっか。」

華がそう言って歩き出した時、ひなはひかりに報告し忘れていた事がある事に気が付いた。

「ちょっと待って。大切な事言い忘れてたわ。」

「なによ?」

「名前。相沢から栗山になったってまだ伝えてへんかった。」

「そんな報告いらないわよ。」

「冗談。間宮トオルの事。」

華は小さな声で、そう。と言ってまたひなが手を合わせる姿をじっと見つめていた。

(間宮トオルの事は…必ずウチらが動かしてみせるからちょっとだけ待っててな。)

わかった。とひかりが答えるかのようにその時やわらかな優しい風がひなにそよいだ。

(ウチらっていう表現をしたんはウチ以外にも間宮トオルを動かせられるかもしれん人物がおるって事やねんで。)

「名前は?」ひかりにそう聞かれた気がした。ひなは手を合わせたままゆっくりと瞼を開けた。

「名前は…橘拓也(たちばなたくや)。」

(内緒やけどな。ウチがプロを目指そうと決めたんはオトンの相沢裕紀の影響じゃなくて、そいつに出会ったからなんやで。)

冬だというのにまたやわらかな優しい風がひなにそよいだ。

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