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たとえ君が学園一の美少女だろうと、俺は君を好きにはならない  作者: 速水 雄二
第3章 霧ノ宮麗香は俯かない。
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東雲零斗と霧ノ宮麗華 終結編②

 あの日から2日が経った。


 土、日曜日を挟んで2日間、私の状況が特に変わることはなかった。


 あの後、あいつらがどうなったのか。


 零斗が言うには、あのビデオが学校の上層部にまわったことで、あいつらの社会的立場・未来・これからあるべき生活の全てが奪われるということだが、にわかには信じがたい。


 ほんとにこの学校が、そんなことをできるのだろうか。


 でも、私にそれを知る由はない。


◆   ◇   ◆


 そして、もう一つ。


 あの日以来、私の心に大きな変化があった。


 『零斗のことが好き』


 あはは、我ながらなんて単純思考。


 それでもやっぱり好きなんだ。


 この気持ちはやっぱり恋なのだろうか。


 したことがない分からない。


 でも不思議と嫌な感じはしない。


    ◇


 メイクをしないで学校に行くのは、いつ以来だろう。

 ……今の私、変じゃないかな。


 化粧っていうのは不思議だ。

 一度染めると、もう戻れなくなってしまう気がする。

 でも今度は自分からメイクを落とした。


 ……嫌われたらどうしよう。

 いや、零斗はそんな薄情な奴じゃない。

 多分。


「おい、霧ノ宮」


 月曜日の朝。

 時間は7時30分。

 私は零斗をいつもの校舎裏に呼び出した。

 ここなら落ち着いて話ができる。

 ここなら邪魔されることはない。


「……突然呼び出して、どうした?」


「あのね、零斗……」


 ダメだ。


 心臓の鼓動がおさまってくれない。


 さっきから緊張して目も合わせられない。


 今日の私はちょっとおかしい。


 零斗と目が合うだけで、緊張しちゃって。


 前までこんなことなかったのに。


 ちゃんと話せていたのに。


 らしくない。


 私がこんなに動揺するなんて。


 ああ。

 零斗が好き。


 でも、

 今のままじゃダメなんだ。


 このままじゃ何も変わらないんだ。


 そう。


 好きだからこそ言うんだ。

 この言葉を。


「……ねぇ、私と別れて」


「そうか」


 あーあ。

 言っちゃった。

 本当に良かったのかな

 いや。


 これが私なりのけじめ。

 これが私のできることなんだ。


「ほんとにいいのか?」


 どうしてそんなこと訊くんだろ。

 そんなこと言われたらとまらなくなっちゃうのに。


「……いい」


 よかった。


 今日の私は正直(うそつき)だ。


 うん。

 これでいいんだ。

 霧ノ宮麗香はこれでいい。


 もう一度友達から始めるんだ。


 そしていつか、零斗に振り向いてもらうんだ。


 これが私のやり方。


 かっこいいじゃん。



 別に今までのことがなくなるわけじゃないんだ。


 だから、

 まだ、大丈夫。


「なぁ、霧ノ宮……」


 なによ……。


 なんなのよ。


「どうして泣いてるんだ……?」


 なにいってんの……?


「なっ……泣いて……ないっ……よぉ」


 なにがまだ大丈夫だ。

 ダメだ。


 最近どうしてか涙腺が弱い。


 でも私は言えた。



 よくやった私。


 


 そして、



 これからもよろしくね。

 零斗。



           霧ノ宮麗香編 (完)

この度は『東雲零斗と霧ノ宮麗華 終結編②』を読んでいただきありがとうございました。

※まだ続きます。

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