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たとえ君が学園一の美少女だろうと、俺は君を好きにはならない  作者: 速水 雄二
第2章 東雲零斗は振り向かない。
10/20

東雲零斗と霧ノ宮麗香 接触編②

※訂正:『彼女』のところを『彼氏』にしてました。申し訳ありません。

「ねぇ零斗。……試しに私と付き合わない?」

「えっ……!!」


 席を立ち上がり、声を上げたのは、俺ではなく椎菜の方だった。

 それより、話聞いてたのかよ。


「あっ、ごめん……ちょっと驚いちゃって」


 そう言うと、彼女は座っていた席に腰をかける。


「なぁ霧ノ宮……」

「ん?」

「……お前、男だったら誰でもいいのか?」


 わざわざ彼氏候補に俺を選ぶほどなんだ。

 俺はこの学園で最底辺に位置しているから俺が食えるなら大抵の男は食えると、そう考えた。

 だが、


「は?そんなわけないじゃん。あんただったら付き合ってもいいかな、って思ったから言ったんじゃん……」

「……?」


 俺にはその言葉が理解できなかった。

 なぜなら彼女は俺と会うたびに、インキャだのぼっちだのと罵っていたからだ。

 加えて言うが、インキャでもなければ、ぼっちでもない。


「私と付き合うなら、週末に料理をご馳走してあげる」

「何度も言うが無理だ……」


 少し魅力的だが。


「……もしかして零斗、清楚系がタイプだった?」

「……しつこい」


 俺は少し強めに言い放つ。


「…………じゃあどうやったら付き合ってくれるの?」


 彼女のその言葉を聞いたとき、ある考えが頭によぎった。

 それは、とても現実的とは思えないが、それでもどこかリアリティーを帯びている可能性で、


「……おい、霧ノ宮。ちょっと来い、」

「え……あっ、ちょっとどこ行くの……?」


 俺は、彼女と二人きりで話をするために、霧ノ宮を、食堂の外に連れ出す。

 そんな、少し異様な様子を幸仁と椎菜は、ただ呆然と眺めていた。



 俺は、霧ノ宮を連れて校舎裏に来ていた。

 この話を他の人に聞かれるわけにはいかないと考えたからだ。

 特に、幸仁に。


「何よ……」


 不機嫌そうな顔で霧ノ宮が俺に尋ねる。

 俺は、彼女のことを呆れたような目で見つめる。


「お前、幸仁と付き合うためにさっきのようなことを言ってないよな……?」


「っ……なわけ……」


 否定しながらも彼女の顔は少し動揺しているようにも見えた。


(やっぱりか……)


 俺は、幸仁のアイドル好きを信じている。

 たとえ、どんな可愛い子に迫られたとしても、幸仁はアイドルでないという理由で突き放すと思っていた。

 なのに、幸仁は、霧ノ宮と付き合うことを決めた。

 これが俺の何よりの疑問だった。


「これはあくまで俺の予想に過ぎないが、別れた理由っていうのは椎菜夜宵がこの学校に編入してきたことなんだ……」

「…………」


 霧ノ宮は、目線を逸らし黙り込む。


「きっと、好きな人ができたらいつでも別れていい、なんていう譲歩案を出したんじゃないか……?だから、椎菜夜宵が転校してくると同時に零斗と別れをお前から切り出した。そうなんだろ?霧ノ宮……」

「……ちがっ」

「なぁ、麗香……、お前はどうしてそんなに彼氏にこだわる……?」

「別に、こだわってなんて……」


 俺は、彼女のことを特別どう思っているとかはない。

 本当だ。

 ただ、今の彼女には少し同情してしまった。

 まるで、現実から逃げているような。

 そんな彼女に対して、



「俺は2年前、ある女の子と、交際をしていたんだ……」

「…………突然、なに?」

「まぁ、聞いてくれ」


 霧ノ宮はわかった、と小さく頷く。


「……その子、名前は瑠奈って言うんだけど、その子が一昨年のクリスマスイブに、交通事故に遭って他界したんだ」


 なにを言ってるんだ、俺。


「…………、」

「それからというもの、俺は全てに対してやる気が見出せなくなった。まぁ、それだけ聞くとライトノベルの主人公みたいだろ?」


 自分で言ってて恥ずかしくないのか?


「でも、そんな俺のままじゃいけないって、最近少し気付かされたんだ……」

「……なに言ってんの……まじで、」

「このままじゃ……、彼女の死が、無駄という言葉一つだけで片付けられる、チープなものになるんだって」

「……」


 俺はきっと今、昨日椎菜と話したことを思い出しているんだろう。


「だから、俺がお前を助ける、お前にとっての優しい人になってやる……」

「……っ」

「俺の彼女になれ、霧ノ宮。それがお前の望むことなんだろ?」


 俯く彼女。

 そして数秒の時が流れたのち吐き捨てるように彼女は告げる。


ーーーーわかった、と。

この度は、東雲零斗と霧ノ宮麗香②を読んでいただきありがとうございます。

家に帰宅した開放感をそのまま小説にぶつけ、とんでもない内容になってしまいました。

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