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三秒転生 〜神に三秒で敵を倒せと言われたのだが〜  作者: サカキ
第二章 人間の国キャストレ
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第38話 行方不明

翌日の午前10時。

昨日の稽古に続き、騎士団は稽古をしていた。

とはいえ昨日の稽古は途中から魔物討伐へと姿を変えた。

結果、魔物は魔石へとなり、稽古再開かと思われたがさすがのティーナも団員の体を心配しその後は休みとなった。

だが、夕日は討伐に参加していない。いや、参加させてもらえなかった。

それを夕日はとても悔しく思っていた。

だから皆が休んでいるときに夕日は一人稽古に打ち込んでいたのだ。

その後、一人稽古からティーナとの稽古へと変わり1日を終えた。



「もう完全に見切ったな」

「毎日相手をしていたらさすがに慣れますよ」



夕日のその発言にティーナは「慣れるといっても普通、時間がかかるのに⋯本当夕日は」とまたしても夕日に呆れ、恐れを抱くティーナだった。

だが、今回は別の感情が備わっていた。

それは好奇心。

今はそこまでだが夕日を鍛えに鍛えたら一体どんな化け物になるのか、ティーナはそんなことを考えていた。



「それじゃあ⋯手加減はもういいか?」



このティーナの声はいつもよりも重く、夕日は少し身震いする。

ティーナの言葉の意は今の手加減された攻撃に慣れた夕日に対する処置であり、夕日を本気で鍛えたいという気持ちの表れでもあった。



「⋯はい。次からは本気でお願いします」



ティーナの言葉に身震いしていた夕日だったがすぐに収まり、気づけば返事をしていた。

(これで俺はさらに成長できる)

手加減された攻撃ではなく本気の攻撃。

夕日はそのことを自分の成長が認められたように感じられ嬉しくなっていた。



「それじゃあ、準備はいいか?」

「ああ」



いつもの稽古とは違う空気が夕日とティーナの周りを支配する。

その重々しい空気に夕日は恐怖さえ感じていた。

(なんだ、これ。いつもと違う)

そんな夕日の10メートルほど前方にはティーナが。

そのティーナからもいつもとは違う、何か怖いものを夕日は感じていた。



「行くぞ」



そう言うとティーナは夕日ヘ向けて走り出す。



『ガンッ!!』



ティーナが走り出したと同時に鈍い音が響く。

それは剣と剣のぶつかった音だ。

だがその音は金属と金属のぶつかった音とは到底思えなかった。

例えるなら圧倒的な力で一方的に殴られる、そんな音だった。



「くっ!?」

「よく耐えたな」



夕日の喉元には剣が突き付けられていた。

それはティーナの剣であり、夕日の剣は地面に落ちていた。



「ティーナさん、強すぎでしょ」



夕日はもう呆れるしかなかった。

軽く絶望さえしていた。

(俺はティーナさんに勝てるのか?)

そんな思考に走るが、答えはすぐに出てこなかった。

夕日がなぜティーナに負けたかというと、単純にティーナが強いからだ。

夕日は今できる限りのことをしていた。

にも関わらず夕日は負けたのだ。

それ以外の理由はない。

剣と剣のぶつかる音が響く前、攻撃の宣言と共にティーナは夕日に向けて走り出した。

そして10メートルの距離を1秒ほどで移動を完了させ、攻撃体制に入る。

夕日はあまりの速さについていけず攻撃をどうにか防ぐため剣を構えるので精一杯だった。

そして振り下ろされたティーナの剣は夕日の剣を強く叩き、その威力に耐えきれず夕日の剣は手から離れてしまった。

そして今に至る。



「⋯やはり、手加減したほうがいいか?」



それはティーナからの提案。

ティーナの圧倒的な力の前に沈む夕日を見てティーナは手加減をして方がいいかと提案してきたのだ。

今の夕日にとってその提案は悪くはないものだった。

(⋯早すぎたかな? 今の俺に本気のティーナさんとの稽古が務まるか? いや、今のままじゃ正直キツイ)

気が沈む夕日は思考までもネガティブになっていた。

悔しい気持ちを抑え夕日はティーナへと顔を向けた。



「リサ⋯」



ティーナの方を向く際に男の団員と一生懸命稽古をしているリサが目に入った。

汗を流し、剣を打ち込むリサの真剣な表情。

そんなリサを見ていると夕日は自身が急に恥ずかしくなった。

(何言ってるんだ俺!! リサは頑張ってる。成長するために。なのに俺は成長する機会をやすやす逃そうとした。⋯俺も成長しなきゃ。一応反応はできたんだ。まだ諦めるのは早い)

先程の沈みようはどこへやら、夕日の心に火が灯っていた。



「いや、今のままで頼む。俺は成長しなきゃいけないんだ」

「⋯そうか。わかった。手加減はしない」



夕日の真剣な表情を見てティーナはそう固く誓った。



「それじゃあ夕日、後少しだけやるぞ」

「ああ。⋯あと少し? まだ午前の11時だぞ?」



騎士団の稽古は基本的に午前から午後まである。

だが、今は午前中。

あと少しで稽古をやめるという表現はあまり似つかわしくない。



「ああ、午後からは都市のパトロールだ」

「パトロール? 騎士団が?」

「ああ、都市の治安維持も騎士団の仕事だからな」

「なかなか大変ですね」

「まあな。⋯てことでやるぞ」

「ああ。頼む」



そうして残り1時間、夕日はティーナにみっちりしごかれ稽古を終えた。

そして現在、夕日とリサそしてティーナは都市のパトロールをしていた。



「ここは何もないですね」

「ああ」



夕日は歩きつつ周りを見回す。

何か変わったことはないか確認をしているのだ。

だが幸いなことに犯罪や、喧嘩、事件は起きている様子はなかった。



「改めて思いますけど騎士団の人ってこういうこともするんですね」

「ああ。私達騎士団の仕事は都市の防衛。それには魔物からの脅威を排除するのと他に、都市内の治安維持も含まれているからな」

「へぇー、なんか警察みたいだな」

「けいさつ?」「けいさつ、ですか?」



夕日からこぼれた言葉。

その言葉は天球に存在しないらしく、リサとティーナの頭上には疑問符が浮かんでいた。



「いや、なんでもない」

「「?」」



夕日は慌て、咄嗟に誤魔化す。

ティーナは全くわかっていない様子だったが、夕日の誤魔化す態度を見てリサは『警察』が地球の言葉なのでは、と考えていた。



「まあ、なんにせよこれも騎士団の仕事だ」

「大変ですね。騎士団は」



リサは夕日とティーナの稽古での会話を聞いていおらず、夕日と同じような感想をこぼす。



「騎士団は各都市に居て、どの騎士団も大体仕事内容は一緒だ。だが、都市によって魔物が全く現れない場所にあると仕事内容は主に都市の治安維持になるがな」

「だったらなおさら大変ですね。ここは魔物が頻繁に出没しますし」

「⋯以前はこうではなかったのだがな」



少し暗い顔をするティーナ。

そんなティーナを見たことがなく夕日たちは少し戸惑いを覚えていた。

夕日たちはディヌスについて最近のことしか知らない。

ここ最近、夕日たちは魔物との関わりが多く、総じてディヌスには魔物が頻繁に出没する場所だと思っていた。



「てことは昔はそうでもなかったんですか?」

「ああ。1ヶ月に1体来るか来ないか、そんな感じだ」

「えっ、そんなに少ないんだ⋯」

「ああ、だから今の状況はすごく異常だ。こんなこと今までなかった」

「ところでティーナさんはいつからこの都市にいるんですか?」

「産まれてときからだよ」

「小さい頃からこんなに強かったんですか?」

「いや、そういうわけではないよ。魔法も剣もからっきしだった」



ティーナからサラリと聞こえた言葉に夕日は自身の耳を疑った。



「え、魔法も使えるんですか?」

「なんだ知らなかったのか?」

「聞いてませんよ!!」



剣だけでも強いのに更に魔法も使える。

(本当に化け物だな)

呆れを通り越して、ティーナが何を言ってももう驚かない自信があった。



「あ、あの騎士様」

「ん?」



話しつつもパトロールをしていると、突然女性に話しかけられた。

その女性はみすぼらしい格好をしており、顔色もかなり悪かった。



「何かあったのか?」



ティーナは人を格好で判断したりはしない。

しっかりと相手の目を見てなんの用かと返答を待っていた。



「娘が、帰って来ないんです」



女性から発せられた言葉にティーナは目を見開いた。



「いつから?」

「もう2日になります。騎士様に私が言う権利はないかもしれませんが、居ても立っても居られず」

「そんなことはいい!! その娘はどんな姿をしている?」

「えっと、長い茶髪に真紅の瞳、歳は15です」

「わかった。全力で探す。行くぞ夕日!! パトロールは中止だ」

「ちょっとティーナさん」

「探してくださるのですか!? ありがとうございます。ありがとうございます!!」



走り出すティーナの後をついていく夕日とリサ。

その後ろでひたすらに感謝し続ける女性がいた。



「どこにもいない、な」

「ああ」



だが何時間探そうとも女性の娘は見つからない。



「とりあえず都市の住人に呼びかけておこう」

「ああ、そうしたほうがいいな。俺たちだけで探すのは無理がある」



女性と別れたところに行くとまだ女性はいた。

この数時間ずっとその場に立っていたのだ。


「えっ、もしかして今までずっと立って待っていたんですか!?」



夕日が驚いた声を出すと女性は頷き口を開いた。



「私ほどの人間はこうして立っているのが合っていますから⋯」



夕日はその言葉が心に引っかかりティーナの方を見た。

ティーナも同じことを思っているのか表情がかなり険しかったが、そのことについて女性に追及することはなかった。

だが、その代わりにこの数時間での調査結果を報告するため、口を開いた。



「その、⋯すいません。娘さんはまだ⋯」

「⋯いえ、いいんです。騎士様に娘のことを探していただけだだけでもありがたいです。でも、もうこれ以上は私みたいな者が騎士様の手を煩わせるのは⋯」



そう言う女性は自分のこれまでのティーナに対する行いを恥、自分を責めているようだった。



「私のような者のわがままを聞いていただきありがとうございました。では⋯」



女性は早口にそう言うと、ティーナたちがいるところとは反対の方向へと歩いていった。



「あ、ちょっと」



その場に取り残されたティーナと夕日、リサの心は暗く、どんよりとしたものが残っていた。

何やら事件の香りがしますね。

ですが魔物は待ってくれない。

本当に騎士団は色々と大変ですね。

そんなんじゃいつかティーナたち過労死するんじゃ⋯あっ、ティーナは大丈夫か(笑)

てことで次回楽しみにしておいてください

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