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三秒転生 〜神に三秒で敵を倒せと言われたのだが〜  作者: サカキ
第二章 人間の国キャストレ
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第19話 追い風

 鍛冶屋からの帰り、夕日たちは夕飯の材料を買い、あとはこのままリフッシの家まで歩くだけだった。



「結構買いましたね」

「そうだね。それにしても3人分の料理の材料を買うのは初めてだな」

「その、付き合っている方とかはいらっしゃらないのですか?」



 リサはリフッシに問う。

 リフッシは顔も心もイケメン。

 そんなリフッシを世の女たちが放っとくはずがない。

 そうリサに問われたリフッシは軽く苦笑いをした。



「それが残念なことにいなくてね」

「意外ですね」

「あまり出会いがないんだよ」

「そんなものなんですね」



 出会いがないと嘆くリフッシに意外感を示す夕日。

 その会話にリサは全く話についていけていない様子だった。。



「私、そういう経験をしたことがないから全くわかりません」

「今どき珍しいですね。好きな人ができたことも?」

「ないですね。⋯⋯あ、私、好きな人いたことありました」



 思い出したようにハッと口に手を当てるリサ。

 その可愛らしい仕草に夕日は少しドキリとした。



「やっぱり好きな人いるんじゃないですか」

「⋯⋯誰が好きだったんだ?」



 夕日は好奇心で聞いてみたくなった。

 夕日の問にリサは恥ずかしがりながらも、口をもごもごさせた後、ゆっくりと口を開いた。



「お、お父さん、です」



 リサの答えにリフッシはそうきたかと少し驚く。



「お父さんか。リサに好かれる人なのだから相当いいお父さんなんだろうね」

「はい。私の大切な人です」



 そんな和やかな会話をしつつ家への帰路を歩いていた。

 だがその時、事件は起こった。



「きゃー、泥棒!!」



 今は18時。

 街が賑わう中、突然聞こえた悲鳴。

 どうやら泥棒に物を取られたようだ。



「どけどけー」



 悲鳴のした方向から夕日たちのいる方向に声が近づいてくる。

 声からしてこっちに来ているのが泥棒であることがわかった。

 泥棒を察知した夕日は泥棒を無力化するために魔力を纏った。

 数秒後泥棒が姿を見せる。

 泥棒の走る速度は速く、何か魔法を使っていることは明白だった。

 夕日は魔力を纏った状態で泥棒に詰め寄ろうと意識を集中させる。

 その時、突如爽やかな風が夕日の隣を走り抜けた。

 その風の正体はリフッシ。

 リフッシは夕日が動くよりも速く、動いていた。

 そしてリフッシは一瞬で泥棒を無力化した。



「えっ!?」



 泥棒は何が起こっているのか全くわかっていない様子だった。

 他の人もおそらくわかっていないのだろう。

 だが、夕日には見えていた。

 夕日よりも速く動いたリフッシは泥棒の背後に素早く回り、腕を背中に回し極め、膝を蹴り、地面に倒した。

 泥棒は地面にうつ伏せの状態でリフッシに抑えられていた。



「ふぅ」



 そうして泥棒を拘束したリフッシは安堵のため息をつく。

 すると先程悲鳴がした方向から女性がかけてきた。



「あれ、泥棒は?」

「ここですよ」



 女性は泥棒が見えないことに焦りを覚える。

 だが、リフッシの声によりその焦りは消えた。

 リフッシは抑えている泥棒を女性に見せた。



「くっ、離せ!!」

「動くな」



 リフッシは暴れる泥棒に鋭い言葉と共に腕の拘束具合を強める。



「痛て、痛ててててて、ちょ、ちょっと、痛い、痛いって、止めて、もう暴れないから!!」



 痛みに騒ぐ泥棒に対し、腕の拘束具合を緩めると泥棒は動きを止め静かになった。

 その光景を見ていた女性は目に涙を浮かべた。



「あ、ありがとうございます」

「いえいえ、当然のことをしたまでですから。そんなことよりお怪我は?」

「大丈夫です。このバックを取られただけですから」

「それは何よりです」



 リフッシはそう言うと泥棒に盗られていたバック女性に引き渡す。



「その、本当にありがとうございます」



 これを当然のことと言えるリフッシ。

 その凄さに夕日はただただカッコいいそう思った。

 そして女性を気遣う態度もまたカッコいい。

 そんなリフッシを見てか女性の頬は紅潮していた。



「あ、あのっ、、、ひっ!!」



 女性は何かをリフッシ伝えようとしたが途中で驚いたように声を上げる。

 それを不審に思ったリフッシは首を傾げていた。



「どうかしましたか?」

「い、いえ⋯⋯」

「そう、ですか」



 女性が驚いたものとはその騒ぎを見ていた女性たちの視線。

 その視線は睨むような鋭い視線だった。

 まるでリフッシに近づくな言っているような。

 ただ、そのことにリフッシは気づいていなかった。



「夕日。この人を都市の警備の人に渡して、もう行こうか」

「そうですね。もう真っ暗ですしね」



 時刻は18時30分。

 辺りはすっかり暗くなり街灯がついていた。

 それから程なくしてミステスの警備員が来て、泥棒を引き渡し、事なきを得た。

 泥棒を警備員に預けそのまま夕日たちは帰路についた。



「それにしてもリフッシがあんなに強いなんて思っていなかった」

「いや、そんなことないさ。今回は相手が弱かったからうまくいっただけさ」



 自分が強いのではなくあくまで相手が弱いだけ。

 そういう謙遜の心もリフッシは持っている。

 またしてもイケメンだなと思う夕日だった。



「それで、あの魔法は?」

「あれは、レベル3の風属性移動系魔法『追いテイルウィンド』。僕の背後に猛烈な追い風を発生させて移動速度を上げるという魔法なんだ」

「レベル3?それってすごいんじゃ」

「レベル3っていっても移動系統の魔法じゃ意味はあまりないからね」

「じゃあ、あの腕を極めたやつは?」

「あれは護身術さ。本来は自分を守るためのものだけど、僕はみんなを守るのに使っているよ」



 自分のためではなく、他人のため。

 またしても夕日はリフッシをイケメンだと思ってしまった。

 そんな会話をしていたら急にリフッシの足が止まった。

 目の前には一軒の家。

 どうやら家に着いたらしい。



「どうぞ我が家へ」



 ガチャりと開いた扉の中に入るように促すリフッシ。

 リフッシに促され、夕日たちは家の中に入っていった。



「「お邪魔します」」



 家の中に入ると廊下があり、すぐ近くにリビングがあった。

 時刻は19時。

 夕食の準備をするとのことだったので、夕日たちはリビングで待つこととなった。



「リサ、ごめんな」

「どうしたんですか?急に」

「疲れてないか?」

「疲れていないと言えば嘘になりますが休むほどではないです。それに疲れも吹き飛ぶくらいとても楽しいんです」

「楽しい?」

「はい。私は王女ということもあって、家からはあまり出られませんでした。そのせいか私はずっと外の世界に憧れていました。でも、外に出ることはお父様より固く禁じられており、結局外に出ることができたのは国王主催で行われたパーティーくらい。そのパーティー会場は王城から離れたところにあり、王城から出てパーティー会場まで行かないといけません。その移動の際に見た景色は今でも忘れることができません」



 リサは自分の過去について少し話してくれた。

(そういうことだったのか)

 リサがここまで外の世界に憧れている理由が聞けて夕日はどことなく嬉しい気持ちになった。



「料理できましたよ」



 リフッシが料理の入った皿を持ち、リビングに来る。

 料理の入った皿をテーブルの上に置く。

 テーブルの上に置かれた料理は肉じゃがのようなものとパン、それとスープ。



「ごめんね。こんなものしか作れないけど」

「いやいや、十分すごいですって」

「すごいです」



 夕日の言葉に賛同するようにリサが勢いよく頭を縦に振る。



「それじゃあ食べようか」

「そうですね」



 リフッシは手を合わせた。

 それと同時にリサも手を合わせた。

 その手を合わせる行為は地球でも慣れ親しんだ行為。

 夕日は二人の行動を見るまでもなく自然と手を合わせえいた。



「「「いただきます」」」



 そうして夕食を取り始めた。

 味はとても美味しいものだった。

 どことなく懐かしい、そんな味だった。

 明日は鍛冶屋に行って仕事をし、仕事が終わったら寄るところがあるというリフッシの後についいていくこととなった。

 明日から夕日たちは鍛冶屋で手伝いをすることになっている。

(ヘマだけはしないようにしなきゃな)

 朝は早いとのことなので魔法で体を清潔にし後は寝るだけ。

 そうしてリサと夕日はリビングで寝ようとした。



「それじゃあ俺たちはリビングで寝ますね」

「ちょっと待ってくれ、僕がここに寝るよ。だから僕のベットを夕日たちが使ってくれ。客人をリビングに寝させるのは気が引ける」

「何言ってるんですか。俺たちがここに寝ますからリフッシは自分のベットで寝てください」

「いいや、夕日たちはベットで寝てくれ」

「⋯⋯」



 一向に引かないリフッシに夕日たちは仕方なくベットで寝ることに。



「本当にいいのか?」

「はい。夕日なら信用できますから」

「でも、いややっぱり俺は地面に」

「そんなことじゃ風邪ひきますよ。だから、ベットに寝てください。私は気にしませんから」

「俺が気にするんだが」

「それに一緒に寝ることによって親密度も上がると思うんです」

「そうかもしれないけど」



 夕日はそう言われてしまうと何も言えない。

 夕日は神を倒す為にここにいる。

 その神を倒すための力を得るためならなんだってする。

 一緒に寝ることによって親密度が上がるというリサの言葉を夕日は無視できなかった。



「⋯⋯どうなっても知らないぞ」

「大丈夫です。どうにもなりませんから」



 リサから信頼を得ている夕日。

 だが、なぜそこまで信頼されているのか当人は全くわかっていなかった。

(なにか信頼されるようなことしたか?)

 お互いに毛布を被り、目を瞑る。

 夕日の隣にはリサが。

 夕日はこの状況にドキドキしていた。

 女性と一緒に寝るのだ、そうなるのも当然。

 そしてその時リサはスキルにより夕日が嘘をついていないと感じ取った。

(明日も早いし、もう寝なきゃな)

 夕日は頭の中に彼女の姿を思い浮かべ、眠りに入った。

リサのスキルの特性上、感情が同じとき相手が嘘をついているのかがわかります。ということは夕日がドキドキしている時にリサが嘘をついていないと理解したということは・・・

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