第17話 爽やかな風
翌朝。朝日が部屋に差し込み、眩しさからリサは目を覚ました。
「う、んーん」
ベットに倒れ込んでいた体を起こし、間の抜けた声を出しながらあくびをするリサ。
「あれ?」
リサが見ていたのは背を向けソファーに寝ている夕日。
「夕日はやっぱり信頼できます」
ソファーに寝ている夕日を見て、リサは自分は間違っていなかったと思った。
それと同時に夕日をソファーに寝させたことを申し訳なくも思った。
(ベットに寝ても良かったのに)
夕日なら一緒に寝ても何も起きない。
リサはそう考えた。
だが、夕日がソファーに寝たのはリサを見続けているとどうにかなりそうで、自主的にソファーに寝たのだが。
リサは知る由もない。
「夕日、朝ですよ」
リサはまだ寝ている夕日の背中を軽く叩き、朝が来たことを知らせる。
「ん、んー」
「おはようございます。夕日」
「お、はようリサ」
そうして目を覚ました夕日は目を擦りながらソファーから起き上がる。
「とりあえず朝食を食べに行きましょうか」
そうして昨日、夕日が夕食をとった食堂で夕日とリサは朝食をとった。
「それじゃあ、王様の言ってた爽やかイケメンを探しに行こう」
「はい」
時刻は10時。
「探すって言ってもどうやって探すんですか?」
「聞き込みじゃないか?」
「聞き込みですか」
「とりあえず情報がないことには探せるものも探せないからな。」
宿を出ると、道がある。
宿を探すのに手間取っていてあまり気に止めていなかったがなかなか広い。
その道には店が軒を連ねており、人が行き交っていた。
夕日たちが泊まった宿は部屋が王都ほどではないにせよ綺麗だったことから格式高い宿だったことがわかる。
それもあって値段はかなり張った。
(王様早速使わせてもらいました。ありがとうございます)
夕日は王様に感謝しつつ、道に行き交っている人を捕まえた。
「あの、すいません」
夕日が捕まえたのは子供連れの女性。
「なんでしょうか?」
女性は返答しつつ、夕日に疑いの目を向けてきた。
「人探しをしていまして、爽やかでイケメな人を探してるんですが」
「爽やかでイケメン⋯⋯もしかしてリフッシさん?」
「リフッシ?」
「リフッシさんはここでは結構名の知れた人物なんですよ」
「そうなんですか?」
「ええ。よくうちの子も世話になっているわ」
「そうなんですね」
聞き込み一発目で目当ての人物を探し当てることができた。
すぐに見つかるほど有名なのだろう。
夕日は探すのに時間がかかると思っていたのだが、呆気なく終わってしまった。
「それでそのリフッシさんはどこにいるんですか?」
「ここから噴水まで行って、そこから右に進むと鍛冶屋があると思います。そこでリフッシさんは働いているので、そこにリフッシさんはいますよ」
「ありがとうございます。今から行ってみます」
「いえいえ」
それではと女性は軽くお辞儀をして去っていった。
とりあえず居場所はわかったので早速行ってみることに。
「リサ、行こうか」
「はい」
ミステスは、壁で囲われている。
そして入り口は東西南北に一つずつあり、夕日たちが入ってきたのは北の入り口。
入り口付近は緑が生い茂っており、石で舗装された道、建物は木でできており自然が町並みにも反映されている。
そんな町並みのミステスは、都市の中心にある噴水から東西南北に大通りが通っており、夕日たちが今いるのはその噴水から北に伸びている大通り。
大通りは横に広いだけでなく縦にも長い。
宿は噴水と北の入り口までの距離を半分にしたくらいの場所にあった。
ここから噴水ぎりぎり見えるくらいの距離ではある。
宿から徒歩で歩き、噴水が見えてきた。
さきほどまで微かに見えるくらいの距離だったのが今は目の前にあった。
「ここを右だったよな」
「そうですね。ここから右に曲がって行くと鍛冶屋があってそこにリフッシさんがいると」
噴水を右、つまり西の方角に行くということだ。
夕日にたちは噴水を右に曲がり西の大通りに入った。
すると直ぐに鍛冶屋の看板が見えてきた。
「鍛冶屋、ここかな」
看板には漢字で鍛冶屋と書かれていた。
(こっちの世界にも漢字があるんだな。あまり考えていなかった。そういえば俺、普通に会話してたな)
天球と地球は元は同じ世界。
だから、漢字があっても、言語が同じでもなんら不思議はない。
そんなことを考えながら夕日は店の前に立った。
「すいませーん」
夕日は店の扉を開き、声を出して中に人がいるか確認する。
「っ!?」
そうして扉を開けた夕日だったが、扉を開けた瞬間、猛烈な暑さが襲ってきた。
「暑っ!!なんだこの暑さ」
夕日はあまりの暑さに思わず声が出る。
その時、男性が鍛冶屋の中から出てきた。
「はーい。って大丈夫ですか?」
その男性は暑そうな顔をしている夕日を見て心配そうに聞いた。
「だ、大丈夫だ」
「それなら良かったです。⋯⋯それで何か御用でしょうか?」
「その、実は人探しをしていまして、リフッシという人がこの鍛冶屋いると聞きましてそれで」
「リフッシは僕ですが」
「やっぱりですか」
暑さに耐え話しをしていた夕日はその男性がリフッシであることをひと目見たとき気づいていた。
鍛冶屋から出てきたその男性は鍛冶屋に似つかわしくない綺麗な顔立ちをしており、そして温かい風とともに、とても爽やかないい匂いがした。
その男性の顔にはこの暑さにも関わらず、汗が一滴も出ていなかった。
「それで僕に何か?」
リフッシさんはそう言うといきなり夕日の方に走って来る。
そして夕日の横を通り過ぎていった。
リフッシのそのおかしな行動を夕日は訝しげに見ていた。
「大丈夫ですか!?」
リフッシさんは夕日の横を通り過ぎ、夕日の後ろをずっと着いてきたリサの方へ。
「ええ、大丈夫です。ちょっと歩き疲れてしまって」
「ほら、こっちに座って」
リフッシは店の中にあった椅子にリサを催促する。
夕日はそれを見ていることしかできなかった。
夕日はリサのことをあまり考えず、自分の歩く速度でここまで来た。
だが、そしてリサもしっかりついてきていた。
だがそれはリサが歩くスピードを速めていたに過ぎず、ずっとリサに無理をさせていた。
思えば王都からミステスに向かう道中もそのような節があった。
そのことに夕日はたった今気づいた。
「すまんリサ。昨日から疲れていたのはわかっていたのに」
「私が勝手に着いてきてる身ですから夕日はそんなこと言わなくても」
「どういうことかあまりわかりませんけど女性にはもっと気にかけないと」
「すいません」
ぐうの音も出ないとはこのことか。
夕日は何も言い返せずただ謝るしかできなかった。
「わかればよろしい」
「だいぶ落ち着きました。ありがとうございますリフッシさん」
「いえいえ、私は何もしていませんよ」
リフッシの爽やかイケメンっぷりを夕日は目の当たりにし、自分の情けなさを思い知らされた。
(すごいな。リフッシさんは。俺ももっと女性を、リサを気にかけなきゃな)
リフッシから学ぶものは多そうだ。
そう思う夕日だった。
えー新キャラの登場です。リフッシは気遣いができて、更に正義感も強く都市のみんなに愛されているキャラクターです。優しく、更にイケメン。まさに最強。性格チートキャラですね。こんな人、現実にいるのかな・・・




