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小覇王  作者: たっちゃん(小さな畔)
6/6

心のままに

凪「桔梗様、よろしくお願いします。」


凪が厳顔に一礼した。


厳顔「これこれ、試合前にそこまでせんでよいて。」


厳顔が凪にどこか申し訳なさそうに言った。


凪「いえ、これが私の性分ですからどうしようもありません。」


厳顔「なら、仕方ないわぃ。こちらこそ、よろしく頼むぞ。」


凪「はいっ。」


互いに武器を構えて向かい合った。


司会「よろしいですね?


    それでは、蜀軍 厳顔選手対魏軍 楽進選手 

   

    試合開始ぃぃ!!」



先ほどの真桜たちとの戦いとは反対に、お互いその場から動かず牽制しあっていた。


凪「(先ほどの沙和との戦いで・・・、少し勝機は見えた。


   あの桔梗様でもあれを振り回すのには時間がかかる・・・・。


   沙和以上の速さで懐に飛び込み、そのまま鋼気功を纏わせたこの一撃を入れれば・・・!)」


厳顔の顔を見ながらすり足で凪が横へ横へと移動した。


厳顔「(先ほどの沙和との戦いで嫌なところをみられてしもうたからのぉ・・・。


     だが・・・、あれが全力と思っていてくれているならそれもまたありがたいのぉ。


     というか・・・、観客がいると凪目掛けて弾丸を打ち出すことができんのは辛いな。


     凪とて一緒だろうがなぁ。)」


互いに考えながら相手の隙をうかがっていた・・・・・


意外にも先に動いたのは厳顔のほうだった。


厳顔「ふっ!」


武器の先端についている弾丸を凪目掛けてではなく、足元へ打ち出した。


凪「くっ!」


1動作だけで打ち出せる遠距離攻撃は凪にはなく、避けるしかなかった。


凪「(私の操気弾は力を込めねばなんの意味をなさない・・・・!


   じわじわ攻撃されれば不利・・・・か、しかし、弾は無限じゃない。)」


考えながら避け続ける凪だったが、ジワジワと迫りくる攻撃に精神も体力も削られていた。


厳顔「(よくもまぁ、あそこまでよけるわ・・・。


     さて・・・、そろそろ弾切れじゃの・・・。


     しかし、ある程度凪の体力等は削れたか。)」


そう考えながら厳顔はジリジリと凪に気づかれないよう


すりあしで近づきながら弾丸を撃ち続けていた。


カチンッ


厳顔「おやっ、切れたか。」


凪「(勝機!)」


それに気づいた凪がすかさず攻撃に移ろうとしたのだが


ガクンッ


急に凪の体勢が前のめりになった。


凪「なっ!!?」


何かに躓いたことに気づいた凪が頭を下にして足元をみた。


厳顔「はははっ、ただ足元だけを狙っていたわけではないぞ


    そちらの足場だけを徐々に悪くさせていたのさ。


    そしてぇっ!」


そう、ジリジリと凪の方へ近づいていた厳顔の間合いに凪が前のめりで


突っ込んできたのだ。


厳顔「でぇやぁっ!」


豪天砲を大きく振りかぶって凪の頭目掛けて振り下ろした。


凪「くぅっ!」


凪は身に降りかかる悪寒を感じ取り咄嗟に頭の上にガードを作った。


ドゴッ!!!


鈍い音が会場を轟かした。


凪「・・・・っ!!!」


声にならないぐらいの衝撃がガード越しの凪の頭を襲った。


そのまま地面に叩きつけられ、直後真下からも攻撃が来る


厳顔「ほれほれっ、まだおわらんっ、ぞ!!」


続きざまに厳顔が豪天砲を振り上げた。


凪「くっ。」


厳顔「ほぅ・・・。」


凪もさすがにこれはなんとか横へ転がって難を逃れた。




しかし・・・・・


立ち上がろうとするも、衝撃の余波が脳を揺らし、焦点が合っていなかった。


凪「(くっ・・・、まんまと相手・・・の、術中にはまってしまう・・・とは・・。)」


凪は息も切れかけ、フラフラになっていた。


沙和「凪ちゃん、まけちゃ嫌なの!」


真桜「凪ぃ、きばらんかい!」


凪の姿にたまらず二人が叫んだ。


厳顔「凪よ・・・・、降参せい。これ以上やれば骨を折るだけではすまなくなるぞ。」


厳顔が凪に情けをかけようとしていた。


凪「ご・・・冗談を。 私はまだ戦えます・・・、ハァ・・・ハァ。」


厳顔「そうか・・・・、その覚悟に免じて、一撃で沈めてやろう。」


厳顔はそういうと武器を構えた。


凪は厳顔が武器を構える前に構えを取って大きく息を吸った。


凪「コォォォォォォォォッ!」



そう、空手の武道家たちが無理やり息を整えるために使用する”息吹”をしたのだ。


凪「フゥゥゥッ。」


息を整えた凪がもう一度厳顔と向かい合った。


凪「私は・・・・、諦めません、最後まで!!」


厳顔「よういうたっ! こい、凪!!」


凪と厳顔の戦いも佳境に入っていた・・・・・・・・・


凪「(実質、この戦いで今日の大会はもう最後、ならば全ての気を使い切る覚悟で挑む!)」


凪が体中の気を体全体に気をめぐらせた。


厳顔「(どうやら・・・、覚悟を決めたようじゃの。)」


厳顔は豪天砲を凪に向けかまえたまま動かないでいた。


凪は構えつつ、次の行動の為じっくりと気を溜めていた。


厳顔「(むぅ・・・、このままではコチラが不利になりそうじゃのぅ。)」


凪の特性を知っている厳顔はこの間があまりよくないと気づいていた。


厳顔「ならば・・、こちらからいかしてもらおうか。」


そういうとあの重たい豪天砲を軽々と持ったまま凪へと向かって走り出した。


凪が向かってくる脅威に目を背けることなくまっすぐに厳顔を見つめた。


自分の最大の力で発揮できる位置に厳顔が入ってきたのを感じ取り


気を溜めた脚から必殺技を繰り出した。


凪「喰らえっ!! 猛虎蹴撃!!」


かなりの速さで振り抜いたあしから気弾が厳顔の足元へ打ち出された。


厳顔「なんのっ!」


凪の気弾に気づいた厳顔が前方へとジャンプしてそれを避けた。


しかし、跳んだ目の前にはすでに凪の姿があった。


厳顔「何っ!?」


それに驚いた厳顔が驚愕の声を上げた。


凪「避けられると分かっていれば次の行動を取るのは容易いのです!」


凪が叫びながら厳顔に攻撃を仕掛けた・・・・・・


凪「はぁぁぁぁっ!」


凪が体を捻り、右足で回し蹴りを厳顔に向け放った。


厳顔「なんのっ!」


厳顔が豪天砲で凪の回し蹴りを防御した。


凪「わかっています!」


そう、凪は自分の蹴りが防御されるのはわかっていた。


前回の気弾にしても、相手が自分より上だからすべて避けられると


考えてすぐに次の行動に動いていたのだった。


凪「ふっ!」


蹴りに力を込めていなかった為ガードさせた直様体を反転させ


豪天砲の先端をつかんで、右手でグッと下方向に豪天砲を下げた。


それで武器をおとさせれれば儲けものだったがさすがにそこまでは


厳顔がさせてくれなかった。


厳顔「チィッ!」


まさかそんなことをされるとは思っていなかったので


豪天砲は斜め下を向いてしまった。


厳顔「(ここまで相手の思うようにされてしまうとは、ええぃ情けない!)」


厳顔がそんなことを一瞬考えた次の瞬間、豪天砲にさらに重みがかかった。


厳顔「まさかっ!」


凪が豪天砲の長い砲身の上の部分に左足を乗せたのだ。


凪「これで・・・終わらせていただきます!」


凪はガシッと厳顔の肩を両手で押さえた


その次の瞬間、凪の右足に蓄えられていた気が爆発した。


凪「猛虎爆裂脚!!」


力強くそして高速の蹴りが厳顔に向けて放たれた・・・・・・


厳顔「(まずいっ!!?)」


咄嗟に顔を左手をガードに回した厳顔だったがガードした顔面は凪が


狙っていた場所ではなかった。


凪が狙っていたのはお腹にある急所、すなわち鳩尾みぞおち


厳顔のそこに凪のトーキックが炸裂した。


ドゴォッ!!


厳顔「かはっ!!」


鈍い音と共に厳顔の体中に激痛が走った。


厳顔「くぁ・・・・・。」


厳顔は直撃後、数秒間意識がとんでしまったため、豪天砲を手放してしまった。


また、そのままガクッと厳顔のくの字になった体が下向きに落ちていく


凪「桔梗様っ!」


技の硬直が解けた凪がそのまま落ちるのは危ないと気づき


すかさず厳顔の体を抱きしめた。


そのまま二人の体が地面に着地した。


凪「だ、大丈夫ですか桔梗様!?」


凪がぐったりとした厳顔を抱えながら言った。


厳顔「お前が・・・、したんじゃろ・・・・、・・・いたた。」


そういいながら厳顔は自分のお腹をさすった。


厳顔「ふふっ・・、何本かアバラがいっとるの・・・。あつつっ。」


自分の負傷具合を独り言のように呟いた。


凪「すっ・・・、すみません。」


凪が謝罪の言葉を発すると


厳顔「あほう・・、やった本人が謝るな。ワシが情けないわい。


    油断していたワシの報いじゃな・・・、ははっ。」


凪「桔梗様・・・・っ。」


凪がどうしたらいいかわからない顔で厳顔の名前を呼んだ。


厳顔「凪、今回はお前の勝ちじゃ、だからそんな情けない顔するでないぞ。」


凪「はいっ・・・!」


厳顔「次はワシが勝つからな、首を綺麗に洗っておけ。」


凪「はいっ!!」


厳顔が凪に後腐れないようにいうと、司会がそれを嗅ぎ付け


司会「えー、どうやら厳顔選手は戦闘続行不能の模様です。


    そのため、勝者・・・・・・魏軍、楽進選手ぅ!!!!!!!!!」


ワアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!


魏軍の武将の勝利もあってか観客席からいつも以上の歓声が上がった。


厳顔「しかし・・・・・・・、ワシももう世代交代かのう。」


凪「いやいや、まだまだ現役の実力ですよ桔梗様。


   これが実戦で、観客がいなければ・・・・・・。」


厳顔「まぁ、それはオヌシもおなじじゃ・・・、ま、もう一度己を鍛えなおすとするかの。」


歩けない厳顔を凪が肩を貸す形で談話しながら蜀の応援席へと向かっていたのだった。


真っ先に厳顔を出迎えてくれたのは黄忠だった。


黄忠「桔梗・・・、お疲れ様。」


厳顔「紫苑・・・、すまん、情けない所を見せた。」


黄忠「明日からこれでいじっちゃおうかしら?」


厳顔「ヤ メ テ ク レ」


黄忠「ふふっ、冗談よ。」


そういうと黄忠が凪から厳顔を受け取った。


黄忠「凪ちゃんもお疲れ様、次も頑張ってね。」


不意に黄忠が凪に応援のエールを送った。


凪「はっ・・、はいっ! ありがとうございます。」


そう頭を下げると凪は魏の応援席へと戻っていった。


と、おもいきやあわてて蜀方面へUターンをしてきた。


凪「ご・・・、豪天砲を。」


そういうと豪天砲をリングの端に置いてまた急いで魏の方へ帰っていった。


----------------------魏---------------------------


沙和「凪ちゃん、おめでとうなのっ!」


真桜「凪は勝つとしんじとったで!」


秋蘭「うむ・・・、見事な勝利だったぞ。」


春蘭「成長したな、凪よ。」


凪「あっ・・・、ありがとうございますっ!」


魏の応援席に戻った凪を皆が勝利を褒め称えた。


ボスッと凪の頭の上に手が置かれた。


その手はわしゃわしゃと凪の頭を撫でた。


凪は犯人を特定するべく後ろを振り向いた。


一刀「良く頑張ったな凪、正直驚いた。」


ニカッと笑いながら凪に一刀が言った。


凪「隊長・・・、ありがとうございます。」


テレながら凪がお礼を言った。



一刀「ふぅ・・・・、凪・・・・、ほんとによくやった。」


凪「たっ・・たいちょ。」


凪が話し終える前に一刀がぎゅーっと凪を抱きしめた。


恥かしさから凪が腕を解こうとするが、一刀の力と戦いの疲労で解けなかった。


一刀「お前達がここまでがんばったんだ・・・、俺もちゃんと戦わなきゃな。」


ボソッとそういうと一刀は凪を開放した。


そのまま振り返って一刀はリングへ向かっていった。


凪「隊長・・・・・???」


凪は一刀の言葉が理解できず、首を傾げていた。



一刀「雪蓮・・・・・、ちゃんと・・・・、約束は守るぜ。」





凪が勝利を収め、見事準決勝へと駒を進めた。


隊長の自分がそれ以上の結果を出さないと立つ瀬がない、と一刀は思った。


そしてなにより、己の戦いや皆の戦いをみているとどこからか


心のワクワクが収まらなくなっていた。


今この手にある力がこの世界でどこまで通じるのか、という想いが


ドンドン表へと現れ始めていたのだった。


一刀もそれに気づいていた。


戦士として生まれ変わった一刀の中の中に今まで眠っていた


闘争本能 という名の鼓動が・・・・・・、刻まれ始めていた-------------------


次章へ続きます

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