緊張
季衣「くやしぃぃぃぃ!!!!」
そういって魏の応援席で季衣が半ベソになりながら叫んだ。
周泰と馬超の戦いのあと、張飛との戦いに挑んだ季衣だったのだが
奮闘するも張飛の武の前にあしらわれてしまったのだ。
隣で戦いでついた生キズを琉流が治療していた。
琉流「仕方ないでしょ~、負けちゃったものは。」
琉流がもう諦めろと言わんばかりに言った。
季衣「だってさぁ~、せっかく兄ちゃんが見てくれてたのにまけちゃうなんてさぁ。」
琉流「私だってまけちゃったんだもん、こうみえても悔しいんだよ?」
季衣「琉流からはそんなの感じないんだもん。」
琉流「顔に出して無いだけだよ。兄様が見てくれてる前でまけちゃったんだもの。」
季衣「うぅ・・・、ごめん。」
琉流「次はもっと上までいけるようもっと頑張ろうよ、季衣。」
季衣「うんっ! 兄ちゃんにいいとこみせたいもんね。」
琉流「頑張ろう! はいっ、これで終わり。」
季衣「あいたっ!」
季衣のキズの治療が終わって、ペシッとその部分を琉流が叩いた。
季衣「もう~、優しくしてよ~。」
琉流「ふふっ、いつもツマミ食いとかするから、そのお返し。」
季衣「ぶーぶー。」
むくれながら季衣が琉流にブーイングを飛ばした。
二人の頭の上に手が被さった。 その手はそのまま二人の頭を優しく撫でた。
琉&季「うっ?」
そういいながら後ろを見るため首を上げると一刀がいた。
季衣「兄ちゃん!」
琉流「兄様!」
二人が一刀を呼んだ。
一刀「季衣、張飛相手によくがんばったな。」
季衣「やぁ~、でも、負けちゃったしさぁ。」
一刀「次頑張ればいいんだよ。 お疲れ様。」
そういうと一刀の手はよりいっそう二人の頭を優しく撫でた。
季衣「にゃぁ~、兄ちゃんがそういうなら次はもっと頑張るよ!」
琉流「わっ、私も頑張りますから、み・・、見ててくださいね!」
琉流が季衣に負けまいと発言した。
一刀「うん、期待してるぞ、琉流。」
琉流「はっ、はい!」
そういうと一刀は二人の上から手を離して真桜と凪のいてる方へと歩き出した。
次は真桜と関羽、厳顔と凪の戦いが控えていたからだ。
一刀「(多分緊張してるだろうな・・・。)」
そう思いながら応援席の端で座り込み戦いに集中しようとしていた二人に
一刀がゆっくりと歩みよった。
それに二人が気づいたのか、一刀のほうを見上げた。
真桜「あっ・・、隊長。」
凪「隊長、どうなされたんですか?」
一刀「いやっ・・・、次の戦いに緊張してるだろうなって。」
一刀が考えていた事をそのまま口にした。
真桜「あっ、当たり前やんか、ウチの相手はあの関羽はんなんやで!?
人前でボロ負けして恥さらしそうで怖いっちゅうねん。」
肩を震わせながら、真桜も考えている事をそのまま言った。
凪「私も・・・、真桜と同じです。
いくら・・・、近距離戦を苦手とする桔梗様が相手だとしても
あの武勇に、私が勝るとはとても・・・・。」
凪も肩を強張らせて言った。
一刀「なら・・・、いっそ棄権したらどうだ?」
一刀が冷たい言葉を二人に伝えた。
真桜「はぁっ!? 隊長なにいうてんの!? ウチらのこと馬鹿にしてるんちゃうか?」
凪「私達とて武人の端くれです、そんなことできるわけないです!!」
二人が怒りながら一刀に言った。
その言葉が逆に一刀を喜ばせた。そして
一刀「なら、それが答えだろうが!! 戦いの前にウジウジしてんじゃねぇ!!」
一刀が渇を入れるように二人に怒鳴った。
一刀の行動にビクッとした二人だったが、一刀が自分達を励まそうとしてくれている事が分かった。
一刀「お前達は俺の自慢の部下だ。だから、胸張って戦ってこい。
自分の本気を出して負けたのならそれは恥じゃないぞ。」
笑顔で二人に一刀が励ましの言葉を送った。
真桜「そやな・・・・、やる前からまけると思ってたらそら負けるわな。
勝負の結果ら関係ない。」
凪「うむ・・・、自分より弱い相手としか戦えないなんて最低だ。
自分より強いものに勝ってこそ・・・、勝てなくても心からぶつかっていかねば
相手にも失礼だ。」
二人が顔を向け合って言った。
一刀「わかってるじゃないか・・・、なら、やることはわかってるよな?」
凪&真「全力で相手にぶつかっていく!」
一刀の方を向いて二人が心の奥底から叫んだ。
一刀「おしっ、それでこそ俺が愛する部下だ、頑張ってこい。」
凪&真「はいっ!」
そういうと一刀がその場に立ち上がり、二人に背を向けて離れていった。
真桜「ほんま・・・、ウチらの隊長は最高のお人やな。」
凪「あぁ・・・、隊長のためにも私達も頑張っていこう、そして
なにより、自分のために。」
真桜「やな。」
二人の顔は一刀と会うまえのどんよりとした顔から
適度な緊張をもちつつもリラックスした顔になっていた。
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関羽「今回ほど・・・、想いが人の力を変える、というものの強さを知りました。」
厳顔「あぁ・・、私も同感だ。」
次の戦いを控えた二人が話していた。
関羽「しかし・・・我らとて同じ事。桃香様への想いは誰にも負けぬ。」
武器を構え関羽が鼻息を荒くしながら言った。
厳顔「うむ。 あちらにも大切な人がいるように、我らも敬愛する方がおる。」
厳顔も関羽の意見に賛同した。
関羽「桃香様の笑顔の為、今回も我ら蜀が優勝をいただきましょう。」
厳顔「うむ、あの方の笑顔の為に。」
二人が武器を勝ち合わせて誓った。