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小覇王  作者: たっちゃん(小さな畔)
2/6

武と武

両者が小刻みに動き合うも、絶好の間合いを取らぬまま、春蘭が甘寧目掛け飛び込んだ。


春蘭「てぁぁぁ!!!」


雄叫びをあげながら七星餓狼を振りかざした。


甘寧「ふんっ!」


甘寧が春蘭の攻撃を横に一回転して避けた。


甘寧「そんな見え見えの攻撃に当たるものかぁ!!!」


甘寧は避けた後、立ち上がりざまにそのまま春蘭目掛け飛び込む。


春蘭のように大降りはせずにぶつかる瞬間まで腕に力を溜めて、春蘭の


脚目掛け鈴音を薙いだ。


甘寧が鈴音を抜いたとき、春蘭は口元をニヤリとさせてそのまま地を蹴り


ジャンプして甘寧の攻撃を避けた。


甘寧「なんだとっ!」


そのまま落ちる重力を利用して七星餓狼を甘寧目掛けて振り下ろした。


甘寧「ちぃっ!!!!」


ギィィン!!


甘寧が体をねじり、上からの振り下ろし攻撃になんとか対応した。


しかし、たった一撃だけで終わるわけが無い。


餓狼を防がれるのが分かっていた春蘭は脚を大きく振り抜いて


甘寧のおなかに思い切り飛び込んだ。


さすがの甘寧もこれには対応できず、一発をもらってしまうのだった。


甘寧「ぐぁっ・・・!」


春蘭の脚力と重力があいまった蹴りに甘寧は大ダメージを受けてしまった。


しかし、すぐさまその場から後ろへ飛びながら離れた。


攻撃を見舞った春蘭は余裕の瞳でその行動を見送った。


甘寧「まさか・・・、私の攻撃が読まれるとはな。さすがは夏侯惇。」


春蘭の行動に甘寧が感嘆した。


春蘭「確かにお前は強い・・・・、だが攻撃が模範どおり過ぎる。」


甘寧「模範どおり・・・・だと!?」


春蘭が意味深な言葉を投げかけた。


春蘭「そうだ。


    1対1で戦うとき人知れず武人は脚を狙う。


    機動力を削いでしまえば勝てる確率が一気にあがるからな。


    素早さが売りの貴様は知らず知らず攻撃の軌道がそれになりがちだ。


    なら私はそれを予測し、隙をみせ、攻撃してきたところを避けて反撃すればいいだけだ。」


淡々と春蘭が甘寧に言い切った。


甘寧「ふっ・・・、馬鹿のように見えて中々考えているものだな。」


自分でも気づかなかったことを春蘭に言われ皮肉で言い返した。


春蘭「当たり前だ、伊達に華琳様の部下をやっとらんわ、はーはっはっは。」


春蘭が皮肉を褒め言葉と捉え、高笑いをした。


甘寧「だが・・、もし私が脚を取りに行く振りをして他の箇所へ攻撃を仕掛けたとき、


    予測行動していた貴様に、大きな一撃を入れられると思うが?」


負けじと甘寧が淡々と春蘭へ投げかけた。


春蘭「ふんっ、知れた事。


    貴様がそのような行動を取ったとしても、先ほど言ったように


    私が貴様以上の行動を取るのみよ、当たるものか。」


ふふんっ、と春蘭が自信満々に言った。


甘寧「よかろう・・・・・、やってみせてもらおうか!」


いつもクールな甘寧が吠えた。


春蘭「かかってこい! 甘寧!!」


負けじと春蘭も吠えた。


甘寧が鈴音を自分の前に立てて


甘寧「我が鈴音の鈴の音は・・・貴様を黄泉路へ誘う道しるべと思え!!」


春蘭は七星餓狼を背中に回し大きな構えから


春蘭「ふっ・・・・、たいそうなことをいう。


    我が大剣は魏武の剣なり!


    貴様などに折られるようななまくらではないわぁ!!」


春蘭の見えきりを皮切りに二人の姿が消えた・・・・


キィン!! ギィン!!


すごいスピードで二つの刃が交差していた。


時々聞こえる金属音は二人のつばぜり合いの音が激突の証だった。


真桜「な・・・・、なんて速さでたたかっとるんや、あの二人は。」


沙和「ぜんぜん目がおいつかないの~。」


凪「目で追うのがやっとだ・・・。」


秋蘭「三人共があの動きを捕らえたら一人前だな。」


琉流「ほとんど・・・・。」


季衣「みえないよね・・・・。」



どうやら現在二人の動きを捉えられているのは秋蘭だけのようだ。


琉流「秋蘭様・・・・すごいです!」


秋蘭「いやなに・・・・、ま、お前たちももう少し成長すれば見えるようになるさ。」


秋蘭が琉流からのほめ言葉にテレながら言った。


一刀「確かに・・・・、みんなももうちょい成長したら見えるようになるよ。」


一刀が横から突っ込んだ。


季衣「うわぁっ!!」


沙和「たたた・・・隊長いつのまにかえってきてたのなの!」


真桜「おどろかさんといてや・・・まったく・・・・。」


みんなが一刀の突然の登場に驚いた。


一刀「すまんすまん・・・・・って、あれ、凪は?」


一刀が凪を探して回りを見回すと応援席の端っこに頭を抱えて座り込んでいる凪の姿を見かけた。


一刀「な・・・、凪・・・・?」


一刀が心配そうに凪に話しかけた・・・・・・・・


凪は何かにおびえているように震えながら背後に気配を感じ振り向いた。


凪「た・・・、たいちょう・・・?」


一刀「ど・・・、どうしたんだ?」


凪「きゅ・・・・急に横になにかでてきて・・・、その・・・・。」


口ごもりながら凪が一刀に言った。


一刀「お化けがでたとおもったのか・・・・?」


一刀が思った事を凪に聞いてみた。


その言葉に凪が小さく頷いた。


一刀「はぁ・・・、俺の登場の仕方も悪かったけど・・・・、凪、お化け系も苦手なんだな。」


凪「そう言わないでくださいよぉ・・・。」


半泣きで凪が一刀に言った。


一刀「ほんと・・・、誰よりも女の子だなぁ、凪は。」


一刀がポンと頭に手をおいて撫で撫でした。


凪「あぅ・・。」


撫でられたのが嬉しいのか恥ずかしいのか顔を真っ赤にして俯いてしまった。


真桜「あー、凪ばっかりずるいな~、ずるいな~。」


沙和「そうなのそうなの~。」


一刀が凪ばかりかまうと野次をとばす二人。


一刀「まぁまぁ、そういうなって。凪。」


二人の野次を流して凪の名前を呼んで手を差し伸べた。


凪「すいません・・・。」


申し訳なさそうに凪が一刀の手を取って立ち上がった・・・・・


凪「どうやっても・・・、治らないんです・・・。」


凪がずーんと落ち込みながら一刀に言った。


一刀「別にムリに治さなくてもいいと思うぜ、そういうの中々治らないもんだしな。


   それにこれはこれでかわいいとおもうしなぁ・・・。」


凪の頭を撫でながら一刀がその弱点もチャームポイントだと告げた。


凪「しかし・・・、武将としてはどうかと思うのです。」


凪がそういうと


一刀「完璧な人間なんてどこにもいないさ、ちょっとぐらい欠点有るほうがいいさ。


    それに、戦場じゃあそんなこと考えれないだろ。」


凪「まぁ・・・、今まで一度もそんな体験はしておりませんが。」


一刀「じゃあいいじゃないか、気にしない気にしない。」


凪「本当によろしいんでしょうか・・・・。」


一刀「凪、く・ど・い。


   お前の隊長が言ってんだから受け入れなさい。」


口調は強くなるも優しく凪の頭を撫でながら一刀が言った。


凪「わ・・・、わかりました。」


さすがの凪も一刀には勝てないのであった。


そのまま二人が応援席に戻ろうとした時


秋蘭「姉者!!」


秋蘭の叫び声が聞こえた。


その声に反応して二人がリングの方を見た。


どうやら春蘭が甘寧に一撃を入れられ、吹っ飛んでいたようだ。


甘寧「ふん。 なんだかんだいってもこの勝負私の勝ちのようだな。」


春蘭「ふん・・・、たった一撃入れただけで余裕だな。」


しかし、春蘭の顔は苦痛に満ちていた。


脚に一撃を入れられ、骨折などはしていなくても、この戦い中機動力が下がるのは


必死である。


甘寧「では・・、このまま終わりとさせてもらおう。」


甘寧は肩で息をしながら春蘭に鈴音を向けながらいった。


あの甘寧も春蘭との攻防によりスタミナ切れを起こしかけていた。


春蘭「ふん・・・、まだ勝負はきまっておらん!」


春蘭がぐいっと顔の汗を手の甲で拭いて立ち上がった。


しかし、脚への一撃は予想以上に重く、フラフラの状態だった。


春蘭「(私としたことが・・・・・、油断したものだ。)」


甘寧「これで・・・、終わりだ。」


そう口にした瞬間、甘寧が攻撃を開始した。


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