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隊長さんと小さな迷い人  作者: らさ
第4章
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小話「ニナの誤算」

 馬鹿なのか。

 宰相の息子は、屋敷内で常にミオリを抱き上げて歩いている。

 それをこの屋敷の人間は容認している。どうして誰も止めないのだろう。

 まぁ、私も止められない一人なのだが・・・・。

 宰相の息子とミオリの幸せそうな顔を見ると「どうでもいいか」と思ってしまう。


 唯一、話が合うのは常識人のリリカ様だ。

 リリカ様と私はキール様が王城から帰って来ると目を合わせて溜め息をつく。



 あの改革から2年半、私は離宮付きの侍女からトラウト家ミオリ付きの侍女として過ごしている。

 それは幸運。

 私はミオリが大好きだから。

 それに、侍女として宰相家に勤めることができるのは大変な栄誉だもの。両親も喜んでくれた。


 だけど、誤算はこのトラウト家。

 まったく規格外だわ。精神的な負担が大きいのよね。


 まず、宰相夫妻の仲の良さが半端ない。宰相様はすごい愛妻家だし、奥様も宰相に常に寄り添っている。ご結婚されて35年、貴族の夫婦にしては珍しいわ。

 ただ、この奥様が変わってるのよね。美しくて凛としているけどオンとオフの差が激しいの。公式の場ではきちんとしているんだけど、お屋敷のなかではあまりにもフニャフニャして頼りない感じがあるのよ。ミオリのことを「子栗鼠、子栗鼠」ってニコニコしながら近寄る様はとても〇〇歳とは思えないわ。でも止めてやって、ミオリは動物じゃないから。


 サリー様は言うに及ばす、王都中にその女傑ぶりは知れ渡ってる。確かに憧れるわね。

 夫のジャン様は国内を忙しく跳び回っているから、なかなかトラウト家にいらっしゃることはないのよね。彼はサリー様の尻に敷かれながらも、彼女を手の平の上で転がしている感じがあるの。大人の男の余裕がみられるわ。

 お二人のお子様のリリカ様は常識人。個性的な面々のなかで唯一話しているとホッとする方ね。でも、あの頭の回転の良さはとても10歳とは思えないわ。


 キール様の妹たちも個性的。1人は王都の国立劇場の専属女優をしている。私は彼女が宰相家の一員だったなんて知らなかった。彼女の夫は、国一番のイケメン俳優。お二人がいらっしゃると、お屋敷が劇場になってしまうの。突然、歌ったり踊ったりするから。初めは舞台を見ているようでお得感があったけど、最近ではそうでもなくて少し疲れてしまう。まぁ、眼福だからいいけど。

 もう、一人は妹って聞いてたけど実際は弟らしいわ。でも、女装が似合うというか。女性といわれても全然違和感がないのよ。綺麗なのよね。私より綺麗だから、ちょっとイラつくわ。彼もミオリに激甘。来るたびに抱きしめようとするからキール様に牽制されている。一応男性だからか、キール様も必死に近づけないようにしているわ。見ているととっても可笑しい。


 こんな屋敷の人々に使用人の反応はほとんどない。慣れって怖いわ。

 私なんかいまだに驚いたり、イラっとしたり、密かに笑ったりしている。


 でも、良かったわね。ミオリ。みんながあなたを愛してくれて。

 この屋敷の人たちはとても寛容だもの。あなたが迷い人なんてこと全く気にしてないし受容もできている。貴族の中では稀有な存在よ。

 この中で、笑顔でいられるあなたに心底ほっとしているわ。


 見ている私は、疲れるけどね。

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