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あたしの兄貴は”ワル”だった。
毎晩遊びに行って帰ってくるのは夜。
よく笑ってた兄貴だけど、ときどき見せる顔はすごく怖かった。
かっこよかった兄貴は良くもてた。
兄貴に彼女が居ないときをあたしは知らない。
そんな兄貴が突然死んだ。
事故だったらしい。
お酒を飲んでバイクで走り回って事故った。
父さんは拳を握って震えていて、母さんは泣き崩れた。
「馬鹿だなぁ、兄貴。」
あたしの口からはそんな一言しか出てこなかった。
涙も出なかった。
・・・外を見ると、すごく綺麗な青空だった。
- 兄貴と心をなくした 12の夏 -
やっぱり兄貴のことは怖かった。
でも、大好きだった。