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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
17話:goodbye, special world
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その5・選択肢

[クロノ]

目の前が明るくなる。

先ほどと同じ光景が見える。

どうやら闇がどうのこうのといった話は終わったようで、戻ってきたようだ。

頭が痛い。

あとついでに右腕が熱い。

クロノ「くっ…うぅ…」

周りから何か聞こえている気がするが、よく聞こえない。

クロノ「あぁ…あああ‼︎あああああ‼︎」

頭の痛みがひどくなってくる。

両手で頭を抑え、何かが出ようとするのを防ごうとする。

(いや、何が出るのかは知ってる。防ぐ必要はない。闇になって手に入れた力だ。やるしかないか。)

クロノ「ああああああああああらああああああああ‼︎」

頭を抑えていた手を振り下ろす。

振り下ろすした手から紫色の魔力の塊が放出される。

放出された魔力は人型へと形を変えながら飛ぶ。

人型となった魔力はハンスの両手首を掴む。

ハンス「え、なに」

魔力は両手を勢いよく引き、ハンスの手首をもぎ取る。

ハンスが叫ぶ間もなく、右手でハンスの首を掴み、メイの方へと投げ飛ばす。

避けきれなかったメイにぶつかり、2人とも動かなくなる。

カイズ「これは…闇魔獣…なのか……?」

マキノ「メイ‼︎」

メイ「体を動かすための機能が破壊されました。」

ハンスからは返事がない。

首を掴んだ時にゴキッと爽快とも言えるような鈍い音が聞こえた。

おそらく、首の骨が折れたのだろう。

闇魔獣はシーラと高坂さんを持ち上げ、自分の元へと歩いてくる。

シーラと高坂さんを横に置き、自分に対して跪いた。

クロノ「俺に従うってか…これが闇の力ってわけか…?」

右腕が動き、闇魔獣の頭に触れる。

闇魔獣の体が右腕に入ってくる。

右手を閉じたり開いたりを繰り返す。

クロノ「ま、いっか。さてと…高坂さんに説明しとかないとな…」

高坂さんに手でメモを書くジェスチャーをする。

分かったように頷くと、ポケットを探りスマートフォンを取り出す。

暗証番号を押して、メモの画面を開き、渡してくる。

クロノ『読めるよね?』

高坂「はい!読めます!」

クロノ『今ちょっと事情っていうか病気みたいなののせいで日本語が喋れなくなってるんだ。』

高坂「そうだったんですか…。」

クロノ『なんとなく想像はついてると思うけど、ここは魔法の世界。高坂さんはちょっとやばい事件に巻き込まれてここに連れてこられたんだ。今から何とか元の世界に戻そうかと思う。』

高坂「魔法の世界…こんなに危険な…玄野さんも帰ってくるんですか…?」

クロノ『帰らない。』

高坂「なんでですか!帰りましょうよ!こんな危険な所に…」

クロノ『危険ではあるけど、こっちの世界でやらなきゃいけないことがある。今のこのチャンスを逃せば元の世界には2度と戻れないかもしれない。だから高坂さんだけでも帰ってて。』

高坂「……いやです…」

クロノ『なぜに?』

高坂「玄野さんも一緒じゃないといやです‼︎あっち側に帰れないなら…私もこっちに残ります‼︎」

クロノ『おふざけしてる場合じゃな』

高坂「ふざけてません‼︎」

真っ直ぐ自分を見つめてくる。

クロノ「はぁ…シーラちゃん…。」

シーラ「はい…」

クロノ「この人高坂凛子って言うんだけどさ…この世界に残りたいってーのよ。悪いけど、面倒みてもらっていい?」

シーラ「へっ?」

クロノ「ハゼットさんに言えば多分言葉通じるようにしてもらえるから。」

クロノ『そこにいるシーラって子と一緒にいてて。』

高坂「はい……」

スマートフォンを返して、門の方へと向かう。

クロノ「さてと、どうしたらいい?門を壊すか、動かなくさせるかのどっちかをしたいんだけど?」

マキノ「壊すのはまずい。壊して門が誤作動したらどうなるか分からない。」

クロノ「じゃあ動かないようになんとかしてよ。」

マキノ「あ、あぁ…」

後ろを振り返り、カイズを見る。

カイズ「させるものか…ならばこうしてやる…。」

カイズがパネルを何度かいじり、門を起動する。

クロノ「今度はなにをしやがっ」

すると、門の方から大量の手が出てくる。

手は高坂さんの方へと伸び、体を掴む。

高坂「きゃあ‼︎」

クロノ「高坂さん‼︎」

高坂さんだけでなく、シーラとハンス、メイまでも巻き込み、門の中に引きずり込もうとする。

クロノ「ちくしょう‼︎」

右手を伸ばし、魔力を手から出す。

魔力は右手に繋がれたまま、シーラとメイと高坂さんの体を掴む。

だが、手の力も強すぎる。

なんとかつりあっている状況だが、そのうちこっちの体力が切れてしまう。

クロノ「くっ…マキノ‼︎止めてくれ‼︎」

マキノ「町長‼︎」

カイズ「やらせん…貴様ら全員まとめて死んでしまえ…」

カイズが銃を取り出し、マキノに向ける。

マキノ「なっ…」

カイズ「情けとして貴様らの名は語り継いでおいてやろう…我が町の裏切り者としてな…」

クロノ「ぐっ…がはっ‼︎」

どうやら右腕の闇の魔力は使い過ぎると体に負担がかかるようで、吐血した。

(保たねぇな…これは…‼︎)

シーラ「クロノさん‼︎私はいいから‼︎」

クロノ「うっせぇ‼︎あんたには高坂さんの面倒見るよう託しただろうが‼︎今更逃がさねぇぞ‼︎」

だんだん力が入らなくなってくる。

男「まったく…お前の周りではいつも大事件だ…」

扉の方から声がする。

ジェス「だから楽しいっちゃあ楽しいんだが…限度ってもんを考えてくれないかなぁ…」

クロノ「ジェス‼︎お前‼︎」

カイズ「まだ仲間が…?」

ジェス「この登場こそ、ヒーローなんじゃねぇのか…?窮地のヒーロー、ジェスティー・ロック、参上…」

ジェスがカイズに向かって銃を撃つ。

カイズ「くぅっ‼︎」

弾はカイズの手にある銃に当たり、弾き飛ばす。

ジェス「チャンスはそうやって逃がしてくんだぜ、町長さん…相手を狙うときは一思いにだ。」

もう1発撃ち、カイズの腹に当てる。

カイズ「ぐぅあ‼︎」

マキノ「はあぁ‼︎」

マキノがカイズを掴み、門の方へと投げる。

手はカイズを見つけると、腕を伸ばしてカイズを掴んだ。

カイズ「なっ⁉︎おい、やめろ‼︎おい‼︎」

一瞬でカイズは門の中へと引きずり込まれた。

マキノがパネルの前に立ち、操作をする。

門が無理やり閉じられていき、門から出ていた手が門に挟まれる。

ぶちぶちと手がちぎれ、門が完全に閉まる。

クロノ「がぁっ‼︎くっそ…超疲れた…」

シーラ「クロノさん…」

クロノ「ったく…世界救いすぎだろっての…」

ジェス「お前も十分ヒーローだよ…っと…」

ジェスが倒れる。

シーラ「ジェスさん‼︎」

クロノ「ちょっと血を流しすぎたかな…ハイネスとかいうやつ…強すぎなんだよ…わり…ちょっと意識が…」

シーラ「早く城から出ないと…」

マキノ「そこのワームホールから私の研究室に行ける。サシュが治癒の魔法を使えたはずだ。」

クロノ「………」

マキノ「どうした、クロノ?」

クロノ「ジェスと高坂さんとシーラだけ連れてっててくんない?俺は門の方から出るよ。」

高坂さんにマキノについて行くよう促す。

マキノ「なんでだ?」

クロノ「門の方でハゼットたちが戦ってたからな。多分、まだいるだろ。」

シーラ「私も行きます!」

クロノ「そう?じゃあそういうことで。」

立ち上がり、扉に向かおうとする。

マキノ「クロノ。」

クロノ「ん?」

マキノ「本当にすまなかった…」

クロノ「そういうのはまた後で聞くよ。」

マキノ「だが…」

クロノ「別にいいってのに…じゃあそうだな…こうしよう!マキノにお仕置き一個与える。」

マキノ「お仕置き?」

クロノ「今度ラフの連中にデザート作ってやるつもりなんだけどさ。その時だけマキノはお預け。」

マキノ「うっ…そんな…」

クロノ「はいはい、ジェスが死なないうちさっさと回復さしてあげて。」


城の玄関に着く。

外からは大きな歓声が聞こえてくる。

クロノ「でかい騒ぎだなぁ…お祝い?」

シーラ「いや、これはお祝いじゃなくて…」

よく耳を澄ますと、「裏切った者‼︎」とか、「俺たちを騙していたのか⁉︎」などなどの罵声やら何やらが飛び交っている。

時折、ハゼットの名前も聞こえてくる。

クロノ「そういやハンスがラフのあることないこと言いふらしたって言ってたな…」

シーラ「それじゃあ…」

クロノ「何とかする方法…」

(ハゼット達のこの窮地を何とかする方法か…)

クロノ「あるにはあるんだよなぁ…」

シーラ「えっ?」

クロノ「ハゼット達への勘違いを何とかできるかもしれない方法。シーラちゃん、ちょっとお願いしたいことあるんだけど…いい?」

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