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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
17話:goodbye, special world
90/95

その1・疑い

[クロノ]

レギオンの討伐が終わって数日。

アリアンテに帰ってきた時には既に情報がたどり着いていたのか、大きな歓声で迎え入れられたが、数日もするとそれなりに収まった。

ハゼット「脚は慣れたか?」

アクアの脚の失くなった部分は行方不明なので繋ぎあわせることもできない。

そこでマキノに脚を機械で作ってもらった。

魔力を流すことで自在に動かせるようになるのだが…

アクア「まだ勝手が分かってないね…よっと…ゆっくりなら歩けるんだけど、スムーズにとなると…ちょっと難しいかね…」

大変そうである。

フレアはアクアを介護する気でいたのだが、アクアがまだ若いのに引退はさたくないからとマキノに頼んだのだ。

アクア「走るまでを目標にしたつもりなんだけど…結構キツそうだね…」

フレア「ゆっくりやってきゃあいいんだよ。」

ブラン「あたし達が手伝うから!」

アクア「悪いねぇ、迷惑かけちまって。」


レギオンも討伐、特に変な事件も無し、そろそろ1年が終わる。

思えば長かったなぁ…。

大きな事件は数えるほどだったとしても、異世界で365日を過ごすのがこんなにも長いとは。

今まで約20年あっちの世界で過ごしたのはそんなに長く感じなかったのに。

(ま、あんな化け物退治の後だったんだ。このまま平和に…)

と思ったのがフラグだったのか、突如赤い鎧の男が扉を開けて入ってくる。

この男は…

ハンス「すみません、カミヅキ・クロノさんはいるかな?」

ハゼット「ハンスか。久しぶりじゃないか。」

ハンス・ケルベロイ。

アリアンテで少し前に新しく作られた聖騎士隊の隊長を務める。

聖騎士隊の主な仕事は町長の護衛、及び町長のお使い。

他にも数名ほどメンバーはいる。

ハンス「ハゼットさん、あの時はギルドの案内をしていただいてありがとうございます。」

ハゼット「礼には及ばんよ。案内くらいいつでもしてやる。んで、クロノだったか?用件は?」

ハンス「町長が是非会いたいと。」

クロノ「俺?えーと、俺なんか悪いことした…?」

ハンス「僕は頼まれただけだからよくは知らない。だけど絶対に連れてきてくれと町長殿が仰っていてね。来てくれないかな。というか命令だから来てくれないと困るんだけど。」

ハンスは柔らかいというかまさしく好青年、って感じの優男的な見た目と喋り方をするが、今回はすごく事務的なトーンで話しかけてくる。

クロノ「じゃあちょっと行ってきます。」

ハンスの後をついて行く。


ハンスは町長宅の方ではなく、路地裏に入っていった。

クロノ「ねぇ〜、町長さんのいる場所とは思えないんだけど〜?」

ハンス「極秘の内容なんだ。誰かに知られるわけにはいかない。」

ハンスのトーンがラフの時よりも若干厳しくなる。

クロノ「それだったらなおさら町長さんちで良いんじゃないの?それに、ラフのみんなにも知られちゃってるし…」

ハンス「さぁね。僕は極秘の内容があるから連れてきてくれと言われただけなんだ。僕にも詳しいことは分かっていない。とにかくついてきてくれ。」

普通は伝えないか?

自分の直属の部下の、しかも隊長を務めている男に。

一体なんだってんだ…?

やがて、外からの声が全くと言っていいほどの場所までやってくる。

そこには誰もいない。

クロノ「町長さんは?それか代理の人でもいるかと思ったけど…?」

ハンス「そうだね…」

その時、突然体に電流が走る。

比喩ではなく、文字通り体に電気が流された。

クロノ「ぐあああ‼︎」

耐えきれずについ、膝をつく。

男「はぁい、一丁上がり!クロノちゃん、俺覚えてる?」

軽い雰囲気の男が話しかけてくる。

もちろん、知っている。

だが、意識が保てない…




目が覚める。

そこは裏路地ではなく、どこかの一室だった。

(似てるな…)

状況がなんとなく、魔王城でキュリーに捕らえられた時と似てる。

あの時と少し違って、縛られ方が自分の両手を後ろで抑えられているのと両足を正座みたいにさせられた状態で縛られているくらいだ。

部屋の中はおそらく拷問室か、ちょっと小汚い牢屋くらいなもんだろう。

(このシチュエーションをまさか2度も味わうとはな…)

なんでこんな所にいるんだ…?

ハンスに呼び出されて、裏路地歩いて、電気を食らって…

どう考えてもハンスに騙されてこうなってるって感じだが…

扉が開き、1人の男が入ってくる。

黄色い鎧にはあちこちに銃が飾られている。

クロノ「ハイネス…」

ハイネス「お、ちゃんと覚えててくれたんだ。嬉しいねぇ〜。」

クロノ「なんなんだよこの状況は…」

ハイネス「なにって、拷問室に閉じ込めてるだけだけど?」

ハイネスが自分の目のまえで座る。

クロノ「どういうことか説明してもらおうか…?」

ハイネス「そうだね…拷問室は罪を犯した者、あるいは罪の疑いがある者以外はこうして縛られたりはしない、とだけ言っておこうかな?」

クロノ「俺が何したって…」

ハイネス「どうした?なんか言いにくいことでも?」

この世界に来て既に二箇所で殺人をしている。

クロノ「別に…なんでもねぇよ。俺が何したってんだよ…!」

ハイネス「自分の胸に聞いてみな。あとは拷問官の手厚〜い尋問及び拷問で吐いちまってもいいぞ?」

ハイネスが立ち上がると2人の男が入ってくる。

ハイネス「そんじゃ、どうぞお楽しみを…あ、そうそう。その2人このアリアンテでもかなりサド〜い奴らだから頑張れよ。」

ハイネスが出て行く。


拷問官A「さてと…」

拷問官が睨みつけてくる。

拷問官B「自分がなんでこんな所にいるのかは分かってるな?」

クロノ「知らねぇよ…」

拷問官の片方が顔を握りしめてくる。

クロノ「ちょっ、いてぇって!」

拷問官A「知らねぇこたぁねえだろ、えぇ?あんたがやったっていう証拠もあんだよ。」

クロノ「なんの話だよ!それを先に言えっての‼︎」

拷問官が抑えていない方の手で殴ってくる。

クロノ「ぐっ‼︎」

拷問官A「レギオン討伐の時にあんたはさぞ大活躍だったようがよ。その時にアリアンテ国軍の第一遊撃隊がどこに行ってたかは知ってるか?」

第一遊撃隊?ガイアさん達がいる隊か?

クロノ「どっかの森で魔獣を退治してたって?」

拷問官A「なんだ知ってるんじゃねぇか…。その第一遊撃隊が何者かによって壊滅させられたんだ。」

クロノ「はぁ⁉︎なんで⁉︎」

もう一度拷問官が殴ってくる。

拷問官A「てめぇがやったんだろうがって言ってんだよ‼︎」

俺が…?なんでそんな話になってるんだ…?

拷問官A「遊撃隊を襲った賊共がいてな…遊撃隊とやり合ったらしくて、生存者はほとんど無しだ。少なくとも遊撃隊の方で生存者は確認できなかった。」

ガイアさんが…死んだ…?

拷問官A「だが賊の方には生き残りがいたんだ。そいつを拷問したらお前の名前を吐きやがったらしい。」

クロノ「らしいって…」

拷問官A「その賊の担当は俺じゃなかったんだ。俺の知り合いがやった。情報は確かだ。だからお前は何か知ってるはずなんだよ。あるいは…お前が黒幕かだ。」

ありえないぞおい‼︎

俺は誰かにそういうことは指示していない‼︎

誰かの策略だ‼︎

クロノ「俺じゃねぇ‼︎」

顔を抑えていた手を離し、その手で顔を殴ってくる。

クロノ「んがぁ‼︎」

拷問官A「じゃあなんであの賊はお前の名前を吐いたってんだよ‼︎知らねぇ奴の名前を吐けるわけねぇだろうが‼︎おぉ⁉︎」

クロノ「んなの俺が知らねぇよ‼︎ガイアさんが襲われたのだって今初めて知っ」

今度は別の拷問官の蹴りが腹部に入る。

クロノ「ぐぅ…‼︎」

拷問官B「さっさと言えよおら‼︎」

蹴りを何度も繰り返し入れてくる。

クロノ「うぁ…‼︎ぐっ、やめ‼︎うっ…ぐぇあ…‼︎」

腹を攻撃されたことにより、胃の中の物が喉を通って逆流してくる。

すると、拷問官の片方が自分の口を抑える。

クロノ「んんん‼︎んん‼︎」

(息が詰まるッ‼︎)

喉の奥からどんどんと吐瀉物が出てくるが、それが排出される場所がない。

少しして、口を放す。

クロノ「うぉおええええ‼︎」

口の中から一気に溢れ出てくる。

クロノ「はぁ…はぁ…」

拷問官A「そろそろ吐く気になったか、お?」

クロノ「だから…俺は…何も知らねぇって…」

拷問官A「ちっ…おい、アレ持ってこい。」

拷問官B「1発目だな?よし。」

片方が部屋を出ていく。

拷問官A「そんなに罰を受けるのが怖いか?それとも周りに嫌われるのが嫌か?」

クロノ「やってねぇもんをやってねぇって言ってるだけなんだよ…!」

拷問官A「あのなぁ。こっちはあんたが関わってる証拠持ってんだよ。あんたが直接手を下したり指示してねえならともかく、何も知らねぇってのはおかしいってのは分かるよな?んなの子供でも分かる話だぞ?」

クロノ「んなの俺でも知ってるよ…」

拷問官A「はぁ…」

拷問官B「おい、持ってきたぞ。」

入ってきた拷問官は桶を持っていた。桶の中には水がいっぱいまで入っている。

桶を地面に置き、その上に自分の顔を持ってこさせる。

クロノ「うぐっ‼︎」

拷問官A「さぁ、言ってもらおうか?」

クロノ「だから知らねぇって‼︎」

頭を桶の中に突っ込まれる。

抗おうとしても首の力だけじゃあ押し返されない。

(溺れる‼︎息が…‼︎)

ギリギリのところで顔を水面からあげる。

クロノ「はぁ…‼︎はぁ…‼︎」

拷問官A「言うか⁉︎あぁ⁉︎言うか⁉︎」

クロノ「なんでその賊ってのの言葉を鵜呑みにして俺を全力で疑ってくるんだよ‼︎そいつが嘘をついてるって可能性は考えねぇのかよ‼︎」

拷問官A「なんでんなことする必要があるんだよ。」

クロノ「俺を陥れようとしてるとか、色々あるだろ‼︎」

拷問官A「あぁ、あるかもしれねぇな。でもそいつを拷問にかけた知り合いは念を入れに入れまくって拷問したんだ。聞き出せる情報全部引き出したんだ。嘘はねぇ。」

クロノ「その証拠がどこに…」

また顔を桶に突っ込まれる。

クロノ「がはぁ‼︎」

拷問官A「いいからあんたはさっさと情報を吐けばいいんだよ‼︎」

クロノ「あんたただドSなだけで拷問官としての素質はまるでねぇな…!」

拷問官A「あぁ?」

クロノ「1個これって信じたらなんもかんも考えるのやめてそいつを疑うことだけをし続けてんだよ…。後で噛み合わない情報が出ても最初に出た方を真実だって勝手に思って後全部捨ててんだよ‼︎」

拷問官A「ごちゃごちゃうるせーんだよ‼︎」

また顔を突っ込ませる。

今度は突っ込ませながら背中を何度も殴ってくる。

さっきよりも長く入れられて顔を上げさせる。

クロノ「はぁ…‼︎うぇ…‼︎」

(くそ…まじで拷問ってのは最低な文化だな…)

それよりもハゼット達にガイア達のことを教えてやらないと…

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