表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
16話:10年に一度の悪夢
89/95

その6・戦いの後

[クロノ]

レオ「お兄ちゃん‼︎」

浜の方からレオが走ってくる。

クロノ「レオ‼︎アクアは?」

レオ「見つけたけど…ひどい怪我してる…‼︎」

クロノ「ひどいってどれくらいだ?」

レオ「えと…その…」

何かを遠慮しているように詰まる。

そこまでひどい怪我なのか?

クロノ「相当ひどいってわけだな。分かった。直接見てからにしよう。となると、医者だとか治癒魔法使うようなやつとかが必要になるな…」

ジェス「おい‼︎誰か治癒の魔法が使えるやつはいるか⁉︎」

町に入ってきた第3陣の集団に話しかける。

女「はい‼︎私、いけます‼︎」

ローブを着た1人の女性魔導士が手を挙げ、杖を持ってこちらに来る。

クロノ「よし、ちょっと付いてきてくれ。誰々付いてくる?」

ターニア「全員行く気満々さ。」

うん、そりゃまあそうだよね。

クロノ「レオ、案内頼む。」

レオ「うん‼︎」


浜に着く。

既に何人か、第3陣にいた兵達もこちら側にいた仲間なんかの救助に来ていたようだ。

レオ「あそこ‼︎今フレアが手振ってる‼︎」

レオが指差した方向でフレアが両手を大きく振っていた。

その足元に座り込んでいる人がいる。

あれがアクアだろう。あの青髪は間違いない。


アクア達の所に近寄っていくところで、アクアの体に違和感を感じた。

(アクアの足ってあんなに短かったっけ…)

だがその疑問は間違っていなかったようだった。

かなり近くまで来て、アクアの膝から下は無く、フレアの服を包帯代わりに縛っていた。

クロノ「超大怪我じゃねぇか‼︎」

フレア「応急処置はしたけど…‼︎後どうすればいいか…‼︎」

クロノ「アクア‼︎おい目ェ覚めてるか‼︎レギオンは倒したぞ‼︎」

だが返事はない。

一応、息はしているようだが、出血がひどすぎる。

呼吸も荒い。

女「任せてください‼︎まずは止血を…」

魔導士が杖を掲げる。

女「止血は完了…後は体力を回復する魔法を…」

一見変わったところはないが成功したのだろう。

もう一度杖を掲げる。

呼吸がだんだん収まってきた。

アクアが目を開ける。

アクア「うぅ…」

フレア「姉さん‼︎」

アクア「フレア…みんな…」

フレア「姉さん…終わったよ…‼︎勝ったんだよ‼︎」

アクア「なんだい…あたしが気失ってる間に追い返しちまったのかい…?」

クロノ「あぁ、一生戻ってこれないように地獄の底までな。」

アクア「倒したってかい…?あいつを…?」

クロノ「倒したのはブランだけどな。」

ブラン「弱点を見つけたのはクロノでしょう?」

カンザー「お主がおらねば我々は負けておったのかもしれんぞ。」

エリー「クロノさんがいたから、みんな逃げ出さずに戦えたんですよ。」

クロノ「持ち上げられるのは苦手なんだよ。あー恥ずかしい。」

ジェス「よっ‼︎英雄‼︎」

無言の腹パン。

ジェス「ぐほぉ‼︎」

クロノ「何故かは知らんがお前だけは殴れと誰かに言われた気がした。」

ジェス「このやろう…」

男「おい‼︎そこの魔導士のねーちゃん‼︎こっちにも来てくれねぇか‼︎」

離れた所から男が魔導士の女性に向かって話しかける。

近くで倒れている男が怪我をしているようだ。

女「あっはい‼︎えーと、とりあえず応急処置は済ませたので、後はちゃんとしたお医者様に診てもらえれば大丈夫かと。」

クロノ「あぁ。助かったよ。ありがとう。」

女「それでは、失礼します!」

魔導士の女性が走っていく。

クロノ「さて、とりあえず中央まで運ぶか。」

フレア「よし、姉さん。持ち上げるぞ…」

フレアがアクアを横抱きで運ぶ。


中央に着くと、ハゼットとシーラが辺りを探していた。

クロノ「あらー、入れ違い?」

ハゼット「クロノ‼︎みんな‼︎」

シーラ「クロノさん‼︎」

クロノ「あっちはどうだったの?」

ハゼット「いや、まだ情報の端っこが掴めた、という程度だ…アクアお前‼︎」

ハゼットがアクアを見つける。

ハゼット「その怪我‼︎」

アクア「ちょっとしくじっちまっただけさ…。」

ハゼット「しくじったって…あっちに救護班がいる。フレア、連れてってくれ。」

フレア「了解。」

フレアがアクアを救護班の元へと向かう。

ハゼットがそれを見送る。

ハゼット「周りの話を聞く限りだと、あんたら大活躍だったそうじゃないか。」

クロノ「ブランがトドメさしたの。」

ブラン「クロノが弱点見つけてくれたからでしょ。」

ハゼット「やつに弱点があったのか。」

クロノ「そ。目を刺して奴の見える範囲を潰すんだよ。どんな化け物でも見えなければ攻撃は当たらんし、奴の肌は硬すぎるからな。皮膚の内側を狙えるのが口の中か目の中しかないんだが、口の中だと狙ってる間に食われちまうんだよ。」

ハゼット「そうだ、奴は肉食だったんだろう?よく生きてたな…」

カンザー「さすがのワシも恐怖に震えてしまったわ。だが、クロノは平然としとった。」

クロノ「レギオンがどういうやつか知らなかったからだよ。だから人間食ってもおかしくはないなって思ってただけだよ。」

ハゼット「ともかく、あんたらのお陰でレギオンは倒せた。本当によくやってくれた。帰ったら宴会だな。」

クロノ「あぁ〜…ようやく終わりか…っとと。」

伸びをしたら力が抜けたのか座り込んでしまった。

ブラン「何、力でも抜けちゃったの?」

ターニア「クロノはあちこち動いていたし、戦闘中も1番動いていた。精神的にも肉体的にも、誰よりも疲れているはずだろう。」

レーニャ「戦ってる最中も他の人達が攻撃を受けないよう周りをずっと見てましたものね。」

クロノ「ははっ、たく…。」

ハゼット「さて、それじゃあフレア達が戻ってくるのを待って、ギルドに戻ろう。」

クロノ「ジェスはどうすんの?また友達探し?」

ジェス「いや、もういい。実は用事は済ませたんだ。」

シーラ「えっと…大丈夫なんですか?」

ジェス「まぁな…。」

クロノ「…?」

ジェス「ま、それなりに向こうで色々頑張ってきたのさ。」

クロノ「ふーん?」

ジェス「そのうち話すよ。今日は話さんがな。このお祝いムードをぶち壊すほど空気読めない奴ではねぇよ。」

クロノ「何してきたんだよ…?」

ジェス「だから言ってるだろ?今日は話さないって。気になって夜も寝れねぇか?でもダメだ。」

ハゼット「さて、それじゃあ一旦救護班の所に行ってみるとしよう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ