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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
2話:微笑みは手に入れに行くもの
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その3・オウンテクニック


[クロノ]

初めての戦闘は比較的弱い魔獣が相手で良かった。

いきなり強い魔獣と戦って負けて心を折られるのはイヤだ。

ハゼット「次は何の魔獣にしようか…」

キョロキョロと辺りを探している。

ハゼット「ふむ…アレの対処法くらいは知っておくべきか…。」

クロノ「アレ?アレって何です?」

ハゼット「ちょっと移動するぞ。」

ちょっと遠くまで行くそうだ。


始めに落ちた湖がある森の別の湖に来た。

あの湖よりはかなり小規模だし、池の方が正しいだろうか。

ハゼット「うむ、やはりいたか。」

何を見つけたんだ?

ハゼットの視線の先を見ると、そこには液体の塊のようなのがプルプルと動いている。

教えられなくても分かる。スライムだな?

生きているスライムを見るのは初めてだ。初めてじゃないとおかしいが。

ハゼット「スライムは、俺が知っている中で最も気をつけなければいけない魔獣の1つに入る。」

うそ?スライムって言ったらどこのRPGいっても序盤のチュートリアルで出てくるようなザコモンスターですよ?

ハゼット「何故だと思う?」

なんだろう。すぐに思い当たるのは…

クロノ「物理攻撃が効かない?」

あんなにプルプルしてると衝撃を全部吸収しそうだ。

ハゼット「それもあるが、1番の理由ではないな。かなりヤバい理由だ。」

この人の言う『かなり』は結構かなりな気がする。

ハゼット「ヒントはやつの食生活だ。やつだって生き物だから食事くらいする。どうやってすると思う?」

スライムの食事方法?なんだろう。口が付いているようには見えない。

…口が付いてないけど食事ができるということなら口以外で食べるのだろう。

どうやって?

……今、かなり恐ろしい仮説が出た。いや、多分違うだろう。

ハゼット「…言ってみな。」

クロノ「餌を体で包んで取り込んで溶かして吸収?」

ハゼット「その通り。ちなみにやつもまた肉食だ。」

うわぁ…。何そのグロ系のファンタジーエロゲでの捕食シーンみたいな食事法。

ハゼット「物理攻撃が効かないというのもあって相当危険な生物だが、池や湖といった水源なんかの近くでしか生息できない。水分がなくなったらこいつらは生きていけないんだ。」

なるほど、街の近くには川くらいしかなかったな。

…川も十分ヤバいんじゃ?

クロノ「川とかを下ってきたりしないんすか?」

ハゼット「そのために水門に門番置いたり魔獣除けの魔法使ったりしているんだ。」

お疲れ様です。

ハゼット「さて、そんなスライムだが、幸いなことに弱点がある。」

弱点なんてあんの?

ハゼット「やつは物理攻撃は効かんが、魔法攻撃に弱い。例えば火属性の強めの攻撃をすれば大抵のザコはすぐ蒸発する。」

あ、意外と弱い。

ハゼット「さ、やってみろ。」

やってみろって早くないすか?

さて、自分はハゼットとかみたいに魔力を手に集めて発射とかみたいなことはできない。

だが、マキノからくれた武器を変形して銃にすれば戦える。

銃弾は100%魔力で出来ているのでヤツにも効くはずだ。

ショットガンで戦うには届くまでに弾が拡散されすぎてうまく当たらないだろう。

剣を一本、銃に変形させて構える。最高のフィット感だ。もしかしてマキノはハナから俺にこれを使わせる気だったのだろうか。

スライムが歩く(というよりうごめく?)のをやめないが、この距離なら問題ないだろう。


ダダダダダダ‼︎


試しに数発、火の属性を込めた弾丸で撃ってみた。見事に命中。スライムの体に火がつき、だんだんと体が小さくなっていき、完全に消失した。

ハゼット「ビューティフォー。銃の腕前もアガバボォ‼︎」

え?急にどうした?

ハゼットの方を振り向くと別のスライムがハゼットの頭に飛びついて包み込んでいた。やべぇよやべぇよ…‼︎どうするよ、これ‼︎

何をしたらいいか分からずにオロオロしていると、いきなりヂューーーと何かを吸うような音が。

…これは……。

ハゼットの頭がスライムに溶かされているよう…なのか…?

スライムの体がハゼットの頭を中心として真っ赤に染まっていく。スライムがウネウネ動いているのはおそらく、溶かしたハゼットの、頭を、、吸って…うぇ…。あかん、これはさすがにあかん。

手に持っている銃をスライムに向ける。マシンガンなんかにしてられない。ショットガンで一発で仕留めてやる。


ズガン‼︎


大きな発射音とともに大量の炎の粒が発射される。

炎はスライムを包み、一瞬で消し去る。

ハゼットの顔があらわになる。…あらわにしない方が良かっただろうか…。

なんか色々ヤバい色がチラチラと顔中に見える。

するとすぐに顔が治っていく。どうやら自分に治癒の魔法を使っているようだ。

ハゼット「普通の人間なら体を取り込まれた時点で負け確定なんだがな。フレアから聞いたろ?俺は不老不死だから。」

便利だなぁ、不老不死。なりたいとは思わんが。


ハゼット「さて、次だ。ミニゴブリンにリベンジといこうじゃないか。」

ミニゴブリンか。あの木をぶち折るとかいう。

ハゼット「森を歩いてたら会えるだろ。行くぞ。」

会いたいような、会いたくないような。


森を歩いていると、ふと何か胸騒ぎのような何かを感じる。なぜだろう。

周りを見渡しても木ばかりでよく分からない。

こういう場所だと猿みたいに木と木の間を動き回りながら戦うと強そうだな…。

こう…木を登って上から攻撃するとか…。

……上から……。

奇襲攻撃にうってつけじゃないか。

知能があってもなくても奇襲攻撃は動物が本能で思いつく作戦だ。

どうやって対処するか。あまりを周りをキョロキョロ見て警戒しまくると、相手も成功しないなと思って作戦を変えるだろう。相手の行動が分かっている以上、できれば奇襲して飛んできたところを返り討ちにしてやりたい。そのためには後ろから攻撃されても相手の位置が正確に分からなくてはならない。

どうするか…。相手から攻撃を喰らう前に相手の位置が分かる方法…。

(…逆に考えてみよう…。)

相手から攻撃を喰らってから攻撃仕返せばいい。

攻撃されたら相手が自分の至近距離にいると分かるんだ。

かといって相手の攻撃を喰らって仰け反ってしまったら意味がない。

…相手からのダメージを受け流す方法はないだろうか。少しやってみたいことがある。

いつ来てもいいように、体中に魔力を念入りに貼っておく。


…しばらくしていきなり後頭部に強い衝撃がきた。

その瞬間、相手の衝撃を吸収して、その衝撃を左手まで受け流す。左手に届かせるまでその衝撃を通った箇所がすごく痛い。なるほど、確かに水を流した後はそこが濡れるものだ。しかし、耐えられる程度の痛みだ。

振り返り相手の位置を捉え、左手の拳をヤツの腹にぶちかます。そしてやつに魔力を流す。雷属性で相手を痺れさせて動けなくする作戦だ。

成功。やつは地面に倒れ伏してピクピクしている。最初のウサギの時みたいに右手に魔力を込める。今度は右手にも雷属性の魔力を込めよう。

相手はまだ動けない。自分の力の強さを思い知っていることだろう。

チャージ完了。右手を高くかざし、倒れているやつの後頭部めがけて思いっきり振り下ろす。


ゴリッ‼︎


まだまだ。魔力を全力で流す。右手から雷が溢れる。

バリバリと煩い音を立てながらやつの全身を攻撃する。

しまいに、やつは動かなくなった。

撃破、完了。


ハゼット「なんだ…今の技術は…。」

どうやらハゼットもカウンター攻撃という発想はなかったようだ。

そりゃそうだ。相手に殴られて発動するカウンターなんてゲームの中のキャラでしか普通できない。

ハゼット「これだけ戦えるなら十分だな。5体が目標と言ったが、もういいだろう。」

思ったより早く達成できた。天職なのかもしれんな。

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