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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
14話:トラベル to ヘル
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その2・拷問室

[クロノ]

クロノ「んぅ?…あれ、えーと…」

目が覚めると、土で出来た部屋で鎖につながれていた。

両足は地面に打ち込まれている杭に縛られ、両手は天井にぶら下がっている鎖につながれている。

クロノ「なんでこんなことに…」

キュリー「なんだ、ようやく目が覚めたか。」

(あぁ、思い出したわ。)

クロノ「拉致られたんだっけ。」

キュリーが自分を攫った時と同じ格好で立っていた。

入り口のすぐ横には、始めに来た広間で見たメイドが立っていた。

クロノ「気絶してどのくらい経った?」

キュリー「1時間も経っておらんぞ。まったくあの程度の魔法で気絶するとは…」

クロノ「壁に後頭部思っきしブチ当てられたらそりゃ気絶するに決まってんでしょうが。」

キュリー「軟弱な人間だな。」

この世界の人間はどうなってんだよ。

クロノ「そういや、俺はなんでこんなところにまで攫われてきたの?」

キュリー「貴様に聞きたいことがあってな。答えてもらうぞ。」

クロノ「何聞かれるかは知らないけど…ヤダ。」

キュリー「私はドラキュラの血を引いている。知っているか?ドラキュラ。」

クロノ「人間の血を吸って自分の眷属にするってやつ?」

キュリー「いや、人間だけというわけではないし、眷属にするわけでもない。同じ魔族の血も吸うし、私の祖先には同じドラキュラの血を吸う者までいたらしい。言い伝えでしかないがな。」

俺の知ってるドラキュラよりタチわりぃ。

キュリー「だが純粋なドラキュラではなくてな。父がドラキュラだったのだが、母がサキュバスだったのだ。」

クロノ「ハーフ?」

キュリー「まぁ、そうだな。…驚かないのか?」

クロノ「何が?」

キュリー「私が混血だということにだ。」

クロノ「えーと…」

この世界では…というか魔族には珍しいのかな?

キュリー「まぁ、異世界では珍しくはないのかもしれんな。」

クロノ「ん?えーと…」

キュリー「しらばっくれなくても、私には分かっているぞ。貴様はこことは違う世界の人間だ。人間界や魔界とはまた別の世界の人間だ。」

どうする…認めたら何をされる…?

カマをかけてるだけか、何かを確信しているのか…

認めたとして、何が起きる…?

キュリー「混血であるが故の能力なのか、私は血を吸うとその血に刻まれている記憶を読み取ることができるのだ。」

クロノ「血に刻まれてる記憶?」

キュリー「あぁ。その者が見た物、聞いた物、触れた物…その者が感じた物の全ての破片を、私も感じることができるのだ。」

クロノ「人の過去を覗くってことか?」

大した能力だな。

キュリー「教会で貴様の血を吸った時ももちろん、貴様の過去を見た。私はその時に見た景色に驚いた。高くそびえ立つ石造りの塔の群れ、馬も無いのに高速で走る鉄の馬車…地面は土よりも鉄のような石のような、見たことも無い素材で出来ている。そして何よりも…魔法を使う者が1人もいない。」

カマかけてるわけじゃないな。

クロノ「誰にも言わないって約束してくれる?」

キュリー「貴様が話す内容による。」

クロノ「例えば?」

キュリー「私に有益な情報が1つでもあれば私と貴様だけの秘密としよう。あぁ、モニカには話すかな。それとステラもここにいるのだから知れてしまうか。もし1つも無ければ…そうだな、今夜の夕食は貴様ということにしよう。ふむ…となると、別に他の者に話す必要もないか。いや、当然か…他の者に話してそいつに変な気を起こされても面倒だ…。まぁ、そういうことだ。話してくれるな?」

クロノ「話さないって言ったらどうなります?」

キュリー「そりゃあ拷問するに決まってるだろう。ここは拷問室だぞ?」

クロノ「はぁ…」

キュリーの手には何かロープが握られていた。

ロープを目で辿っていくと、天井につながっていた。

多分、引っ張ったら手足が千切れるとかそういうのだな。どうせ天井の鎖につながってる。

クロノ「話してどうするの?」

キュリー「聞いてから考える。これ以上の質問は認めんぞ?」

クロノ「あぁ…分かったよ言いますよ…」


クロノ「とまぁ、これが俺がこの世界に来た経緯ですかね。」

向こうの世界のことをあまりたくさんは伝えず、あまり魅力的にならないように自分がこの世界に来た経緯も一緒に伝える。

キュリー「ふむ…聞けば聞くほど謎に満ちた世界だな…魔法よりも魔法らしい物がたくさんある…。」

後ろのメイドを見ると、あくまで無表情から変えていない。

ポーカーフェイスなのか無関心なのか…

キュリー「…もう一度吸って確認してみるか…」

クロノ「えっ…」

キュリー「安心しろ、殺しはせん。少し吸うだけだ。」

クロノ「いや、ちょっ、教会ので十分満足したでしょ?」

キュリー「貴様に拒否権はない。だがそうだな…同じ箇所に歯を立てるのもかわいそうだから反対の首にしてやろう。」

教会の時とは反対の位置の首筋を噛まれる。

首の付近の血が体から出ていくのを感じる。

教会の時と同じく、噛まれた瞬間は痛みを感じたが、だんだんとそれが気持ちよく感じてくる。

ある程度吸ったところで口を離す。

クロノ「吸われるのが微妙に気持ち良く感じるのはサキュバスの血が混じってるからか…?」

キュリー「その通りだ。もしくは、貴様がただ単にそういうことに快感を感じる変態である可能性もあるがな。」

ドMになった覚えはないぞ。

キュリー「ふむ…やはり面白いな…よし……」

何かを考えながら顎に手を当て真剣な表情をする。

キュリー「よし、今日はこれまでにしよう。」

クロノ「今日はって、またやるの?」

キュリー「あぁ、当たり前だ。どうせまだ全部話していないのだろう?ステラ、後は頼んだぞ?後でモニカも来るだろう。」

キュリーが部屋を出ていき、ステラが一礼する。

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