表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
13話:ウェスタンカニバリズム
71/95

その6・信じてるから

[クロノ]

エリー「うああああああ‼︎」

エリーの鎌が振り下ろされる。

クロノ「せっ、と‼︎」

後ろに下がり距離を取る。

エリー「ああアアああアあ‼︎」

鎌をガムシャラに振り回す。

当たる距離だろうと当たらない距離だろうと大きく振りかぶり、圧倒的な速さで振り抜く。

(当たったら無事じゃあ済まんだろうなぁ…)

幸か不幸か、今のエリーは気が狂ってるという状態だ。

人間は全力を出すとき、脳で無意識ストッパーが働いてしまい、どう頑張っても全力が出せないのだ。

しかし、正気を失った人間はそのストッパーがかからなくなり、どこからそんな力が出てるんだというような、文字通り化け物のような力を出す。

だが、その攻撃の軌道は真っ直ぐで極端であり、攻めることしか考えられない。

クロノ「ふっ、はっ、よっと!」

ギリギリ鎌が届かないところで避け続ける。

エリー「ハゼ…ハ…ハゼ……ハゼット…さん…はァ‼︎」

エリーが距離を詰め、鎌を薙ぐ。

クロノ「ハゼットさんがァ‼︎」

鎌の柄の部分を掴み、鎌を止める。

クロノ「なんだって⁉︎」

エリー「私…私に…やさしくしてくれ…て…ハゼットさんだけ…やさしくしてくれて‼︎」

クロノ「それで?」

エリーが鎌を引き、距離をとる。

エリー「私を…助けて……くれて…ハゼットさんが……大好きで‼︎」

鎌を投げつけてくる。

クロノ「くっ‼︎」

鎌を避ける。

鎌は後ろの壁にぶち当たり、床に落ちる。

前を見ると、エリーが飛びかかってきた。

それに対し、こちらも飛びかかりエリーの頭を掴みら頭突きを食らわせる。

エリーがよろけている隙に、袖と襟を掴み、大外刈りで投げる。

倒れたエリーの腕を足で挟み、腕ひしぎ十字固めをする。

エリー「ぁぁうあ‼︎…ぁぁぁぁ…」

クロノ「この状況、俺が初めて女子会に迷い込んじゃった時にエリーさんにやり返したのと全く同じですね‼︎」

エリー「女子…会…」

クロノ「あの時もこうやって押さえ込みましたっけ‼︎」

エリー「せぇぇぇぇい‼︎」

抑えられている腕を無理やり持ちあげる。

クロノ「よっと。」

エリーの腕から離れ、着地する。

エリーが立ち上がり、強烈なパンチを振り抜く。

エリー「がぁぁ‼︎」

クロノ「はっ‼︎」

エリーの手を受け流し、腹に蹴りを入れる。

エリー「ぐうぅ⁉︎」

クロノ「そいやっさ‼︎」

顎に向かってアッパー入れる。

エリーの体が大きく飛び上がり、床に落下する。

エリー「はぁ…はぁ…」

エリーが立ち上がり、こちらを睨む。

クロノ「そういや、俺にエリーさんの過去を話してくれる約束もしてましたね。」

エリー「やくそく…」

クロノ「あと、エリーさんに女装見せる約束もしてましたっけ。まだ見せてませんでしたよね。」

エリー「女装…レオ……私…」

クロノ「俺は確かに覚えてますよ。他の誰でもない俺が、他の誰でもないエリーさんと。2人で約束しました。」

エリーが座り込む。

エリー「私…私……」

クロノ「エリーさん…」

エリー「私…大事な人たちがいました…。私のことを好きでいてくれる人たちが…」

クロノ「………」

エリー「私のことを好きでいてくれる、ハゼットさんや、レオや、アクアさんや、フレアさんや、マキノさん、ミランダさん、ターニアさん、レーニャさん、サシュさん、メイさん、ガイアさんも‼︎その代わりはいないです…キュリー様という言葉に勝手に惑わされていたのでしょうか…キュリー様がどんなに残酷な、あるいはどんなに優しい人であっても…みんなの代わりにはならないです…私は……みんなと一緒に居たいです‼︎」

クロノ「それがあんたの信じたいことかい?」

エリー「はい…‼︎私…まだちょっと…正気じゃないみたいです…ですからクロノさん…ちょっとキツイ気付けをお願いしていいですか…?」

クロノ「あぁ、任せとけ。」

エリーの目の前に立ち、右手を引く。

クロノ「おかえり。」

おそらく、人生でこれ以上の音を出すビンタは無いだろう。

魔力を全力で込めた右手を振り抜く。

エリーは地面に倒れ伏し、気絶してしまった。


クロノ「さて、あとは…」

自分たちをナイフやら棒やらを持った信者達が取り囲む。

クロノ「完全に忘れてたぜ…どうしよっかなー…」

すると、自分が入ってきた扉が思い切り蹴破られ、外から誰かが飛び込んでくる。

信者達の囲いを飛び越え、自分の横に立つ。

クロノ「あんた…⁉︎」

ジェス「俺を覚えててくれて光栄だね‼︎窮地のヒーロー、ラピッドイーグルのジェスティー・ロック様だ‼︎」

クロノ「なんでここに⁉︎」

ジェス「キュリー教があんまりにも怪しいもんで、教会に入ってみたら誰も居なくてさ。地下に降りる扉をこじ開けてここまで来てみたら、聞いたことある声が誰かと戦ってるような雰囲気でさ‼︎もしかしたらこれは参加してやるべきかな?と思って今に至るってわけよ‼︎」

まさにヒーローのような登場だ。

ジェス「俺と別れた後にこんなパーティが開かれてるとはねぇ‼︎俺も誘ってくれりゃあ良かったのに‼︎」

クロノ「俺だって飛び入り参加なんだよ。それより、ちょいと頼みがあんだけどさ。」

ジェス「何さ?武器なら貸さねぇよ?」

クロノ「エリーさん連れてってほしいんだけど。」

ジェス「は?」

クロノ「具体的にはエリーさん担いでこの囲み突破して町から出てアリアンテのギルドまで連れてってほしい。」

ラガズ「逃すと思うか‼︎外にも信者達を待機させている。そう簡単には」

クロノ「ごめん‼︎存在忘れてたからちょい黙って‼︎」

ジェス「お前、この集団を1人でなんとかする気か?」

クロノ「エリーさんの安全が最優先だからね。もうちょっとヒーローになりたいのさ。」

ジェス「それなら俺がここに残る方がいいだろう。ヒーローってのは1人で戦うことじゃないんだぞ?」

クロノ「まだ気になることっていうかさ、途中まで足突っ込んだんだからなんとかしてやりたいわけよ。」

ジェス「なるほどねぇ。」

クロノ「別にあんたの腕を疑ってるわけじゃないさ。あんた傭兵だろ?なら依頼っつーことで、受けてくれよ。」

ジェス「報酬は?」

クロノ「俺の特製デザート」

ジェス「…はぁ……任された‼︎」

ジェスがエリーを担ぎ、囲いを飛び越え扉を開ける。

「奴を逃すな‼︎」

「追え‼︎殺せ‼︎」

「誰が捕まってやるかよこのおバカさん共が‼︎」


クロノ「さてと…」

ラガズ「貴様1人で何ができるというのだ?その疲れ切った体で、この100を超える信者共を同時に相手するのか?」

クロノ「やらなきゃいけないんでね。」

ラガズ「英雄ぶるのも大概にしておくべきだったな!全員、その異教徒を惨殺しろ‼︎」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ