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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
2話:微笑みは手に入れに行くもの
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その2・ルーキーウォーリアー


[クロノ]

マキノ「ここをこうしてだな…こうすることで…」

マキノから一通り武器の説明を聞く。意外と応用の幅が広い武器のようだ。

剣の鍔の部分に筒のようなものがあり、これで刀身包むように伸ばせ棍にすることができる。先をはみ出すようにすれば槍のようにもできる。剣に剣を組ませて、一つの大きな剣にできたり、長い槍を作ったりというのもできる。銃でもできるようだ。

銃の弾はどうするのかと思ったが、鉛弾ではなく、魔力を固めて撃つのだそうだ。銃に魔力を込めてトリガー引くと、込めた魔力が発射される仕組みとなっている。これで自分にも発射ができる。発射の仕方も魔力の込め方によって変わる。少量の魔力を連続で込めながら発射するとマシンガンのように連射でき、大量の魔力を込めて1度に発射するようにすると弾が広範囲に拡散するショットガンや一点集中の遠距離型であるスナイパーガンのようにもなる。

これで素人向けにしたというのか…

素人に対する考えが甘いようだ。


ハゼット「それじゃあ、行くぞ。」

クロノ「どこでやるんですか?ってか何するんすか?」

ハゼット「街の外で軽くザコ退治だ。森の中はまだ詳しく分かってないことがあるから森の手前までを範囲にして、平原で魔獣を見つけて退治。とりあえず魔獣5体を目標にしよう。」

一体どんな魔獣がいるのやら…


街の外に出た。平原をざっと見回すと昨日はチラホラ見た魔獣が今はなかなかいない。

ハゼット「昼前や夕方だと、よく見かけるが、今は朝だからな。そんないないな。」

魔獣も朝から運動はしたくないということだろうか。

ハゼット「さて、まずはここで戦闘の基本からだ。」

はい、先生。

ハゼット「この世界では魔法をうまいこと活用して戦うわけだが、その魔法の基本中の基本、『魔力強化』が戦闘において必須となる。」

クロノ「魔力強化?」

ハゼット「あぁ、人間は魔獣と比べて圧倒的に筋力がなさすぎる。人間は木を殴り続けても折ることはできないが、昨日あったミニゴブリンは30分もあれば折れるくらいの力を持っている。」

マジかよ…あんな小柄なのにそんな力があんのか…。

ハゼット「だが魔力強化を使うと、自分の身体能力が上昇する。木を折れるくらいには強くなれるし、魔力強化が上手いやつはどこまでも強くなれる。家を飛び越えたりもできるし、やるやつは壁を歩いたりする。」

人間を卒業できると。

ハゼット「魔力強化が重要な理由がもう一つ。魔力強化は鎧でもある。敵のダメージを軽減させたり、剣で体が切られるのを防いだりもできる。魔獣との戦いにおいて、ダメージを受けないってのはよっぽど動きが洗練された達人くらいだ。ダメージを受ける前提となる強力な魔獣との戦闘では、魔力強化は必須なのだ。」

クロノ「鎧…ですか。」

ハゼット「昨日のお前が魔力強化ができていたら、あのミニゴブリンごときの攻撃ではおそらく頭をその辺の一般人にグーパンされるくらいの痛みに抑えられるだろう。」

木をぶち折るようなやつの攻撃をそこまで抑えられるのか。すげぇ。

ハゼット「それじゃあ早速やってみろ。お前なら多分すぐにできるだろ。」

すぐに…ねぇ…。やってみろって言われてもやり方が…。

ハゼット「魔力を全身に送る感覚だ。そこから魔力が固めるんだ。」

なるほど、これをこうしてこうきてこう…

言葉では説明できないが、とりあえずできたかな?

クロノ「できた…かな?ハゼットさんどうで」

ヒュン‼︎ゴッ‼︎

痛った‼︎いきなりハゼットが剣で肩を突いてきた。なるほど、グーパンか。痛いな、これ。

ハゼット「ふむ、かなりできてるじゃないか。異世界から来た割には魔力の扱いは天才的だな。」

クロノ「…そういうもんなんですか?」

ハゼット「一発でできるやつはそこそこいるが、そこまで硬くはならん。軽めに吹っ飛ばしてやろうと思ったが、耐えられるとは思わなかった。」

あんた俺を危険な目に合わせたくないとか言いながらかなりなことするな。


ハゼット「それじゃあ行くか。ホラ、ちょうどあそこに獲物が1匹いるぞ。」

指差した方を見るとウサギが1匹、ピョコピョコと歩いていた。あれも魔獣ですか?かわいいんだけど。

ハゼット「油断するなよ?あいつは肉食だ。人間が殴った程度じゃあビクともしない。」

訂正します。恐ろしすぎるわ。肉食ウサギなんぞ聞いたことねぇぞ。


ウサギの近くまで来る。近くと言っても十数メートルくらいは離れている。

ウサギはクリクリとした目で見てくる。目だけ見ればかわいいのだが、口元がめちゃくちゃ血まみれで台無しである。

ハゼット「朝飯の後のようだな。ヤツらは共食いも平気で行う。」

今共食いの話しなくていいじゃないすか。まるでこいつは今共食いをした後で、たまたまそこに上月玄野とかいう食後のデザートが歩いているみたいな感じがするじゃないですか。

ハゼット「ほら、剣を構えろ。」

そう言われたので背中の剣に手をかける。

いきなり二刀流は難しいので、1本を両手で持つ。

ウサギの目つきが変わるのが分かる。どうやらこちらを自分に害を与える敵と見なしたようだ。

ハゼット「魔力強化はしてあるな?」

さっきからずっとしたまんまですよ。

ウサギはただただこちらをじっと見つめている。

ハゼット「こちらから攻めるも、向こうから攻めてくるのを待つのも、お前の自由だ。失敗したら俺がフォローする。お前なりのやり方でやってみろ。」

なら先手必勝といかせてもらおう。

剣を持って走る。まずは一振り、上から振り下ろす。ウサギは自分の右側にヒラリと避けて、着地してすぐこちらに飛んできた。

(このままだと腹をイかれる‼︎)

剣先を地面につけたまま片手で柄を持ち、自分の左足に魔力を集中させて後ろ回し蹴りをウサギに食らわせる。見事にかかとが命中。ウサギを吹き飛ばしてやった。

ハゼット「いいヒットだが、やつはまだピンピンしてるぞ‼︎」

ウサギはすぐに立ち上がって、またこちらに突っ込んでくる。

ウサギが顔をめがけて飛びかかってきた。

誰が見ても分かる。かなり隙だらけな飛び方だ。まだ余裕をかましているということだろう。

剣を左手に持ち替える。そして右手に自分の体中に貼った魔力を一旦全部集中させる。

1発デカイのをお見舞いしてビビらせてやろう。

そうだ、せっかくなら属性を付けてみようか。

自分の手を顔の前に出し、俺のこの手が真っ赤に燃えるイメージを創り上げる。

手が炎に包まれる。

(…よし、これでぶちかましてやる!)

右手を腰の位置に下げる。

ウサギの口が人1人分まで近づいてきた。

(ここだ‼︎)

思いっきり右手を振り上げる。

拳は真っ直ぐ、ウサギの腹のど真ん中に命中。

ゴリゴリと押し上げる。

一瞬の出来事のはずだが、アドレナリンの力なのかスローモーションに感じる。

ウサギの体の中で骨がボキボキと折れるのが聞こえる。

拳を高く突き上げる。ウサギはそのままきりもみ回転をしながら高く飛び上がり、回転を続けながら地面に落ちてきた。


ハゼット「なかなかいい戦闘するじゃないか。こういうのは初めてじゃないのか?」

初めてではないな。ゲームの中で何回も魔物を倒しているんだ。

ハゼット「どうやらかなりの天才が落っこちてきたようだな。さぁ、次に行くぞ。」

今日の俺ならなんでも出来そうな気がする。もうなにもこわくない。

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