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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
13話:ウェスタンカニバリズム
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その1・西の町

[クロノ]

シーラ「は~い!今日も色んな情報持ってきましたよ~!」

シーラがギルドに加入してから、依頼だけでなく、色々なところで発生した魔獣の情報なども入ってくるようになった。

ハゼット「それに合わせて、人手も足りなくなってきたってところか。」

クロノ「そんなヤバいんですか?」

ハゼット「ヤバいというわけではない。依頼は優先しているが、依頼の方に人手不足になってることはない。が、依頼ではないが事件だとか強力な魔獣だとかの方に人を回すには足りていないな。」

クロノ「人手不足なんじゃないですか。」

ハゼット「どうにかすべきではあると思うんだがな…。」

エリー「だったら、こちらから集めに行くとかはどうです?」

ハゼット「そうするか。誰か来たいと思うやつがいるかもしれんしな。」

シーラ「ここから西の方に人の多い町があります。そこでしたら、もしかしたらラフに入りたいって人が見つかるかもしれませんね。」

ハゼット「なんて町だ?」

シーラ「ヤシュールという町です。」

ハゼット「ヤシュールか…。」

ハゼットが困ったような顔をする。

クロノ「どうしたんです?」

シーラ「ヤシュールは西側を代表する町の1つです。他の町にはない、ちょっと変わった宗教が数年前に誕生したんですが、ヤシュールの中ではそれはもう信者が増えましてね。」

ハゼット「特に事件が発生してるわけではないんだが、なんというかな…。」

クロノ「なんかありそうですね。」

ハゼット「宗教だと理由で疑うのはよくないがな。まぁ、気持ちは分かる。」

シーラ「それとこれは宗教には関係ないんですが…」

ハゼット「何かあるのか?」

シーラ「最近あそこでは『人喰い事件』が発生しているんだそうです。」

ハゼット「人喰い…?」

シーラ「はい、行方不明になった人が2,3日したら体のどこかを失った状態で戻ってくる…という事件があるんです。」

クロノ「人喰いってことは、その人らは食べられてるんですか?」

シーラ「はい、一月に1人犠牲者が出るので、神が供物を求めているとかなんとか。」

クロノ「ふぅん。」

ハゼット「どうした?」

クロノ「やっぱ胡散臭いです。」

エリー「神の供物だというなら、分からなくもないですけど…。」

クロノ「それはそれで町の人が可哀想でしょう?」

ハゼット「そもそも、その宗教に本当に神がいるのかさえ怪しいがな。」

エリー「ハゼットさん?」

ハゼット「500年くらい前だったかな。いわゆる神の住む世界というのに行ったことがあるが、供物を必要とするような神なんぞ、いることはいるがそんなにはいない。死神くらいなもんだ。」

神の世界か。

ハゼット「その町に死神がいるんなら分からんでもないがな。」

シーラ「確か、人間の心を作った神…でしたね。」

ハゼット「メンターの同業ってわけか。尚のこと怪しいな。」

クロノ「メンター?」

シーラ「この世界において、人間に心を授けたとされる神です。信仰しているって人はあんまり聞きませんね。」

ハゼット「あいつには神界で会ったことがある。あいつは新たに生まれてくる赤ん坊の心を作って精神に組み込むので忙しいからそんなに話したことはないがな。」

クロノ「ヤシュールでしたっけ?人集めではないにしろ、ちょっと行ってみたいですね。」

エリー「じゃあ私と行きましょう?」

ハゼット「そうだな、あんたらに頼むとしようか。」

クロノ「分かりました。」

ハゼット「まぁ、深追いはするな。情報を集めてくるだけでも構わん。最良で解決、最悪で成果0だ。頼むから無事に帰ってきてくれよ。」


夜、明日の出発に向け、エリーと支度をする。

クロノ「この世界で宗教戦争ってのはあるんですかね?」

エリー「そうですねぇ…。住民同士で小競り合いはあるかもはしれないですけど、大きなものはありませんね。そちらの世界では?」

クロノ「ちょくちょく…っていうか多分、無い時が無かったですかね。必ずどっかで宗教が絡んだ大きい戦争がありましたね。」

エリー「そうなんですか?」

クロノ「そもそも、こっちには神様ってのは架空の存在でしかないですからね。」

エリー「それなのに宗教が?」

クロノ「見たことがない以上、実在するかどうか分からないんですけどね。神様を崇めるんじゃなくて、人の心を支配する為に、在りもしない神様を作りあげる人もいたような世界ですから。」

宗教というのは、組織をまとめるのに最も効率のいいやり方だとかなんとかどっかで聞いたことがある。

エリー「複雑ですね。」

クロノ「もっとシンプルに生きればいいのにって思うこともありますね。それだったらこっちの世界の方が気楽かな。」

エリー「なら残ります?」

クロノ「いや、戻らなきゃダメですよ。元々あっちの世界の人間なんですから。」

エリー「………貴方本人の考えとしては、どうなんですか?こちらの世界に残りたいか、あっちに戻りたいか。」

クロノ「…さぁ。」

エリー「私としては、こちらの世界に残っても構わないと思います。クロノさんは強いですからこの世界でも生きていけますし、クロノさんのことが好きな人もたくさんいます。」

クロノ「俺のことが好き…ね…。」

エリー「どうしました?」

クロノ「昔は嫌われてましたから、あまり好きと思われても…なんかね…。」

昔に1度、1年間くらいだろうか。

いじめられたことがある。

まぁ、友達というか、話し相手がいなかったことはないので、そこまで深刻なものではなかった。

いじめの時点で深刻ではあるのだが。

まぁ、なんとかここまで生きることはできている。

エリー「昔は昔、今は今です。昔のクロノさんがどういう人生を送っていようと、みんなクロノさんのことが好きなんです。私もですよ?」

クロノ「…はぁ……」

エリー「私は他の人たちと違って、大事なお友達として、ですけどね。おや、顔が赤くなっていますよ?」

クロノ「んなっ‼︎」

エリー「ふふっ、可愛い反応ですね。でもダメですよ?私にはハゼットさんという大事な人がいるんですから。」

からかいやがって。

エリー「では、私は先に寝ますね。おやすみなさい。」

クロノ「…おやすみなさい。」

俺のことが好きな人か…。

エリーのあの言い方からすると、俺のことを恋愛的に見ている人がいるということだろうか?

なんで俺なんだか…。

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