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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
12話:サマーガイズ
63/95

その8・クラーケン

[クロノ]

朝。

天気は快晴。

海に出るのに特に困ることはなさそうだ。

クロノ「よし、準備はいいな。」

カンザー「うむ、では行くとしようか。」

ブラン「師匠も行くの?」

カンザー「この中で船を操縦できる奴はおるのか?」

クロノ「というわけだ。」

カンザー「怪我をしてるわけでもないからな。せめてこれくらいは手伝わせてもらおう。いざとなったらワシも戦いに加われるしの。」


船で沖に出る。

フレア「おぉ…これが船か…」

シーラ「船は初めてですか?」

フレア「あぁ、初めて乗ったよ。」

クロノ「たまに船酔いする奴はいるが、お前は大丈夫か?」

フレア「あぁ、全然大丈夫だぞ。」

ターニア「例の魔獣が出る場所まではどれくらいかかりそうですか?」

カンザー「このまま真っ直ぐ進めば昼には着くじゃろうな。」

レーニャ「巨大なイカの魔獣ですか…。聞いたことないですよね…。」

ターニア「ふむ…この辺りでは有名なのですか?」

カンザー「いいや、あんな奴は初めて見た。」

クロノ「イカの魔獣…かぁ…。クラーケンってやつか?」

レオ「クラーケン?」

クロノ「あぁ~…。俺の故郷ではそういう巨大なイカの怪物をクラーケンって呼ぶことがあんのよ。」

ターニア「名前があるということは、遭遇した者がいるということか?」

クロノ「いやぁ、架空の存在だよ。人間がテキトーに考えてそれっぽい絵を描いて残してるってだけだし、実在するって思ってるやつはいないさ。」

ブラン「テキトーに考えたのに実在するなんて、運命か何かかしらね。」

異世界の話とは言えないけどな。


カンザー「着いたぞ…。」

ターニア「このあたりで遭遇したのですか?」

カンザー「うむ…。今は隠れておるのかのぉ…。」

レオ「僕らのことは気付いてるのかな…?」

クロノ「間違いなく気付いてるな。海に住んでる動物ってのは、離れてるところからでもどこに何がいるかわかってるもんだ。実はもうすでに足元にいたりするってのもありえる。」

カンザー「うむ、そうじゃ。実際ワシらもそうやって奇襲された。」

フレア「まじかよ…」

ブラン「油断できないってわけね…」

クロノ「そういうことだな…」

船縁に寄って、海を見る。

綺麗な青色が広がっている。

(こんな場所で魔獣の大量殺戮とはねぇ…)


見ていると、いきなり海の青が濃くなった。

クロノ「ん?なんだ?」

濃くなった部分は船の周囲だけで、少し離れた所はさっきと同じような水色に近いような青だ。

カンザー「どうした?」

クロノ「船の周りが濃くなって…何かいるのか?」

ブラン「私にも見せて!」

ブランが近づいてくる。

すると、海面から何かが飛び出してきた。

ブラン「なにこれ…?」

カンザー「触手‼︎」

フレア「危ない‼︎」

触手はブランに向かって伸びたが、フレアが咄嗟の判断でブランに飛びかかり、触手を避ける。

ブラン「あ、ありがと…」

カンザー「いかん‼︎船の真下にヤツがいる‼︎」

クロノ「全員構えろ‼︎どこから飛んでくるか分からんぞ‼︎」

海面からいくつかの触手が飛び出してくる。

カンザー「くそぉ‼︎」

クロノ「カンザーさんは操舵に集中してて‼︎俺らは大丈夫だ‼︎」

次々と迫ってくる触手を避ける。

クロノ「シーラ‼︎近くに来い‼︎」

シーラ「は、はい~‼︎」

戦える程の力を持っていないシーラを背中につける。

シーラ「左からも来てます‼︎」

クロノ「ちぃ‼︎」

剣を取り出し、触手を迎撃する。

触手は固くはなく、剣もしっかり通る。

フレアはブランを、レーニャはレオを、ターニアはカンザーを守っている。

触手を切り落としていくうちに、やがて触手が全て引っ込んだ。

フレア「お、終わった…か…?」

クロノ「いや、こんな程度で終わるはずはない。」

シーラ「クロノさん、あれ‼︎」

シーラが指差す方を見る。

海がだんだん盛り上がっている。

フレア「なんだありゃあ⁉︎山⁉︎」

海の水がだんだん落ちて、盛り上がってきた物の姿が見える。

クロノ「こいつがクラーケンってわけか。」

巨大なイカの化け物が姿を現わす。

乗っている船はかなり大型の船だが、この船ですら丸呑みにできそうな程の大きさだ。

クロノ「こんだけ大きけりゃそりゃ大食いでもあるわな。」

ブラン「こいつが…!」

ターニア「どうやって戦うんだ…?こんなのと…」

レーニャ「この船には大砲もありませんし…」

クロノ「しばらく俺の銃で遠距離から狙うしかないか…?」

大砲並みの攻撃もできるが、やはり火力に劣ってしまうだろう。

ターニア「なぁ、クロノ…。こういう時はどうすればいい案が思い浮かぶんだ?」

クロノ「そうだなぁ…。例えば、普通ではありえない戦い方とかだな。誰も予想できないってことは、相手も予想できないわけだから、相手の意表をつけるかもしれない。」

ターニア「ありえないような戦い方か…。」

クロノ「なんかないか…?」

フレア「ありえない戦い方…。例えば、あいつに近接戦闘を挑むとか?」

クロノ「船を近づけてか?近づく前に壊される可能性もあるぞ?」

フレア「いや…船で近づくんじゃなくて…」

クロノ「…?あっ…。お前まさか‼︎」

フレア「やってみる価値はあるだろ‼︎」

船縁に向かってフレアが走る。

シーラ「フレアさん⁉︎」

海に向かってジャンプし、船縁を飛び越える。

カンザー「何を⁉︎」

フレア「こうするんだよ‼︎」

大剣を足の下に置き、海に降りる。

剣は海面で浮かび、その上にサーフボードに乗るようにフレアが立つ。

ターニア「なっ⁉︎どうなってるんだ?」

フレア「魔力を海面から反射させるように流してるんだよ。これならやつに近づける!」

大剣に乗ったまま、スピードを上げてクラーケンに向かっていく。

途中、触手が現れフレアを狙うのを避けつつ接近していく。

クロノ「あれなら俺でもできるな。」

シーラ「クロノさんも行くんですか⁉︎」

カンザー「無茶はするな‼︎」

クロノ「無茶しないで倒せる相手でもないでしょ?」

ブラン「クロノ‼︎」

クロノ「何さ?フレア1人にするわけにもいかんし、止めても止める気は…」

ブラン「あたしも連れてって‼︎」

クロノ「はぁ⁉︎おま…何言って…」

ブラン「急がないとフレアが危ないでしょ‼︎早く連れてって‼︎」

クロノ「くっそぉ…。あぁ分かった‼︎ほら行くぞ‼︎」

カンザー「絶対に生きて帰ってこい‼︎この船は意地でもワシらで守る‼︎」

クロノ「任せとけ‼︎」

ブランを抱き抱え、海に飛び降りる。

ブラン「うえぇ⁉︎ちょっと⁉︎」

剣と銃を合体させ、足に置き、海面に降りる。

クロノ「意外と難しいが、すぐに慣れるな。よし、行くぞ‼︎」

ブラン「ちょっ、お姫様抱っこはダメ‼︎」

クロノ「ウダウダ言うな‼︎これが一番運びやすいんだ‼︎船に戻るか⁉︎」

ブラン「いいい行くわよ‼︎行ってよ‼︎」

クロノ「おっしゃあ‼︎」

銃から魔力を放出させ、その反動で前に進む。

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