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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
2話:微笑みは手に入れに行くもの
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その1・働かざる者

[クロノ]

『ラフ』に泊めさせてもらって2日…こっちに来た日も含めれば3日経った。

意外と生活に影響はない気がする。普通に料理は美味いし、ギルドのメンバーも優しい。

ハゼットが、このギルドのやつは信用できるということで、自分が異世界から来たことを話した。

ギルドのメンバーは全員、俺の一つ前の異世界から来た人間のことは知ってたようなので、普通に受け入れられた。

なんの不自由もない。ゲームやアニメがないのが苦しみではあるが、すぐに慣れた。


ギルドの内装は一言で言うなら酒場だが、酒は出ない。だが、ギルドのすぐ横の建物が酒場なので酒に困ることはないそうだ。

来年までのお楽しみだな。あまりここに長居すべきではないが。

3日も経ったわけだし、香坂さんやアパートの大家さん辺りはそろそろ異変には気づくだろう。

だが俺がこうやって異世界に来ていることは知らないだろう。また2年後くらいに俺が行方不明であることがニュースになるのだろうか。いや、ならないだろうな。俺にはロクに親戚もいないわけだし。


今日まで過ごして分かったことがいくつかある。

ひとつ、ハゼットとエリーのこと。最初聞いたときは驚きよりもテンションがなぜか上がってしまった。やつらは…なんと不老不死なんだそうだ。昔ちょっとした事故やら事件やらのせいでなってしまったとのことだが、詳しい話はまだ聞いてない。不老不死だって聞いたのはフレアからだし、フレアもあの2人が不老不死になった経緯を知らない。ただ、トラウマじみた胸糞悪くなるような事件ではあるらしい。

それを聞くと上がったテンションも下がらざるを得ない。

ふたつ、なんと自分も魔力操れるのだ。この世界に来るときに落ちたあの湖は魔力湖(まりょくこ)と呼ばれていて、水が魔力を大量に含んでいる影響で水がヌルヌルになっているのだそうだ。少量の摂取ではどうともならないし、大量に摂取しすぎると、身体、あるいは精神に異常をきたし、最悪死ぬのだそうだが、自分は奇跡的にもその中間に位置し、自分で魔力を操れるようになったのだ。(ハゼット曰く、そんなことができたやつは今まで約2,000年生きてきた中で1人もいなかったのだそうだ。)

もっとも操るにも限度がある。ハゼットがミニゴブリンを撃退したときみたいに魔力を発射することはできない。自分ができるのはあくまで自分の体に魔力を張り巡らすこと。体に張り巡らせた魔力になら属性を付与することができる。また、自分が触れたものになら魔力を流せるところまでは分かった。

この技術は日常生活に非常に重宝する。なぜなら、この世界には風呂や歯磨きといった、自分が元いた世界では当たり前の衛生というのがほとんどないのだ。しかし、体を清潔に保つ必要性は分かっている。この世界の住人は魔力を使って体の汚れを落としている。魔力を器用に扱えないものはその辺の川に行くしかないのだそうだ。

正直魔力を使える能力が発現して助かりまくりである。


かなり充実した生活ではあるが、ひとつきになるところをあげるとすれば…

自分が今ニートに近い生活を送っていることだ。異世界から来た人間ということで特別扱いということらしいが、ヒモなことには変わりはしない。自分はそういうのが非常に気になるタチだ。

あっちの世界にいた時は全く思わなかった感情だが、すごく働きたい。


ハゼット「ギルドの仕事をさせてほしい?」

クロノ「はい、このまま何もしないままってのは嫌なんです。」

ハゼット「いやしかしお前に危険な仕事は任せられんし…」

クロノ「俺はそこそこ魔力使えるし、危険じゃない仕事でいいですから!」

ハゼット「いや…だが…」

どうやら彼の中で葛藤があるようだ。おそらく前の人が危険なことに巻き込まれたから、ということなのだろう。

フレア「別にいいんじゃないんですか?」

後ろからフレアが会話に参加してくる。

フレア「この世界にいる以上、どっかで魔獣と出会うのは避けられないだし、対処法ぐらいは知っとくべきだと思いますよ?こういうのは実戦じゃないとわかりませんからねぇ。」

そうだ、あの時のミニゴブリン。あの時はハゼットがいてくれたからなんとかなったが、もし街の外に出ることがあって、1人になってしまったとき、俺はどこぞの宇宙エンジニアのゲームオーバー並にグロいことをされる可能性が大いにある。

まぁ、手伝いたい本当の理由というのは別にある。

クロノ「それに、このまま見ているだけじゃあ元の世界に帰る方法だって、見つからないかもしれません。解決策は待つんじゃなくて、手に入れに行くべきです!」

このまま見てるだけだったら何年かかるか分かったものじゃない。もちろん彼らが本気で俺が帰る方法を探してくれてるのは分かる。だからこそ、人手は多いに越したことはない。それに、自分が関係していることなのに自分が何もしないのはイヤだ。手持ち無沙汰というのは案外自分のハートに突き刺さるものなのだ。ガラスハートである俺には耐えられない。

ハゼット「…分かった…。ならそうだな、お前にはここの入団試験と同じものを受けてもらおう。それを達成することができたら、認めようじゃないか。」

いいだろう、なら満点で合格してニート生活からはオサラバしてやろうじゃないか。

ハゼット「危険な任務はやらせはしないが、軽い任務くらいならやらせてやろう。それでいいな?」

クロノ「ええ、それで構いません。」

ぶっちゃけ、手持ち無沙汰が無くなればそれでもいい。手がかりを探さないよりもマシではあるし、ここから少しづつでも強くなって、やれることを増やしていこう。


ハゼット「しかし、そうなると武器だな…。」

いきなり壁である。このギルドに限らず、この世界の力を持ってるものは、旅人だろうとサーカスの団長だろうと宿屋の女将だろうと武器を持っている。自分もギルドで働こうというのなら自分に合った武器を用意しなくてはならない。

マキノ「話は聞かせてもらったぞ‼︎」

うお‼︎うるせぇ‼︎急に後ろで叫ばないでくれ‼︎

マキノ「武器ならばちょうどこないだ研究が終わったのがある。それを試してはくれないか?」

ハゼット「そういうのは俺とかフレアとか実力あるやつが試すべきなんじゃ?」

正論である。

マキノ「いや、この武器は素人でも扱えるような武器にしたくてな。ちょうどいい感じにド素人がいるからクロノに任せたい。」

なるほど、それならば俺が適任だ。

フレア「なるほどねぇ。どういう武器なんです?」

マキノ「これだ‼︎」

彼女が出したのは…

剣が二本。やけに近未来的なメカメカしてる武器だ。

ハゼット「双剣?なにか違うのか?」

マキノ「ふふふ…ただの双剣ではないさ…。これはな、『変形する武器』なんだよ。」

なんだって?おい、それいいやつじゃん?

マキノ「この持ち手の部分に魔力を送り込みながら回すと変形する仕組みになっている。クロノ、試しにやってみてくれ。」

剣を一本渡されたので早速やってみる。

こう、こんな感じで…こう…


ガチャ、キュルキュルキュルキュル、ガシャン


とりあえずやってみると銃の形になった。分かる人には分かるがP○0というサブマシンガンがある。あれみたいな雰囲気だ。

マキノ「まさか一発でやるとは…。私でもなかなか上手くいかなかったのに…。」

ハゼットとフレアも試しているが、なかなか上手くいかないようだ。

マキノ「よし、これは今からお前が使うといい。お前が一番有効に活用してくれそうだ。」

と言ってもう一本剣を渡される。

クロノ「え、二本も?そんな、悪いですよ…なんか…」

マキノ「何を言う、お前の身を守るものだ。それに、お前以外マトモに使えなさそうだし、それはもともと2つでセットだ。」

確かに双剣って言うくらいだから2つで1つだろう。

マキノ「その武器の収納方法だが、ない。背中にでも背負っておけ。」

背中に二本の剣を背負う。どこぞのデビルハンターを彷彿とさせる。アイツは剣は一本で2丁拳銃だったが。

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