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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
11話:囚われのお姫様
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番外編・夜と酒

[クロノ]

クロノ「ミランダさんが来る…?アリアンテに?」

ハゼット「エリーが呼んだそうだ。今夜アレがあるだろ?人も増えたし、せっかくだからということで呼んだんだと。」

クロノ「アレ…あぁ、恒例の女子会ですか…。」

説明しよう!

ラフでは月2回の頻度で女性陣がギルドを貸し切り、女子会的なものを開くのだ!

当然男子禁制で、以前ハゼットとフレアはちょっとした事故から女子会の現場に入り込んでしまい、あれほどの制裁があってたまるかというほどの仕打ちを受けたらしい。

ギルドにいられないので、仕方なく男子勢は隣の酒場で飲んでいるのである。

クロノ「いつ来るんですか?」

ハゼット「知らん。だがまぁ、女子会が始まるまでには来るだろ。」

フレア「ただいま帰りましたよ~。」

フレアがターニアとレーニャとマキノを連れて帰ってきた。

ターニアとレーニャがこのギルドで働くことが決まったので、2人用の装備を作るためにマキノの研究所で寸法を測ったりしてきたのだ。

ハゼット「お疲れさん。どうだった?」

マキノ「あぁ、特に問題は無い。明後日には完成する見込みだ。」

ハゼット「そうか。」

ターニア「クロノ、ちょっといいか?」

クロノ「うん?どうしたの?」

ターニア「例の…バイクだったか?」

クロノ「あぁ、マキノさんに頼んでってやつか。」

マキノ「どうした?作ってほしいものでもあるのか?」

クロノ「うん、ちょっと乗り物をね。うちの世界の乗り物の1つなんだけど…」

ターニアを脱出させる時のように召喚の魔法陣を発動させ、バイクを召喚する。

クロノ「こういう形の乗り物がありましてね。作ってもらえないかなって。」

マキノ「ほう。面白い形の乗り物だな。馬みたいだ。」

ターニア「でも馬以上に速く走れるんだ。」

マキノ「ふむ、今ここには機材はないからな…。明日にでも研究所に来てもう1度見せてくれないか?」

クロノ「分かりました。」

フレア「すごいな…召喚魔法だなんて…。」

クロノ「練習すんの大変だったけど、その甲斐あってなかなか上手く出来るようになったさ。」

フレア「ふーん…。」

なんか最近フレアの反応が悪いような気がするな。

ハゼット「さて、じゃあ酒場にでも行くとしますかね。あんたらはミランダが来るまでどうするんだ?」

エリー「私たちも酒場にいましょうかしら。」

というわけで1度全員で酒場に行くことになった。


酒場に入って約1時間、ギルドの自分の部屋に鍵を掛け忘れたたことに気づき、戻ってきた。鍵を掛け、エントランスに戻るとカウンターに小瓶が蓋を開けた状態で置かれているのを見つけた。

クロノ「…?誰かの忘れ物か?」

蓋を閉めようと瓶を持つと、突如、急激な眠気に襲われる。

クロノ「んむ⁉︎なんだこりゃ…⁉︎眠り薬かなんかか…⁉︎くそっ…誰がこんなの…」

耐えようとするが、眠気に全く歯が立たず寝てしまう。


クロノ「う~ん?」

目を開けると、目の前に天井があった。

正確には天井ではなく、カウンターの下のスペースである。

(なんでこんなとこに?寝る直前はカウンターの向こう側にいたはず…っていうか騒がしいな…)

聞いたことがある声に耳を傾ける。

アクア「ターニアさんは酒飲めるのかい?」

ターニア「いや、飲めないことはないが…。」

レーニャ「いいじゃないですか、飲みましょうよ大尉。」

ターニア「そうか…なら少しだけ…」

女性陣が酒を飲んでいるようだ。

(そういえば今日は女子会があると言っていたな。そりゃ女性陣が飲んでるに決ま…なんだって⁉︎)

女子会を行っているということは、男子禁制の空間に男である俺がいるということである。

ハゼットやフレアが以前この空間に入ってしまった時にひどい制裁を食らったと言っていた。

つまり、見つかれば俺もその制裁を食らうことになってしまう。

(どうする…⁉︎眠らされてましたって言うか⁉︎いや、そんな言い訳が通じるわけがない‼︎あの2人だってやられたんだ、俺もやられるに違いない‼︎)

そもそも俺がここにいることは誰か知っているんじゃ?カウンターの向こうで眠ってた俺を誰かがここに運んだはずだし…。

いや、それだったらハゼットさんらがいる酒場まで運ぶはずだ。

つまり、何者かがイタズラか何かでわざわざカウンターの下にまで運んだということだ。

(冗談じゃないぞ‼︎朝までガクガク震えながらここで過ごせというのか⁉︎)

ミランダ「ベルージアの騎士様ねぇ…。よくもまぁ女の身で、しかもその若さで大尉にまでなれたわねぇ。」

ターニア「あそこは実力さえあれば誰でも騎士になれる。当然、若いと他の兵から疎まれたりはするがな。」

アクア「エリー、あんたは酒飲むなよぉ?」

エリー「ちょっとくらいなら…。」

レオ「父さんが絶対にダメって言ってたでしょ?」

レオは女の子ですかそうですか。

メイ「サシュさんはお酒は飲めますか?」

サシュ「う~ん、村にいた頃はそんなに強くなかったけど…」

マキノ「今は変わっているかもしれないな。」

ターニア「くぁ‼︎この酒はキツいな!」

レーニャ「大尉、弱いならあまり無茶は…」

ターニア「レーニャ、私はもう大尉ではないぞ?名前で呼んでくれ。」

レーニャ「な、名前ですか⁉︎」

ターニア「あぁそうだ。ほら、どうした?名前で呼んでくれないか?」

レーニャ「ちょっ、た、たたた、大尉⁉︎」

アクア「おーおー、完璧に酔っ払っちまってるねぇ。」

エリー「はぁ…いいわぁ。」

ターニア「ふふふ、可愛いなお前は…。さぁ…」

レーニャ「あ、あの、あの‼︎」

メイ「マキノ、これは?」

マキノ「これも愛の1つだ。覚えておくんだぞ。」

メイ「なるほど!」

エリー「キーッス!キーッス!」

ミランダ「キーッス!キーッス!」

アクア「あーあー。盛り上がっちゃってまぁ。シーラは…それ何杯目だい?」

シーラ「3本目ですかね?私お酒で酔ったことないんですよ~。」

エリー「いいな~。」

ミランダ「情報屋はみんなワクよねぇ~。」

シーラ「1度でいいから酔ってみたいものですね~。」

ミランダ「酔った時の気持ち良さを知らないのは可哀想ねぇ~。ねぇ、シーラちゃんは誰か好きな人とかいるの?」

シーラ「え、私ですか?」

ミランダ「クロノとか。」

シーラ「ぶふぅ⁉︎」

ミランダ「きゃっ‼︎ちょっと吹き出すならエリーの方にしてちょうだい?」

シーラ「ゲホッ‼︎ゲホッ‼︎うえぇ…。すみませ…。ってなんでクロノさんが出てくるんですか⁉︎」

ミランダ「あら?違うの?」

シーラ「いや、違うと言いますか…何と言いますか…うおっと⁉︎」

ミランダ「あらあら大丈夫?」

アクア「どーしたシーラァ。あんたも酔ってんのかい?」

シーラ「いやいや私は酔ってなんか…」

エリー「シーラさんお顔真っ赤ですよ?」

ミランダ「ちょっとおどかしすぎちゃったかしらね?」

レオ「お水いる?」

シーラ「うぅ…大丈夫よ、レオ。くそぉ…飲んでやるわよ‼︎今日は酔うまで飲んでやるんだからぁ‼︎」

アクア「おい、瓶ごと一気はさすがにマズイんじゃないか?」

ミランダ「レオは好きな人とかいないの?」

レオ「うぇ⁉︎ぼ、僕は…その…」

ミランダ「う~ん?…うんうん……。あぁ~なるほどねぇ。確かにあいつになら惚れそうだものねぇ。」

エリー「誰⁉︎誰なのレオ⁉︎私にも言いなさい⁉︎」

レーニャ「大尉⁉︎顔が近いです⁉︎ちょっと…皆さん‼︎助けてください‼︎あの‼︎」

ターニア「ほら…ターニアと呼ぶだけでいいんだぞ?」

ミランダ「お姉さまって呼んであげたら?」

ターニア「それもいいな!ほら、お姉さまと呼ぶんだ…。」

エリー「えぇと…私のコップは…これだったかしら?」

(女子会がどんなものなのか知らないが、俺の世界の女子会もこんなものなのだろうか…。)

アクア「あれ?あたしのコップは?」

レオ「え?あれ、さっきそこに…」

ミランダ「そこのならエリーが…」

アクア「えっ?」

場が静まり返る。

ターニア「うん、なぜ静かになるんだ?」

アクア「お、おーい…エリー…?」

(まさか、酒を飲んだのか?ハゼットがエリーに飲ませてはいけないと言っていたが…。)

エリー「シャアアア‼︎」

アクア「ぬわっ‼︎」

レオ「アクアさん⁉︎」

大きな物音がする。

シーラ「あはははは‼︎アクアさんが押し倒されたぁ‼︎あはははは‼︎」

アクア「ちょっ、笑ってないで助けてくれって‼︎」

ミランダ「レオ‼︎ハゼット呼んできなさい‼︎」

レオ「う、うん‼︎」

直後、どこかが凍るような音がする。

レオ「ドアが⁉︎」

エリー「ふふふ、誰一人逃がしませんよ…。」

ミランダ「くっ、なんとかしないと…。」

マキノ「メイ‼︎エリーの動きを止めるんだ‼︎」

メイ「申し訳ありませんが、不可能です。」

マキノ「なに⁉︎」

メイ「体を強力な氷魔法で床に固定されているため、身動きができません。」

マキノ「なんてこった‼︎」

エリー「うん?うーん…」

ミランダ「エリー?」

(なんだ?何が起こっているんだ?)

マキノ「カウンター?カウンターがどうかしたのか?」

ミランダ「あ、カウンターには」

エリー「誰がいるんですかねぇ…?」

ガン‼︎

真上のカウンターが音を立てる。誰かが跳んできたような音だ。

(まさか、ばれた⁉︎うそだろ⁉︎)

ぬぅぅぅ、とエリーの顔が少しずつゆっくりと現れてくる。

エリー「おやぁ?どうしてクロノさんがここにいるんですかねぇ?」

体が動かない。蛇に睨まれた蛙とはまさにこの事だろう。恐怖で頭に何も浮かばない。

クロノ「あの、その、ええと…じ、事故っていうか…?」

エリー「それはそれは可哀想ですねぇ…。」

エリーが顔に手を伸ばしてくる。

(まずいまずいまずい…。逃げなきゃやられる‼︎何されるかは知らんがやられる‼︎)

カウンターの下から抜け出て、ドアに向かって走る。

後ろから背中に衝撃が走り地面に倒される。

腰の上に誰かが乗っかる。

エリー「女子会に男がいてはいけないんですよ?」

クロノ「ですからその、事故なんですよ!何者かに眠らされてあんな所に…」

エリー「それは不幸ですねぇ。でも罰は受けてもらいますよ?」

クロノ「ちょっ、誰か⁉︎」

アクア「すまん、クロノ…。さすがに酔ったエリーには立ち向かえない…。」

(くそっ、こんな理不尽な制裁食らってたまるか‼︎)

クロノ「エリーさんって、死なないんですよね?」

エリー「そうですけど…?」

背中をあげ、手を後ろに回しエリーの頭を掴む。

クロノ「折れちゃったらごめんなさい‼︎」

そのままエリーの首を捻る。

折れた音はしなかったが、変な方向に回したことで首に負荷がかかり、痛がらせる事くらいはできたようだ。

エリー「あがぁ⁉︎」

エリーの体が持ち上がる。

その隙を突いて、エリーの下を這い出て、立ち上がりエリーに向かい合う。

エリー「くぅ…。」

クロノ「あの…見逃してもらえませんでしょうか…?」

エリー「ふふふふ…」

どう考えても見逃してもらえそうにない雰囲気だ。

エリーが飛びかかってくる。

それに対し、こちらも飛びかかりエリーの頭を掴み、頭突きを食らわせる。

エリーがよろけている隙に、襟と袖を掴み、大外刈りで投げる。

倒れたエリーの腕を足で挟み、腕ひしぎ十字固めをする。

クロノ「誰かハゼットさん呼んできてくれません⁉︎」

ミランダ「待ってなさい!あの氷なんとかするから!」

ミランダとレオとアクアが氷に向かって炎の魔法を浴びせ、氷を溶かす。

エリー「せぇぇぇぇい‼︎」

抑えられている腕を無理やり持ち上げる。

クロノ「うっそお⁉︎」

エリー「はぁ‼︎」

腕を振り下ろし、地面に叩きつけられる。

クロノ「ぐはぁ‼︎」

衝撃でつい抑えていた腕の力が弱まり、解けてしまう。

すぐに立ち上がり、エリーに構える。

また同じように飛びかかってくるのを避け、空中にいるエリーの足を蹴る。

バランスを崩したエリーが地面に顔面から落ちる。

後ろから抱きつき、両腕と両脚でエリーの両腕両脚を抑える。

エリー「なんのおおおお‼︎」

クロノ「負けるかああああ‼︎」

後ろの方で大きな物音がする。ドアが蹴破られたようだ。

ハゼット「おい、エリーが暴れてるって…。クロノ‼︎」

クロノ「ハゼットさん‼︎エリーさんなんとかしてください‼︎」

ハゼット「レオ、水だ‼︎水持ってこい‼︎」


それから約1時間後、

エリー「うぅ、頭が…」

シーラ「私も頭が痛いです…」

ターニア「あぁ…」

3人が並んで頭を抱えている。

ターニアに関しては頭痛で頭を抱えているのではなく、単に酔っていた間のことを全部覚えているタイプらしい。

レーニャ「たい…お姉さま。大丈夫ですか?」

ターニア「レーニャ…。無理にお姉さまと呼ぶことはないんだぞ…?」

レーニャ「いえ、お姉さまへの尊敬の念を込めて、お姉さまと呼ばせてください。」

ターニア「レーニャ…」

レーニャ「お姉さま…」

(あの一角はもう別世界だな…。)

ハゼット「まったく…コップを間違えて酒を飲むとは…。」

エリー「うぅ、すみません…」

ハゼット「よく無事だったな、アクア。」

アクア「クロノの方に目標が移ってくれて助かったよ。」

マキノ「そうだ、クロノだ!なぜあんなところにいたんだ?」

クロノ「それが…部屋の鍵を掛け忘れて戻ってきたらカウンターに見慣れない小瓶があって…。蓋が開いてたんで蓋を閉めようとしたら眠気に襲われて、起きたらカウンターの下にいたんですよ。」

ミランダ「それ、私よ。」

クロノ「は?」

ミランダ「ちょっとイタズラのつもりでやったんだけど、ああなるとは思わなかったわ。」

クロノ「見つかったら俺が制裁を食らうのを知ってですか?」

ミランダ「え、ええ…その…。ごめんね☆」

このあとめちゃくちゃ説教された。

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