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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
11話:囚われのお姫様
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その4・牢屋

[クロノ]

階段の上の方は綺麗だったが、地下に進んでいくにつれ、石の壁から土に変わっていく。

雰囲気も暗くなっていってるということは、牢が近いに違いない。

階段を降りてすぐに、広間がある。

広間の反対側では、机で書類に何かを書いている兵士と、奥に行く鉄格子の近くに兵士が1人。

階段の上から見た限りでは、死角もあってこの2人しか見えない。他にもいるだろうか。

先ほどのような関係者のフリ作戦は牢の門番をしてるような奴らには通じないかもせれない。

(隠れて進めるような感じでもないし…)

強行突破しかないな。

銃を構え、階段を飛び降りる。

落下しながら書類を整理していた兵士めがけて、スライム状の塊を撃つ。

塊は口元に当たり、口にねばり付いてなかなか取れない。

門番「な⁉︎」

声を上げる前に門番まで詰め寄り、頭を掴んで壁に叩きつける。

素早く顔面を2発殴り、もう一度後頭部を壁に叩きつけて気絶させる。

スライムをぶち当てられた兵士の元へ走り、飛び上がってドロップキックを顔面にかます。

こちらも壁に後頭部を激突させて、気絶した。

辺りを見回す。

どうやら死角となっていた場所には兵士はいなかったようだ。

地下特有の寒気が辺りを包む。

夏とはいえ、ただでさえ寒い北の国。

魔力で寒さを防いでいるからいいが、こんなところに長くいたくはない。

門番から鍵を奪い取り、鉄格子を開ける。

鉄格子の向こうは、通路となっていた。

通路の両側には等間隔に扉が並べられており、扉の真ん中には小窓が取り付けられている。

この1つ1つが牢屋なのだろう。

1つ1つ覗いていくが、中には小汚い男がいるか、誰も入っていないかのどちらかだった。

牢屋の前には門番がいるものかと思っていたが、牢屋に入れられた犯罪者は放っておくということなのだろうか。

飯を与えるくらいで、後は特に何もせず、不潔感たっぷりの部屋でほぼ一日中放置とは…。


突き当たりを曲がると、大きな扉が1つあり、その両側を兵士が立っていた。

そして複数の兵士が立って話をしていたり、扉の小窓から中を覗いている。

(ここの兵士はサボりぐせでもあるのか…?)

兵A「おい…早く仕事場に戻れよ。いつまで見てんだ。」

兵B「うるせぇな…こんな男ばっかのところで一日中耐えろってのか?女の裸くらい見させろ!」

兵C「中の大尉サマに聞こえんぞ?」

兵B「それはそれで興奮するだろ?えぇ?」

兵C「気持ちわりいなぁ、お前」

兵B「テメーも似たようなもんだろうが。もったいねぇなぁ、何もせずに殺しちまうなんて。」

兵D「知ってるか?死刑になるのはそいつ自身じゃないんだぜ?」

兵E「なんだって?そりゃほんとかよ?」

兵D「殺すのは別の女死刑囚だ。こないだ捕まった兵士殺しいただろ?あいつ。そいつは他の市長のとこまで回されるんだよ。」

兵A「そのために今日は色んなとこからお偉いさんが来てたのかよ。」

兵D「あぁ、ありゃ全部どっかの市長だ。多分、今日来たのはどの順番で回すかだろ。こんな上物は死刑にするよりも市長に売った方が賄賂代わりにもなって、そいつも自分がやった行いを後悔して一石二鳥だってのが町長サマのお言葉だ。」

兵B「おいおい、マジかよ。大尉絶対処女だぜ?あんなおっさん共にはもったいねぇよ。」

兵C「いっそのこと俺らで貰っちまうか?」

兵A「そいつは面白そうじゃねぇか。」

兵B「おい、開けようぜ。もうたまんねぇよ。」

あの牢に入っているのがターニアだろうか。そうだとしなくてもこのまま放っとけるわけがない。

銃を構え、集団の真ん中に向かって光の塊を撃つ。

光はゴロゴロと転がってちょうど中心に止まる。

兵C「おい。なんだよ、これ。」

兵士が全員光の方を向いただろう。銃で地面を叩く。地面から魔力を伝わらせ、光の塊に魔力を触れさせる。

光の塊は強烈な光と音を発生させ、周囲にいる兵士達を怯ませる。

いわゆるフラッシュバンというやつだ。

兵A「ぐあああ‼︎目がぁぁ‼︎」

兵B「くそ、どうなってやがる‼︎」

兵士の首に剣を突き刺す。

剣を抜いて、別の兵士に。そのまた別の兵士にも刺す。

全員が地面に倒れ伏したのを確認し、兵士から鍵を奪い取る。

鍵を開け、中に入る。

手足を縛られ、目隠しをされている女性がいた。

衣服は何も身につけられていない。

クロノ「おいあんた、大丈夫か?」

女性「…誰だ…?今の爆音は…。」

クロノ「あんたがターニア大尉って人?」

ターニア「そう…だが…。君は?」

クロノ「俺はカミヅキ・クロノ。あんたの知り合いに頼まれて助けに来たんだ。目隠し取るぞ。」

目隠しを取る。左目がなく、目の内側の体の中が見えてしまっている。

クロノ「隻眼の女騎士ってのはそういうことか。眼帯はファッションじゃないんだな。」

ターニア「くっ…。」

クロノ「待ってろ…今手錠を取るからな…。」

兵士から奪った鍵の中から手錠と足枷の鍵を探し、手錠を外す。

クロノ「これ着てろ。」

自分の上着を被せる。少し寒いが、目の前にもっと寒い人がいるんだ。我慢しよう。

ターニア「ありがとう。知り合いに頼まれたっていうのは?」

クロノ「あんたと仲よかった部下が1人いるだろう?そいつ。ホントはハゼットが来る予定だったんだが、侵入するのが難しすぎて1番来やすかった俺が来たんだ。」

ターニア「ハゼット…あいつか…。それと部下というのは…まさか、レーニャか!あいつは今どこに⁉︎」

クロノ「アリアンテって町だ。ちなみにこれから逃げる場所もそこ。さぁ、行くぞ。」

ターニア「あ、あぁ…あぁ。」

何かを迷いながらも諦めたようにうなずく。

クロノ「どうした?」

ターニア「いやその…。あの町長をこのまま放っておいても良いのかと思って…。」

クロノ「脱出を優先した方がいいと思うけど?」

ターニア「だがこのままでは町長の残虐な行いは止まらないままだ…。」

クロノ「じゃあどうする?ぶん殴りに行く?それとも暗殺に行く?」

ターニア「暗殺…できるのか…?」

クロノ「なんとかなるでしょ。多分。町長達が会議でもしそうな場所分かる?」

ターニア「あぁ、案内なら出来る。任せてくれ。」

牢から抜ける。

ターニア「おっと、そうだ…。せっかくだから装備を借りて行こうか。」

倒れている兵士のうちの1人から鎧を剥ぎ取り、着る。

ターニア「これを全部1人でやったのか?」

クロノ「あぁ、単独潜入だからな。」

ターニア「私がまだこの軍に現役だったらスカウトしたかったな。」

クロノ「悪いけどスカウトはお断りしてるの。さ、案内よろしく。」

地下から抜ける。

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