表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
11話:囚われのお姫様
52/95

その3・潜入

[クロノ]

城の門が見えてきた。

建物の陰から見たところ、門の前以外にも壁の壁の前に等間隔で兵が槍を構えて立っている。

(どうやって入るか…。)

門を見ながらしばらく待っていると、馬車が一台やってきた。

馬車が門の前で止められ、門番と御者が話している姿が見える。

門番が馬車の荷台を確認し、他の兵に向かって指示を出す。

すると、門が開き、馬車が中に入っていった。

(町のどこぞの商人の馬車だったってことか。)

城に食べ物やらなにやらを納品するようなものだろう。

(これを利用すれば入れるかもしれんな。)

馬車が来た方向に向かう。

遠方から複数の馬車が止まっているのが見える。

(やけに豪華な馬車だな…。商人の物じゃないだろうな。)

とはいえ、ちょうどいいところにいい物があるのだから利用させてもらうとしよう。


馬車の列の一番後ろに回る。

前の複数の馬車はいかにも客人が乗るような籠のようなものがある馬車だったが、後ろの方は商人が操縦していたものと同じで大きなトレーのような物に上から布で覆ったような荷台の馬車だった。

(これの下に潜り込めば外からも見えないな。いける!)

見張りの兵が、近くの店のおばさんと話している。

その隙をついて馬車の下に滑り込む。

後は動き出すときに、荷台の下にある突起になった部分を掴んで、連れてってもらうだけだ。

馬車がゆっくり動き出す。

突起を手で掴み、体を持ち上げる。

魔力強化しているから軽くできるが、そうでなければ持ち上げられても長時間保つのは難しいだろう。

また動きが止まる。馬車の車輪の隙間から覗いて見ると、城を囲んでいた壁が見える。

先頭の馬車の御者と門番が話しているのだろう。

やがて動き出した。門番が確認に来るかと思ったが、中に客人がいるのであれば信用して荷物を調べないということだろうか。

何にせよ好都合ではある。

馬車が庭の横のスペースに止まる。

客人用の馬車から2,3人ずつ男が降りてくる。

服も綺麗に整っている。こちらの世界での正装なのだろう。


客人らしき人物達が全員城の中に入り、馬車を見張る兵が槍を持って立つ。

門の方向は見張っているが、反対側には誰も立っていない。

音を立てないように馬車から這い出る。

(さて、どこから入るか。)


城の横を進んでみる。

兵が巡回しているかと思ったが、思ったより見当たらない。

進んでいくと木製のドアを発見。

ドアに耳を近づけ、中の音を聞いてみる。

複数人の男の声が聞こえる。

男A「はぁ~めんどくせぇ~な~。」

男B「いいのかよ、巡回。」

男A「はっ、バレねぇバレねぇ。わざわざこの城に侵入するようなアホがいるわきゃねぇだろ?」

男B「それもそうか。」

男A「くそぉ、酒が飲みてえな…」

男B「ここにはないんだ、諦めろ。」

男A「な~新人~。なんか面白いもん持ってねぇの~?」

(本来この辺を回る見張りか。あんたらがサボるせいで俺みたいなのが現れるんだぞ?)

馬車に一旦戻る。

荷台から高そうな酒が複数あるうちから一つを持ってきて、ドアの前に戻ってくる。

ドアの近くの前の草を踏み鳴らし、音を立てる。

もう一度ドアの耳を近づけてみる。

男C「今の音なんですか?」

男A「おい、お前ら見てこいよ。」

男B「お前は見てかないのかよ。」

男A「1人ここを死守するやつが必要だろ?ほら行ってこいって。」

ドアの上10メートル程の所まで壁を登る。

壁に魔力を流し、手足と壁を接着して壁に蜘蛛のように張り付く。

中から2人の兵が出てくる。

兵B「あっちの方に行ったかもしれん。行くぞ。」

兵2人が城の奥の方に向かう。

地面に降りる。

(1人残ったか…。どうしようかな…。)

案がないことはない。試してみるとしよう。失敗してもなんとかすればいい。

ドアを堂々と開ける。

兵A「おう、帰るの早…誰あんた?」

クロノ「なぁ、聞きたいことがあんだけどさ、いい?」

兵A「聞きたいこと?なによ。」

怪しみながらも聞き返してくる。

コソコソとするよりも堂々とした方が侵入者感は出ないということだ。

クロノ「さっきそこから出てきた2人のさ、若い方いたじゃん。新入り?」

兵A「あぁ、3日前にこの城に入ってその初日からここに配属してんのよ。」

クロノ「あぁ~、どうりで見ないと…。」

前からこの城にはいましたよ感を出す。また出てきた2人が自分をスルーしたように話すことで、怪しまれないのが普通というような立場を表すことができる。

クロノ「あ、ごめんな。これ、お礼。」

兵A「お、おう…これは‼︎いいのか⁉︎こんな高い酒‼︎」

クロノ「貰い物なんだけど俺酒苦手でさ…。捨てちゃうのも勿体無いからあんたにあげるよ。」

兵A「いや~はっは、悪いな~。」

ご機嫌になってしまった。

部屋の反対側、城の内部に続くドアに向かう。

クロノ「そんじゃ、邪魔したな。」

兵A「お~う♪」


ガチャ、バタン。


まさかここまでうまく行くとは思わなかった。

長い通路に出た。

所々にドアがあるが、城の壁にドアは今入ってきた所しかなかったので、物置のような感じだろうか。

行き止まりになっていない方に階段が見えたのでそこに向かう。

上に向かう階段と下に向かう階段がある。

(裏切り者を捕らえる牢といったら地下にあるだろう。)

階段を降りていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ