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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
10話:イーストケース
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その6・待ち伏せ

[フレア]

そろそろ日付が変わる頃だろう時刻。

クロノが予測した通り魔犯の出没地帯の監視をすべく、近くの建物の屋上に身を隠す。

アクアとクロノはそれぞれ離れたところで隠れている。

(本当に来るのか…?現れてほしいっちゃあほしいんだがなぁ…。)

現れた時に、何かしらの痕を残してやればそれを手がかりに探すことができるかもしれない。


通りには誰もいない。

いや、通りだけ監視するわけにもいかない。もしかしたら通り魔犯は毎回屋上から目標を襲っているかもしれない。その可能性がある以上、屋上の警戒も怠れない。

しばらく見ていると、1人の人間が通りを歩いているのが見える。

暗くて顔がよく見えないが、女性であることは分かる。

あれが犯人だろうか。刀を持っているかどうかも見えない。

(姉さんとクロノは見てるかな…?)

何かを紙に書きながら、歩いているようだ。

すると、彼女の後ろにまた1人、人が歩いているのが見える。

顔にお面をしているようだ。性別までは分からないが、手に抜き身の刀を持っている。

十分怪しい。怪しすぎる。

女性が気づいたのか、後ろを振り向く。

女「あら?この時間はどうも危険な人物が刀で襲ってくるので危険ですよ?」

女性が問いかけるが、お面人間からの返答はない。というか、女性の声に聞き覚えがあるような気がする。

女「というか、その手に持ってるもの…刀?…まさかあなた!」

女性が何かに気づいたように声を出す。

お面の人間が刀を構える。

(こいつだ‼︎間違いない‼︎)

すぐに、クロノが女性の前に飛び降りていった。


追うように自分も降りて、クロノと反対側、犯人を挟み撃ちにするように降りる。

男がクロノと距離を詰め、刀をクロノに押し付ける。

クロノ「ッ⁉︎」

クロノが女性を突き飛ばしかばう。その代わり、男の攻撃を防げず、腹に刀を突き刺されてしまう。

フレア「クロノォ‼︎」

刀を抜き、倒れかかるクロノを刀で斬りつけ、押しのける。

アクアが男の前に降りてくる。男が刀を振り下ろそうとするのを、クロノが銃で撃ち邪魔をする。

クロノ「連れて‼︎逃げろ‼︎」

アクアに向かって叫びながら銃を撃ち続ける。アクアは迷いながらも女性を担ぎ、走り去る。

男がクロノの方を向き、刀を振り上げる。男の前に飛び込み、大剣で防ぐ。腹を蹴り上げ、よろめいたところを剣で斬りつける。

それを避けられ腕をぎりぎり掠めただけだったが、男が腕を抑えている。どうやら傷くらいはつけられたようだ。

男はアクアが走り去った方とは逆の方に逃げる。

クロノの方を向く。

傷跡から次々と血が溢れ出てきて、止まる気配がない。

ゲンダイ「お前らァ‼︎」

ゲンダイが人を何人か引き連れてやってくる。

騒ぎを聞きつけたのか、近くの家からも次々人が出てくる。

医者「まずいな…。傷が深いぞ。急所はうまいこと外れてるが出血がひどい!」

フレア「クロノ!治癒魔法できるか!病気治した時みたいにできるはずだ!」

クロノはこちらを見て首を横に振る。

フレア「できない⁉︎うそだろ⁉︎やり方忘れただけじゃねえのか⁉︎」

しかしクロノは首を横に振る。

ゲンダイ「死ぬんじゃねぇぞ‼︎おい‼︎」




朝、自警団本部の中。

ゲンダイが外から帰ってくる。

フレア「クロノは⁉︎どうなった⁉︎」

ゲンダイ「ぎりぎりなんじゃそうじゃ。運の良いことに、急所はやられてないそうでな。出血がヒドイだけだと…。」

フレア「じゃあ…‼︎」

ゲンダイ「安心せぇ。死にゃあせん。動けるようになるまで何週間とかかるがな。あんだけやられといてよくもまぁ生きておられるわい。」

シーラ「……‼︎良かった…‼︎」

シーラが泣き崩れる。

昨日の夜、外を出歩いていて襲われたのはシーラだった。そこを俺たちに助けられたのだ。

自分の代わりに重症を負ったクロノを心配していて、さっきまでずっと泣いていた。

ゲンダイの言うように、生きているのが不思議なくらいの傷を受けたのがあって、自分のせいで殺してしまったという罪悪感があったのだろう。

シーラ「でも…私のせいで…クロノさんが…」

アクア「あんたの責任じゃないよ。あんたは悪くない。」

フレア「俺だって、クロノが刺された時にすぐに動けなかった…」

責任は俺にもある。

シーラ「でも…‼︎私があんな時間にうろついたりしなければ…」

ずっとこれの堂々巡りだ。


フレア「クロノのことは医者に任せよう。ずっと何もしないままでいるわけにもいかない。」

アクア「でも、何か手がかりはあるのかい?」

フレア「昨日あいつと対峙したときに、奴の腕を剣で斬ったんだ。掠っただけだがな。奴は怪我をしてるはずだ。」

ゲンダイ「それを探すってのか?じゃがどうやって…」

すると本部に1人の男が入ってくる。

クロウ「お~す。例のギルドの人はいます~?あ、いた。」

フレア「あんた、昨日の。」

ゲンダイ「お主、カガリ橋の砥石屋の…」

クロウ「久しぶりっすね~団長さん。ねぇ、聞きました?昨日の夜、また例の通り魔が現れて1人襲われたんだと。今度はぎりぎり生きてるって…。」

フレア「あぁ…それはな…」

クロウ「あれ?もう1人いなかったっけ?シーラちゃんじゃなくてもう1人男……あれ?まさか…」

シーラ「そのまさかですよ、クロウさん。」

クロウ「マジかよ…。いやでも、命に別状はないって話だし…」

フレア「とりあえず犯人に手がかりは残してやったからさ。探しに行こうかと思うんだ。」

剣を指差す。

クロウ「手がかり…。傷でもつけてやったってことか?やるなぁあんた。」

ゲンダイ「お主はフレア達になにか用があるんじゃないのか?」

クロウ「えぇ、ありますよ。フレア、俺も手伝うぜ。」

フレア「クロウ?」

クロウ「もともとそのつもりで来たんだけどな。知り合いがやられたとなっちゃあ余計黙って見てられなんないのよ。」

フレア「ありがとう‼︎」

クロウ「それで、どこから探すの?」

フレア「…そうだったな…。」

するとまた1人、本部に入ってくる。

ソウスケ「おい、クロウのやつは…やはりここにいたか…。」

クロウ「兄貴‼︎なんでここに⁉︎今日は俺は担当じゃないはずだよ⁉︎」

ソウスケ「お前達は昨日の…。愚弟が迷惑をかけたな。クロウ、悪いがちょっと手伝ってくれんか?」

クロウ「え、どったの?そんな下から来る兄貴は久しぶりに見たけど…」

ソウスケ「今日の朝、店の準備をしようとしたら道具に躓いてしまってな。腕を切ってしまったんだ。」

そういってこっちを見て、腕を抑える。

そして、クロウの方をまた見る。

クロウ「はぁ?兄貴そんなドジ踏むような年じゃないっしょ?」

ソウスケ「今回ばかりは本当にすまんが、手伝ってくれ。」

クロウ「しゃーないなー。わりい、フレア。また今度手伝うよ。」

フレア「あぁ、家の用事を優先してくれ。」

クロウとソウスケが出て行く。

アクア「フレア?どうしたんだい、顔つきが怖いけど。」

フレア「いや…まさか…。」

あの時狐面の男を斬った時、腕のどの辺りを斬ったのか覚えていなかったが、なんとなく、ソウスケが腕を抑えて位置と似ている気がする。

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