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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
8話:わがまま
33/95

その1・宅急便

[クロノ]

平原を高速で走る。

正しくは、上半身が人間、下半身が蛇の姿の魔族の女に拘束された状態で背負われている。

尻尾で体中をキツく締め上げている。蛇嫌いの自分としては拷問でしかない。

いったいなぜこうなったのか…。

話は遡る…


倒した巨大生物を調べていると背後からガサガサと茂みが揺れる音がした。

アクア「なんだい、何かいるのかい?」

アクアが弓を構える。

自分も剣を構える。すると、突然炎出しながら下半身蛇女が突撃してくる。

炎はアクアと自分を狙ってきた。

横に避け、反撃をしようとすると、後ろからもう一体、仲間と思われる一つ目の女が弓を構え、アクアに向かって発射した。

アクアも弓を構え飛んできた矢を空中で射る。

下半身蛇女は今度は木を燃やし始める。

(火事でも起こす気か⁉︎)

蛇女を止めようと走ると、一つ目の女が矢を射ってくる。

矢を斬り捨て、一つ目に向かって銃を構えようとしたが、蛇女に尻尾で掴まれた。

蛇の鱗の嫌な感触が体を包み込む。

もがこうとすると、一つ目が矢を飛ばし、矢が頭に当たる。頭に当たった矢はそのまま地面に落ちた。

(なんだ?今の矢は?意味ないじゃ…)

すると急に眠気が襲ってくる。

相手を眠らせる類の魔法がかかっていたようだ。

蛇女「大丈夫だよ、安心しな…」

クロノ「何が…大丈夫だ…だよ……クソ…」

睡魔に抗えず、目の前が暗くなっていく。


そして現在に至るというわけだ。

気がつくと、蛇女が自分の体を拘束した状態で走っていた。

走るというか、魔力で体をスライドさせてるというか地面の上を滑っている感じだ。

蛇女「おっと、やっと起きたかい?ったく、ちょっと寝すぎだよ。」

一つ目「そんなに強い魔法は使っていないぞ。人間は脆弱だな。」

お前らは何者だと聞こうとしたが、尻尾の先を猿轡のように口に押し込んできていて話せない。

蛇女「あたしらが何者か聞きたそうだねぇ。あたしはマレー、ラミアって種族なんだが聞いたことくらいはあるだろう?そっちの一つ目がサイクロプスのエルだ。見ての通り魔族さ。」

魔族?こないだガイアさん達から聞いたな。

というかそんなことは後回しでいい。

今、最もどうにかしなければならないことは、この蛇鱗の拘束をなんとかすることだ。

口に当てられた尻尾を思い切り噛む。

さすがに痛かったか、尻尾を口からどける。

マレー「痛った、おい‼︎何しやがんだ‼︎」

クロノ「申し訳ないけど、この拘束解いてくんないですかね‼︎俺、蛇の鱗って苦手なんですよ‼︎」

マレー「うるさいね、男だろ‼︎それくらい我慢しな‼︎」

エル「もうすぐ門に着く。そこなら降ろしてやってもいい。逃がしはせんがな。」

門ってのは魔界と人間界を繋いでるってやつか。

クロノ「門でいったい何しようってんですか?」

マレー「あんたに魔界を案内してやろうと思ってね。奴隷でもそれなりに観光はできると思うぜ?」

奴隷?奴隷ってあの奴隷か⁉︎マジかよ⁉︎

マレー「あたしの知り合いから面白い人間がいるっていう話を聞いてね。あんたみたいな強い人間ってのは魔界では需要があんのさ。あんたは結構高く売れるだろうさ。」

クロノ「あんたら奴隷商人か何かかよ⁉︎」

エル「私たちは奴隷商人ではない。奴隷商人にお前を売り渡すだけだ。」

(なんてこった、なんとかしないと‼︎)

マレー「ちょっとでも逃げようとしたらあんたの首をへし折るよ。別にあんたがいないとあたしらが困るってわけでもないからねぇ。」

首元に尻尾が這い寄ってスリスリと撫でてくる。

いっそのこと死んだほうがマシかもしれん。


とうとう門の前に来てしまった。

門といっても文字通りの門のような見た目をしているわけではなく、紫色の光の円が空中に浮かんでいる。

クロノ「これが門か…。」

マレー「なんだい、あんた門は初めてかい?」

エル「急げマレー。あの女に気づかれる前に移ってしまおう。」

あの女?そういえば魔族の女がこの辺に住んでいるとも聞いたな。

マレー「ったく門を超えるだけでも色々頭使ってめんどいんだから…」

マレーが門に手をかざす。

すると門の光が強くなり、向こう側の世界がボンヤリと見えてきた。

マレー「あたしが門の鍵知ってることをもっとありがたく…え?」

しかし、円の中心に巨大な黒い塊がある。ボヤけていてよく見えないが羽ばたくように空中で止まっているので、大きな鳥か何かに見える。

エル「マレー‼︎早く門を閉じろ‼︎」

マレー「なんでこいつが…‼︎」

エルが叫ぶがそのぼやけた塊はだんだん大きくなり、こちらの世界に顔を突き出す。

やがて全身が現れる。

どっからどう見ても立派なドラゴンだ。全身を黒い鱗で身を包んでいる。

近くにいるだけで倒れそうな威圧感が溢れている。

エル「こ、黒龍‼︎なぜ…⁉︎」

門の方を見る。

(向こう側にはこんなヤバいのがいるのかよ⁉︎)

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