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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
7話:死んでいようと
30/95

その2・生存者?

[ハゼット]

エリー「自我が…?でも今人間を食べてましたよ…?」

ハゼット「分からん。だがこちらを見ていた目は明らかに怯えていた目だ。武器を持った男が家に入ってくれば誰だって怯えるだろう。ゾンビならそれでも向かってくるはずだがな。」

エリー「じゃあ…意識を保ったままゾンビの体になった…ってことですか?クロノさんから何か聞いてないですか?」

ハゼット「こういう大事なことなら言うだろうし、あいつも知らないことだったってことだろう。」

先ほどの少女が逃げた先の部屋に向かう。

扉を開けようとするが、向こうからバリケードか何かで押さえているようだ。

ハゼット「おい。あんたは人間か?それとも外にいる人間を食べるようなやつか?」

相手を怯えさせないようできるだけ柔らかく話しかける。

………………

返事がない。

ハゼット「せめてあんたが俺たちに危害を加える気があるかないかだけ教えてくれ。ないならあんたを傷つけないと約束しよう。」

少女「………傷つけたくないです…。」

小さく返事が聞こえる。

少女「………でもダメなんです…我慢できないんです…。」

泣きそうな声で続ける。

ハゼット「あんたは…人間なのか?やつらなのか?」

少女「分からないです…。でも…人間ではないと思います…。」

ハゼット「なぁ、このバリケード…どかしてくれないか?あんたと直接、顔を合わせて話したいんだ。」

少女「ダメです!多分…襲っちゃいます…。」

どうしたものか…。

なんとかして直接話したい。

ハゼット「エリー、ちょっと玄関見張っててくれないか。今からデカイ音を出すかもしれない。」

エリー「えぇ、分かりました。」

エリーが玄関の方に向かう。


ハゼット「なぁ、今からドアを蹴破ろうかと思ってるんだが、いいか?」

少女「ダメです!なんで…」

ハゼット「だったらバリケードをどけてほしいんだがな。あんたと話したいんだ。ここで何があったのか。あんたがなんなのか。…危害を加えたくないんなら顔を合わせても大丈夫だ。」

強引だな、俺よ。

少女「…生きている人を見たら…それだけで自分を忘れてしまうんです。気がついたらその人を食べてしまっているんです。あなた達のことだって襲ってしまいます。………そんなことしたくないです…。」

ハゼット「俺たちなら大丈夫だ。襲われたところで何とかできる。一回我を忘れてしまってもその後に戻ってくるんだろ?なら大丈夫だ。」

少女「…………。」

黙ってしまった。

ハゼット「どうしてもダメか?」

少女「…………。」

ハゼット「俺はあんたと直接話したいんだ。」

少女「…………。」

ダメか。

仕方ない。なら開けるしかない。扉を壊してでも開けよう。

足を上げ扉の中央に狙いを定める。

ハゼット「扉から離れておけよ。ついでにバリケードの一部が飛んでくるかもしれないぞ。」

少女「え?」

魔力を込め、扉を蹴る。あまり本気で蹴ったわけではないので、扉の蝶番が外れた程度だが、十分動かせるレベルだ。

ハゼット「悪いな。どうしても聞いてくれないから強硬手段を取った。」

少女「なんで…。」

ハゼット「ほら、立てるか?」

へたり込む少女に手を差し出す。

少女「ダメ…ダメ…ダ…うぅ……ううぅ………。」

少女が頭を押さえる。

少女が急に飛びかかってきた。

横にステップして避ける。空振りをした少女は隙だらけだ。

後ろから両手を背中の方に回し、左手で両方抑える。右腕で少女の首の前に腕を通し、左肩を掴み、暴れる少女を抑える。

体を大きく振って振りほどこうとするが、逃がさない。


数分くらいその態勢が続くと、だんだんと暴れなくなった。

どうやら自我が戻ってきたようだ。

少女「ヒグッ…エッグ…うぅ…。」

泣いている。

ハゼット「放していいか?」

コクンと頷くので、少女を放す。

少女はまたへたり込む。

自分もしゃがみ、少女と目線を合わせる。

ハゼット「悪いな。あまり傷つけないようにはしたつもりだったんだが…。」

少女「すみませ…本当に…すみません…」

言葉を詰まらせながらも謝っている。

ハゼット「俺は大丈夫だ。俺はあんたを傷つけたりしない。約束する。だからあんたと話をさせてくれないか?」

少女が泣き止む。ようやく直接会話ができる。目を合わせないように下を向いているのは、またゾンビの心が戻ってこないようにするためだろう。

ハゼット「俺はハゼット・ローウェル。あんたの名前は?」

少女「サシュ…。サシュ・カレハです。」

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