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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
6話:危険地帯
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その3・発生源

[クロノ]

森の中に入る。森の中にもちょくちょくゾンビが蔓延っており、その度に自分が銃で撃ったり、アクアが弓で射ったりと特に問題なく進んでいく。

しかし、森の中だから油断はできない。


ガサッ、ガササッ!


木の上で物音がする。

アクア「…やばいと思うかい?」

クロノ「かもしれませんねー…。アクアさんは自分の身を守ることに集中してください。」

アクア「はいはい。暇だったらしっかり援護してやるよ。」

アクアの弓の腕前は一級品だ。森の中であろうと、どんな遠くの相手でも木の間をすり抜け、射抜く。

おかげでこの森に入ってからは半径10メートル以内にゾンビが近づいてこれていない。


森に入って数分、ゆっくりと進んでいくが、未だに何も発見していない。

(俺の思い過ごしだったか…?それはそれでありがたかったりするわけではあるが。)

いきなり上から何かが飛びかかってくる。考え事をしていたせいで飛びかかられるまで存在に気がつかなかった。

(ゾンビの癖に動きが速い‼︎)

両手を抑えられ、自由を完全に奪われてしまった。

(しまった‼︎)

ゾンビが口を開け顔を降ろしてくる。持っていた銃がすぐそこにあるのに取れない。


ヒュン!!

矢が飛んできてゾンビの頭に刺さる。ゾンビが仰け反り自分の両手を放す。

銃を手に取り、ショットガンでゾンビを吹き飛ばす。

アクア「油断しないって言ってたのはあんたじゃなかったっけ~?」

クロノ「…すいません。ちょっと考え事をね…。」

アクア「考え事って?」

クロノ「いや、何も見つからないからもしかして何もないんじゃないかって。」

アクア「え?この奥に思いっきり気配はしてるけど?ゾンビとかじゃなくてゴツいやつが。」

クロノ「えっ?そんなこと分かるんですか?」

何?なんかそういうセンスでも持ち合わせてるの?

アクア「あたしは森の中だったら通常の3倍の力を発揮すると思っておきな。森の中だったら多少離れててもどこに何があるのか分かるのさ。」

クロノ「いったいどうやって…」

アクア「森の中で1年間くらい狩りで生活してみな。イヤでも分かるようになるさ。」

この人いったいどういう生活をしてたんだ…。


奥の方まで進んでいく。だんだん変な匂いがしてきた。物が腐るような匂い。これが死臭というやつだろうか?

それにだんだん黄色の霧のような物が見えてくる。花粉ではないようだが…。

アクア「この霧…粉か…?森の物じゃないな…。多分なんかの生物かなんかから出てるものだと思うが…。」

こんな状況で粉をわざわざ飛ばす生物か…。

粉は森の奥からやってきているようだ。

奥の方まで進んでいく。


少し開けた部分に出た。中央にあからさまにボスのようなゴツい見た目の巨大生物がいる。

球根のような体で、大きな口が胴体にバン!とある。口から黄色い粉が溢れている。あれが粉の発生源か。

口の中には人が大量に積み重なっていた。

まだ生きている人もいれば、既にゾンビになっている人もいる。

しかし、ゾンビが人間を襲っていない。

周りを見るとゾンビが大量にいるが、どれも自分たちの方を見ずに森の外へと向かって歩いている。

アクア「どう思う?あたしはこの黄色いのが怪しいと思うんだけど?」

確かに黄色い花粉のようなものも気になるが、もっと気になるのがある。口の中をよく見ると灰色の液体のようなものがある。この生物にとっての胃液の役割をしているものかと思ったが、中にいる人たちを溶かしていない。

花粉は人をゾンビに変えるものではないとは思う。ここに来るまでそれなりに吸ったはずだがゾンビに変わっていないからだ。というか、結果的にゾンビになってないから良かったものの、そんな危険のことを考えずにここまで来ちまったな。運が良かった。

となると…

クロノ「口の中に液体があるのが分かりますか?灰色の。あれが怪しいと思います。」

アクア「あれが人をゾンビとやらに変えちまうものってわけかい?じゃあこの黄色いのはなんなのさ?」

分からない。だが、少なくとも人体に影響はないようだ。

巨大生物の目がこちらを捉える。

(何か仕掛けてくるか…?)

巨大生物の背後から触手が3本、伸びてきた。

アクアと自分に1本ずつ迫ってくる。それをなんとか避ける。

(もう1本は?)

まだ伸び続けている触手が伸びた先を見ると、ゴブリンが1匹捕まっていた。

その触手は口の方まで伸び、ゴブリンを口の中に放り込む。

(なるほど、ああやって人を口の中にぶち込んだのか。)

もう1度、今度は4本の触手が伸びてきて、2本ずつ迫ってくる。

避けるだけでは厳しいので、剣を出し、触手を切りつけながら避ける。

アクアも魔力で矢を作り、回避しながら矢を触手に突き刺す。

巨大生物「グォォォォォォォォォォォ‼︎」

悲鳴のような声をあげる。

するとその声によってか、宙を舞っていた粉が吹き飛び、あたりは何にも覆われなくなった。

すると口の中から叫び声が聞こえてくる。

ゾンビが人に噛み付いているのが見える。

周りのゾンビたちがこちらに気づき近づいてくる。

(あの粉はゾンビに人間を気づかせなくさせるもの?ゾンビが誰かを襲うのを防ぐ目的で出していたのか?)

クロノ「アクアさん‼︎」

アクア「こうもゾンビが多いんじゃ、好き勝手動けないねぇ。」

クロノ「自分があのデカイのの相手をします。アクアさんはゾンビ共の相手をしてください。蹴散らせ終えたら自分の援護を頼みます。」

アクア「了解。ちゃっちゃと終わらせてやるよ。」


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