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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
6話:危険地帯
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その1・ヤツらがまたやってくる

[クロノ]

今日も仕事が終わり、みんなで酒場に来る。

俺は未成年なので酒は飲まず。

この世界では酒は二十歳からという法律はないが、レオは酒が苦手なので飲まない。

そしてエリーも酒を飲んでおらず、ミルクを飲んでいる。

少し前にエリーが飲まない理由をハゼットさんから聞いたが、エリーは酒を飲むと誰彼構わず襲うくらい弱いのだそうだ。そのためハゼットさんが禁止しているらしい。

ハゼットさんがいれば大丈夫なんじゃないかと思ったが、

ハゼット「酔ったあいつを止められる奴はいない。」

だそうだ。


普段はこのまま騒いでそれぞれ家に帰るのだが、今日は少し違った。

ギルドの近くの店の男が話しかけてきた。

男「おう、ハゼットさん。ちょっといいか。」

ハゼット「ん?どうした?」

男「いや、今日ちょっとヤバいものを見ちゃってな。」

ハゼット「なんだ、何かあったのか?昨日の朝だったかに馬車でどっか行くのは見かけたが。」

男「それが聞いてくれよ。あまり大きな声では言えねえんだがよ…。」

男が声を小さくして囁くように言う。

男「こっから南西にあるレイネデって村知ってるか?」

ハゼット「南西?風車がある村か?」

男「いや、そのさらに向こう。あそこの村がな…魔獣だらけなんだよ。」

ハゼット「なに⁉︎」

クロノ「村が魔獣だらけってそれヤバいんじゃ⁉︎」

男「ああ、もう手遅れだったさ。あそこの宿の女将さんの手料理が好きだから遠回りしてまで行ってきたんだが、もうヤバいのなんの。人型の魔獣がわんさかだったんだよ。」

ハゼット「人型?」

男「そう。フラフラと元気のねぇ歩き方してるかと思ってたら、こっち見た瞬間近づいてきてよ。最初は魔獣って気がつかなかったんだけど、奴ら目の前まで来たらいきなり噛み付いてきやがるのよ。」

噛み付いてくる…?

クロノ「それホントのことですか⁉︎」

男「ああ。殴るでも蹴るでもなく、噛み付くだ。まぁ、運の良いことになんとな噛みつかれる前に振りほどいて怪我一つせずに帰ってこれたけどよ。おっかなかったぜ。…どうした?」

それってまさか…。

クロノ「その風車の村ってのは大丈夫でしたか?」

男「ニキエの村か?あそこはなんともなかったぜ?」

風車の村というのは無事だったか。

男「俺はあんな魔獣初めて見たぜ。ハゼットさん知ってるかい?」

ハゼット「う~ん、俺も聞いたことないな。今度調査に行ってみるとするか。」

男「気をつけろよ~。奴ら、弱っちそうに見えて以外と怖いからよ。見た目もグロテスクだし。そんじゃな。」

ハゼット「おい。」

男「なんだい?」

ハゼット「このこと。誰にも言わないでおいてくれるか。村が一つ滅んだなんて広まったらみんなが不安になる。」

男「わかってるよ。俺もそれを考えて、あんたらにしか話してねぇんだ。」


ハゼット「今の話、この間お前が教えてくれたやつと似てたな。…ゾンビだったか?」

クロノ「今の話を聞く限りゾンビの特徴でした…。でもそんなところまで広がるもんじゃないと思ってました…。」

ハゼット「俺は専門家じゃないから分からんが、そうなのか?」

クロノ「アリアンテの近くでゾンビが発生したとしたならアリアンテの方までゾンビは迫ってきます。アリアンテの南西の風車のある村の向こうと言っていましたが、それだとその風車の村…ニキエでしたっけ。そこもゾンビに埋め尽くされているはずです。」

ハゼット「つまりあり得るとしたら、レイネデの近くでゾンビが新たに発生したか。ってことか。」

クロノ「あとは…あまり考えたくないんですが…。」

ハゼット「まだ何かあるのか?」

クロノ「誰かが何らかの方法でわざわざそこで発生させたということです。」

ハゼット「ゾンビになるという…ウイルスって言ってたか?それは自然発生するものではないのか?」

どうだろう…。自分はその辺の事情には詳しくない。だが、

クロノ「自然発生ではない気がします。この世界で何千年も存在しなかったものが、いきなり一ヶ所二ヶ所と出現するのはおかしいと思います。」

ハゼット「…なるほど。よし、明日早速行ってくるとしよう。」

クロノ「ハゼットさん1人ですか?」

ハゼット「なんだ、来たいのか?」

クロノ「ゾンビに詳しい人は連れてった方が良いと思います。何も知らないで奴らを対処しようとしても失敗します。」

ハゼット「……。まぁ、今回に関しては俺もお前を連れて行くべきだと思う。さすがに初めて戦う相手には経験者を連れて行くさ。」

エリー「その話、私も入っていいですか?」

ハゼット「エリー?」

エリー「ゾンビってこの間言ってたやつですよね?人数は多い方が良くないですか?」

自分の方を見て言ってくる。

クロノ「えっと…。」

ハゼット「お前に任せる。ゾンビに詳しいのはお前だからな。」

俺に…か…。

クロノ「確かに2人だと少ないですが。あまり人数が多く連れて行き過ぎると、もしまた近くでゾンビが発生したときに対処しきれません。第一遊撃隊の方達が苦戦する相手でしたし。4人か3人がベストでしょう。」

アクア「あたしが行こうかい?4人目。」

アクアが入ってくる。

そういえばアクアは弓使いだったか。

アクア「弓使いだからって接近戦が苦手なわけじゃないさ。あたしだって働けるよ。」

クロノ「じゃあ4人目はアクアさんでお願いします。」

ハゼット「よし、ならフレアとレオとマキノに留守番を頼むとするか。明日の朝に出発するぞ。」

まさかゾンビがまた現れるとは…。

こういうとき、胸騒ぎが止まらないのは、ゾンビモノの作品は必ず陰謀があるからだろう。

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