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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
5話:お勉強の時間
23/95

その2・バグった

[クロノ]

フレア「マキノさん、クロノに詠唱魔法見せてやったらどうですか?」

そういえばマキノさんの詠唱魔法は意味わからんとか言ってたな。

マキノ「ん?ああ、別にいいぞ?」

クロノ「そんな簡単に使っていいもんなんですか?」

ガイア「いや?詠唱魔法というのは奥義だからな。本来はあまり人に見せびらかすものではないのだが、マキノのやつはおそらく対策できんだろう。」

いったいどんな魔法なんだ…。

マキノ「さて、ではやるぞ!」

早くないすか⁉︎まだ心の準備できてないすよ⁉︎

マキノが両手を広げる。足元に魔法陣が出現し、ゆっくりと回っている。

クロノ「詠唱魔法ってどういう唱え方するんですか?」

ガイア「詠唱魔法は1つしかないが、発動するための詠唱は1つではない。さっき詠唱魔法が1つなのは人間の魂が1つしかないからと言ったな。あと詠唱は心の中の決意なんかを魔力に変えると。そいつが何を考えているかはその時その時によって変わる。そいつの今の想いを込めた言葉が呪文となる。言葉は変わっても発動する魔法は同じなのだ。」

なるほど。つまり、毎回違うと。


マキノ「そんなに大層な威力じゃなくていいよな?」

マキノが呪文を唱え始める。

マキノ『クロノをビビらせるクロノをビビらせるクロノをビビらせるクロノをビビらせるクロノをビビらせるクロノをビビらせるクロノを…』

ちょっと待て怖すぎるわ。

クロノ「これが呪文ですか?」

ガイア「そうだが、マキノとはいえ普段はもっとマトモだぞ?」

フレア「クロノをビビせてやろうと頑張りたいんですよ。」

マキノ「フレア、お前にもしていいんだぞ?」

フレア「…遠慮しておきます。」

フレアの顔が青ざめる。

マキノ「さて、心の準備はできたな?いくぞ?」

おし、ばっちこい。

マキノ『望み壊す改定の境界(ワールドブレイク)‼︎』

手の平の魔力の塊を地面に投げつける。地面に触れた塊は大きく広がり周囲を包み込み消えた。

………こんだけ?

マキノ「ふふふ…。」

マキノが椅子を持って近寄ってくる。

クロノ「えっと…マキノさん?」

マキノが椅子を持ち上げる。振り下ろす気か?

マキノ「大丈夫だから避けるなよ?」

いやいや、大丈夫じゃないでしょ。

思いきり振り下ろされる。

体にぶち当たる。かと思いきや、椅子は自分の体を貫通していった。

(…通り抜けた?)

マキノが自分に向かって椅子をブンブン振り回すが体に直撃しているはずなのに、全く当たった感触もせず、通り抜ける。

クロノ「物体に触れなくする魔法?」

マキノ「いいや、これはあくまで効果の1つだ。こんな使い方もできる。」

そういうと自分のいる場所に椅子を置いた。

すると今度は…椅子に自分の体が埋まった。透けているとかではなく、物理的に体が椅子の中に入っている。

クロノ「なにこれ⁉︎埋まった⁉︎」

マキノ「こうやって相手の動きを制限することもできる。」

マキノが椅子に触れるとまた椅子が透けた。

マキノ「あとはこういうのもある。」

そういって自分の左手首を掴む。

真っ直ぐと伸ばされ、思いきり右に投げつける。

本来なら体に当たって腕と当たった胸あたりが痛いとなるだろうが、腕が体を貫通した。先ほどの椅子みたいに透けたのだ。しかも腕が一周して戻ってきた。

マキノ「ここで一周させずに腕を変な方向にとどめておくこともできる。」

なんだろう…こんな現象見たことあるぞ…。

マキノ「フレア。ちょっとこっち来い。」

フレア「え、なんでですか…?」

マキノ「いいから来い。」

フレア「い、いやです。」

マキノ「来い。」

フレア「絶対なんかする気でしょ⁉︎行きませんよ‼︎」

フレアが椅子にしがみつく。

マキノ「仕方ないなぁ。ならそこで喰らうが良い。」

フレアがえ?というような顔をする。

するとフレアの体が突然椅子を貫通する。そしてフレアの体が地面に当たらないあたりのところで、今度は椅子にフレアの体が埋まったようだ。それだけじゃない。

自分の時と違って、埋まっている間、ガッガッガッガッとぶつかる音がする。

フレア「あがががががががががががががががががががが痛い痛い痛い痛い痛い痛いお願いマキノさん許して痛い痛い痛い痛い‼︎ 」

すごく痛そうな顔をしてる。

しかしこれ見たことあるぞ。ゲームの中とかで。

マキノ「あとはこんなこともできるぞ?」

フレアの体が解放される。なんとか立ち上がる。

マキノがフレアの反対方向の壁に向かって椅子を持って走り、壁にぶつかる直前にそのままのスピードで飛びながら椅子に乗る。すると壁に触れた瞬間壁に反射され、高速でフレアの方に飛んでいく。

いつの間にか椅子がなく立った姿勢でスライドするように動き、肘をフレアに向けている。

マキノの肘がフレアの下腹部に命中する。フレアは悶絶して動けなくなったようだ。


マキノ「どうだ?」

どうだって言われても…。

なんだろうこの現象のどっかで見たことある感じ。椅子が地面に埋まり、ものすごい振動をしている。

…あ、思い出したぞ。

物理演算とかのゲームで見たことある。バグとかを発生するとキャラが地面や物体に埋まったり、ものすごい反射されたり、体がグニョグニョ曲がったり。

つまり、

クロノ「物理法則をいじった…?」

マキノ「…驚いたな…。まさか一発で当てられるとは。」

あ、マジで?

マキノ「モノに触れたらモノが動くのは当たり前のことだ。だが、その当たり前のことを無理矢理ぶっ壊して現実では起こりえないことを可能にしているのだ。物体が物体を透過するのはありえないことだし、物体が物体に触れたら跳ね返されることは普通にあるが、その反発力はたかが知れている。当たり前の現象をありえない現象に変えたかったんだ。そこでこの魔法が出来上がったわけさ。」

まさか、バグを操る方が現れるとは…。

フレア「…クロノ…。お前って、よく分からないところ詳しいよな…。」

まぁあっちの世界から見たらこっちの世界もわけわからんもんだし、逆もそうなんだろう。


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