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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
5話:お勉強の時間
22/95

その1・先生、この問題分かりません

[クロノ]

クロノ「ハゼットさん、任務うまくいったんですか?」

ガイア「あぁ。」

クロノ「んで、なんで帰ってこないんですか?」

ガイア「別の任務を町長に任されたんだ。帰ってきた足でそのまま別の村に行ったのさ。」

妹が故郷に帰って暇になったガイアがギルドに遊びに来ている。休暇は今日で終わりなのでギリギリまで満喫するようだ。

ガイア「お前がここに来てからどのくらい経つんだ?」

どのくらいだっけ。

クロノ「1週間か2週間くらい?」

ガイア「まだ来たばっかりか。それでよくあれだけ動けたな。」

こないだの巨大ゴブリンとかの話かな。まぁ、厨二病は頭の中に見合った身体能力があればいくらでも戦えるからな。

ガイア「ならこの世界のことはまだ全然知らないってことか。」

フレア「なんすかなんすか~?俺も混ぜてくださいよ~。」

フレアがやってきた。

ガイア「ん?フレアか。アクアはどうした?」

フレア「エリーさんと2人で森行きましたよ。」

ガイア「……大丈夫なのか?」

フレア「……多分。」

なんでそんな不穏な会話してんの?

ガイア「まぁ、当たり前のモラルくらいはさすがに持ってるだろ。」

フレア「だといいですねぇ。」

明らかに何か起こりそうな会話じゃねーか。

フレア「レオくんは?」

クロノ「久しぶりにマキノさんが来たんですけど、マキノさん連れてアリアージュに行ってきました。」

多分コスプレ攻撃に合う。

フレア「レオホントにあそこ好きなんだな…。そんで、今なんの話してたんですか?」

ガイア「クロノはまだこの世界のことを知らないだろうからな。しかもギルドに属しているわけだし、少なくとも戦闘のことくらいは教えようかと思ってたんだ。」

フレア「おぉ~。俺も一緒していいっすか?」

戦闘のことか。

ガイア「戦闘のことといっても、センスはあるわけだし、技術よりはどういった魔法があるかを教えるくらいでいいか。」

厨二病はセンスがあるってことか。


ガイア「さて、そうだな。魔力強化は知ってるよな。」

クロノ「はい。知ってます。後は魔力を集めて殴るとか。」

ガイア「それも魔力強化のうちに入る。魔力を集結させて、属性を付与してダメージを高めたり、逆に減らしたり。壁を登ったり、高く飛んだり。体に魔力を流したり、そこから周りに魔力を流して何か効果を加えることを魔力強化という。」

フレア「はい先生。自分の体を燃やしたり、雷発生させてるのもありますけど、あれも魔力強化ですか?」

ガイア「あぁ、魔力を流して効果を発生させてるからな。」

クロノ「じゃあ、ゴブリンのときの、レオやガイアさんがやったやつは魔力強化とは別物と。」

ガイア「あぁ、あれは魔法というやつだ。魔法にはいくらか種類がある。あの時の俺やレオが放ったデカイやつがあるだろ?あれは大魔法というやつだ。高い威力や効果を持つがチャージに少し時間を要する。それに対して、威力が低めではあるが、溜めずにすぐに発動できるのを小魔法という。」

大に小か。

ガイア「まぁ、大魔法ってのは要は小魔法を溜めて発動してるようなものだから。大して変わりはしない。だが魔法にはもう一つ、種類がある。」

クロノ「もう一つ…とは?」

ガイア「『詠唱魔法』だ。」

クロノ「詠唱魔法って呪文唱えたりするやつですか?」

ガイア「なんだ、知ってるのか?」

クロノ「いや、なんとなく名前から察しただけです。」

ガイア「ほう。まぁ、唱えるのは呪文でなければならないわけではない。詠唱魔法というのは1人につき1つしか持てないものだ。1つしか持てない理由はその者の魂が1つしかないからだ。魂に刻まれた想いや決意なんかを魔力に変える。だから詠唱魔法というのは個人差はあるが、大魔法より発動に時間がかかる。」

フレア「トーゼン、俺もアクアも、多分詠唱魔法自体はこの世にいるやつ全員が持ってるぞ。酒屋のおっさんとか、八百屋のおばさんとかもな。」

クロノ「ってことはこの世界の魔力が流れてる俺にもあるってことですかね。」

ガイア「おそらくあるな。魔力が流れているなら使えるだろう。」

クロノ「ギルドの人のはどんなの持ってるんですか?」

フレア「う~ん…。ちょっと昔にアクアとマキノさんのは見たことあるけど…。他のは見たことないなぁ…。」

ガイア「マキノのはアレは意味がわからん。どうなっているんだアレは。」

フレア「アレはねぇ…。反則でしょ。」

クロノ「そんなアレアレ言わないでくださいよ…。気になるじゃないですか。」

フレア「マキノさんなら見せてって言ったら見せてくれそうだな。」

ガイア「見ても多分意味わからんけどな。」

どんな魔法なんだ…。


ガイア「さて、次だ。魔族は知ってるか?」

魔族?魔獣じゃなくて?

クロノ「多分、ないです。」

ガイア「魔族を知る前に、この世界にどういう種族がいるか知っておくべきだな。この世界は大きく分けて3つの種族がある。人間族、魔獣族、そして魔族だ。人間族の中に、人間、亜人、獣人と3つの種族ある。亜人は主に人間の特徴を持ち、体のどこかに人間ではない他の生き物の特徴を持つ。獣人は逆に人間のような特徴が少ない。ほとんどは人間のように歩くくらいしか持ってないな。人間らしさで言えば亜人:獣人で8:2くらいだろうか。」

簡単に言うと、亜人がネコミミついただけの女の子で、獣人がケモナー大歓喜のまさにケモノって感じの女の子みたいな感じだ。俺は前者の方が好きだ。

ガイア「魔獣にもゴブリン族だとか、スライムだとか色々種族がある。」

クロノ「ゴブリンは獣人には含まれないんですか?」

ガイア「人間族と魔獣を分けてる壁が、文明を発達させられるほどの知能があるかどうかだ。言語を話せたり、それが人間族最低ラインの条件ということになっている。まぁ、誰かがそう定めたのではなく、いつの間にか決まっていたルールという感じだがな。ゴブリンは言語を話していないし、住んでるところも原始的を通り越えて野生だ。しかも人間族を襲うから敵対しているということで魔獣に分類される。」

クロノ「なるほど。」

ガイア「さて、肝心の魔族だ。魔族にも人間族みたいに色々種族がある。吸血鬼にヘビ、 クモ。ネコなんてのもいたかな。」

クロノ「あんまり亜人とか獣人とかと変わらない気もしますけど?」

ガイア「見た目だけなら分からないやつも多いだろうな。だが1つだけ、違うことがある。」

クロノ「違うこととは?」

フレア「はい!使っている魔力です!」

いつの間にか喋っていなかったフレアがいきなり出てくる。

ガイア「そう。魔力の根源というか元は同じなのだが、正反対の存在なのだよ。プラスかマイナスかの違い、という感じだな。」

クロノ「プラスかマイナスか。」

ガイア「まぁ、人間が勝手に定めた基準だ。魔族には魔族なりの基準があるだろう。さて、魔族だが、やつらは昔人間に迫害されたのだ。」

クロノ「迫害⁉︎」

ガイア「まぁ、人間からしたら化け物の集まりみたいな感じだったからな。人間は魔族だけじゃなく亜人や獣人も迫害していた。人間はそれほど力のあった存在だったのだ。今は人間族同士では友好的だがな。」

クロノ「人間族同士では…ってことは魔族とは?」

ガイア「友好的ではない。向こうの魔王…魔族を統べる者がいるのだが、そいつが今にも戦争が始めてもおかしくないくらいにはな。」

魔王なんてどこいっても人間に戦争ふっかけてるじゃないか。

ガイア「まぁ、出会ったら気をつけろよ。今は『門』に隔てられて好きに行き来はできないが、たまに超えてくる魔族がいる。」

以外と管理ガバガバじゃないか。

フレア「あれ?ハゼットさん、なんか知り合いのサキュバスいましたよね?門の近くに。」

ガイア「あいつは例外だろう。珍しく人間に友好的な魔族だからな。まぁ、人間を襲う種族ではあるが。」

クロノ「ハゼットさん、魔族と知り合いなんですか?」

ガイア「昔、魔界に行ったとき…。あぁ、魔界ってのはその門の向こう側の魔族の世界のことだが…、そこに行ったときにサキュバスと戦ってな。そこで気に入られて門を超えて来たんだよ。そして人間界の方が快適だというからそのまま門の近くに屋敷を作って住んでいる。」

クロノ「ハゼットさん送り返さなかったんですか?」

ガイア「ハゼット曰く、やつは人間を襲わないと誓っているから大丈夫だと。サキュバスがいるような門に近づくヤツもいないし、門番もついでに勤めさせてるそうだ。」

クロノ「人間を襲わないんならちょっと会ってみたいですね…。」

フレア「いーや、多分襲われるぞ~?特にお前。なんか食べられそうな見た目してるもん。」

どんな見た目だよ。

ガイア「まぁ、食べられるだろうな。なんたってサキュバスだ。」

食べられるってそっちかよ。

レオ「でもいい人だよ?」

うお⁉︎いつの間に背後に⁉︎

マキノ「あぁ…素晴らしい店だった…。」

マキノが恍惚の表情を浮かべている。そういえばこの人スイーツ好きだったな。

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