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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
3話:ギルドのお仕事
14/95

番外編・研究所見学


[クロノ]

カチャカチャ…

クロノ「あれ?うーん…?え~と…。」

エリー「武器の点検ですか?」

クロノ「エリーさん。いや、点検というか、なんか剣の調子が悪くてですね…。」

具体的には銃から剣への切り替えができない。

巨大ゴブリンと戦った際にやらかしたかもしれない。

エリー「昨日の巨大ゴブリンとの戦いですごい技したじゃないですか。あれが原因なのでは?」

クロノ「だと思いますよねぇ…。」

マズイな。故障してるんじゃマトモに戦えない。

クロノ「マキノさんに診てもらうしかないなぁ。」

エリー「マキノさんの研究所の場所、知ってます?」

クロノ「いえ…。」

知りません。

エリー「では私が案内しましょう。」

クロノ「え、いいんですか?昨日あんな戦闘したのに。」

エリー「あんなの特別な内に入りませんよ。それに武器が故障してたんじゃ戦えませんしね。」

というわけでマキノの研究所に案内させてもらうことになった。


マキノの研究所は街を北に行ったところにある森の中にあった。

これと分かるくらいに場違いな近未来感のする建物。この人ホントにここで生まれ育った人だよな…?

エリーがドアを開ける。広い空間に机と椅子が4個。

机の上は服やらコップやらで生活感あふれる散らかり方をしている。が、床には何も散らばっていない。ちょうど入り口の反対側に通路があり、通路の両側に扉がいくつかある。


エリー「マキノさんは…奥の部屋かしら?」

エリーが通路の方に向かうのでついて行く。

エリーが突き当たりの部屋をノックするが返事がない。

クロノ「ここは?」

エリー「マキノさんの寝室よ。鍵はかかってないから外出はしてないはず。実験室のどれかかしら。」

いきなり寝室から調べるのかよ。

寝室のドアから離れようとすると、最初の部屋に一番近いドアからマキノが出てきた。

相変わらずの白衣姿だ。

マキノ「ん?おお、エリーとクロノか。どうした、いきなり。」

クロノ「ちょっと武器が故障しちゃってですね。修理してもらおうかと。」

マキノ「おや、そんなに脆くはないはずだが…。いったいどんな扱い方をしたんだ…。」

エリー「それはもうすごい技を。」

マキノ「エリーがそう言う程だからすごい技をしたということか。これの耐久性を上回る力とは…。改良せねばならんな…。」

と言いつつもにやけ顏が隠せていない。やっぱり研究好きなんだろうか。

マキノ「少し時間がかかってしまうが、いいか?」

クロノ「大丈夫です。直るまでここにいさせてもらおうかと。」

マキノ「分かった。実験室は好きに見て回ってもいいが、触るなよ。」

と言って、出てきた部屋に入っていく。

エリー「私は一旦ギルドに戻りますね。夕方くらいにまた迎えに来ますから。」

と言って、帰っていった。


さて、では見て回ろうか。

寝室に一番近い部屋。扉に何か書いてあるが、読めない。相手の言葉が自分の言語に聞こえるという魔法。目にもしてもらうべきだったろうか。

入ってみる。

ここは…なんかフラスコやら変な色の液体がたくさん…。

薬の実験室か?

熱したまま放置してあるやつとかあるが、大丈夫なのだろうか。

というか匂いがやばい。

なんだろう、このクセになる臭さというか、興奮してくるというか…。

ヤバい、嫌な予感がする。理性が残っている内に出よう。


バタン


なんだろう。外の空気をちょっと吸っただけで、頭の中がスッキリする。もう少しあそこにいたらどうなっていただろう。

もう一つ、横に部屋があるがあんな部屋があったんではこの部屋がどうなるか分かったものではない。

マキノが入ってった部屋なら何があってもマキノが何とかしてくれるだろう。


ガチャ


部屋に入る。いかにもメカメカしい機械。ここは機械的な実験室だろうか。部屋の中央にある大きな装置に目が行く。それに裸の女性が繋がれている。しっかり隠す所は装甲で隠しているが。両手と腰から下を機械に埋め込まれている感じだ。

マキノ「おお、クロノ。驚いたか?」

渡した武器をいじりながら話しかけてくる。

扉の近くの作業台にいたようだ。

クロノ「あの…。あの人は…?」

マキノ「ん?あぁあれか。『話す人形』というのを作っていてな。そちらの世界にはないのか?」

『話す人形』?アンドロイドってことか?

クロノ「人間みたいに会話したりってことですか?似たようなのならありますけど。」

マキノ「いや、『話す』と言ったが、人間のように会話するだけでなく、人間のように動けたりもするのを開発中なのだよ。それに人間のように考えることもできる。」

AI搭載のアンドロイド⁉︎マジ⁉︎

クロノ「そんなハイスペックなのはないですね…。」

マキノ「ふふっ、魔力があるなしの違いってところだろうな。」

装置に近づく。繋がれている女性は目を閉じている。どう見ても普通の人間にしか見えない。

マキノ「今はスリープモードだから目は覚まさないぞ。」

スリープモードなんてのもあるのか。

マキノ「胸の装甲は外せるようにはなっているが、外して胸を揉もうなんて考えるなよ?私が直々に制裁を加えるぞ?」

持っているドリルを振り回す。

クロノ「いや、そんなことは考えてませんよ‼︎」

多分…。

マキノ「あ、そうそう。寝室のすぐ横の部屋だが、入らないほうがいいぞ。」

もう入ったよ。

クロノ「なにかあるんですか?」

マキノ「体力増強剤を作っているのだがな。効果はてきめんだが、匂いに正しい思考をできなくする成分が含まれているのだ。色んな方向にな。興奮したりとか興奮したりとか。」

色んなってどの方向だよ。


マキノ「よし、出来た‼︎」

修理が終わったようだ。

マキノ「ほら、直ったぞ。修理しただけでなく、耐久性も上げたし軽量化も行ったぞ。それと魔力の蓄積量も上げた。後は新しい形状もできるようにしたし、それから…」

説明が長いがとにかく全部聞いた。

マキノ「…というわけだ。後…」

と話を続けようとすると、


ウーーーーウーーーーウーーーー


施設内でサイレンが鳴る。

クロノ「どうしたんですか?」

マキノ「あぁ~、魔獣が近くまで寄ってきたかな。この森にも魔獣がいるんだよ。」

クロノ「マズくないですか?」

マキノ「今まで追い返してきたし、そんなに問題ではないさ。そうだ!その武器を試してこい。軽量化もしたわけだから慣れないとダメだろう。」

確かに、軽量化したなら新しい動きができたり、今までできた動きができなかったりするだろうな。


外に出ると、デカイクワガタムシみたいなのがいた。

マキノ「ヘヴィビートルか。そんなに強くないから大丈…ってどうした?クロノ。」

……ゴメン、無理。俺こういう虫とか爬虫類とか足が節々しい虫とか飛んでる虫とかとにかく虫とか無理なの。

ホントに無理なの。そこらへんの虫苦手な女子より苦手な自信がある。

未だにゴキブリに遭遇て涙目になるくらいだ。そのため部屋に虫対策のアイテムがたくさんある。

足が震えている。足だけでなく体中が震えている。

マキノ「ほら行ってこい。性能チェックは大事だぞ。」

マキノがにやけながら言ってくる。こいつ…分かってて言ってやがる…‼︎

ドンと背中を押されクワガタの前に出される。

キシャーー‼︎

アカン。こんなのもう見たくもないし聞きたくもない。

すぐさま背中の武器を手に取り銃を相手に向ける。

虫なんだ。燃えるだろ。

クロノ「フ、フレイムスロアアアアアアアア‼︎」

クワガタが炎に包まれる。

ギィィィィィィィ‼︎と、黒板爪引っ掻きや発泡スチロールが擦れるより不快な断末魔。心臓の奥にまで鳴き声が突き刺さる。これ以上こんなの聞いたら気を失…



クロノ「はっ⁉︎」

目を覚ますと、ベッドの上だった。ここは?

マキノ「お、目が覚めたか。すまんな。お前がそこまで虫嫌いだったとは。」

クロノ「あの、ここは?」

マキノ「客用の寝室だ。ヘヴィビートルを燃やして奴の断末魔を聞いた後に気絶したんだ。」

本当に気を失ってたのか。

エリー「クロノさん、目が覚めましたか?」

エリーが部屋に入ってくる。ということは既に夕方か。

マキノ「怪我をしてるわけでもないし。もう帰っても大丈夫だろ。ホントにすまなかった。」

クロノ「い、いえ。別に死んだわけでもないですし。」

あんなの聞くくらいなら死んでも良かったが。まだ耳の奥から聞こえてくる。

もう二度と虫の相手なんかするもんか。

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