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ヒーローライクヒール(リメイク連載中)  作者: 手頃羊
3話:ギルドのお仕事
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その3・おそらくこの世で最も相手にしてはいけない何か


[クロノ]

早々に終わらせてやるとは言ったものの、ゴブリン達の様子がおかしい。フラフラと歩いている。これが普通なのだろうか。

クロノ「レオ、ゴブリンってこういう変な歩き方が普通なの?」

レオ「ううん。もっとこう、獣らしいけどちゃんとした歩き方はしてるよ。それにゴブリンは武器を持ってるけど、こいつら武器を持ってないのもおかしい。」

なるほど。やはり変か。さっきまるでゾンビみたいだと言おうとしたが、ホントにゾンビなのかもしれないな。だとしたら、やばすぎる。

クロノ「ゾンビか…。」

レオ「ゾンビって?」

クロノ「え?ゾンビって知らない?」

レオ「聞いたことないよ?魔獣の名前?」

この世界の住人はゾンビを知らないのか。ってことはゾンビの対処法や噛まれたらどうなるかも知らないってことか⁉︎

兵A「様子はおかしいが、弱ってるようにしか見えんぞ。」

兵B「あれだけ群れてても弱ってるんじゃすぐに終わらせられるだろう。」

副隊長「援護兵は巨大ゴブリンに支援攻撃を行い、ガイア隊長たちの援護を行え!ゴブリンの群れは近接戦闘のみで戦う!」

眼鏡をかけた、細身のいかにもウザい上司という見た目の男が指揮を執る。いや、それはマズイ‼︎

クロノ「副隊長さん!ちょっといいですか!」

副隊長「ん?君はギルドの…例の新入りか?」

なんだもうそんな広まってるのか。

クロノ「あいつらは様子がおかしいですが、弱ってるわけではありません!むしろ危険な状態です!」

兵A「おいおい、新人のくせになに分かったような…」

副隊長「まぁ待て。君…名前は?」

クロノ「カミヅキ・クロノと言います。」

副隊長「東国の名前か。よし、クロノだな。あのゴブリンの様子がおかしい理由を知っているのか?」

クロノ「ああなった理由は分かりませんが、ああなってしまったらどうヤバいかは知ってます。」

副隊長「ふむ…。今は時間がない。注意すべき点だけを教えろ。」

兵B「副隊長⁉︎」

副隊長「私たちは奴らの異常のことをよく知らない。仮に弱ってるだけだったとしても、知らない私たちの指揮より知ってるこいつの方が正しいといえるだろう。」

この副隊長、話が分かるようだ。

クロノ「注意すべき点は奴らに噛みつかれないことです。」

副隊長「噛み付く?そんな攻撃をしてくるのか?」

クロノ「噛み付く以外にもしてきますが、それらは基本痛いだけです。ですが噛みつかれたら、取り返しのつかないレベルの毒が体に回り、やつらと同じああやってフラフラと歩きまわって生きている動物の肉を求める獣と化します。」

場の空気の温度がちょっと下がった。

兵C「そんなヤバい魔獣なのか⁉︎ゴブリン種の新手の魔獣なのか⁉︎」

クロノ「魔獣ではなく…そういう病気という感じですね。治療法は現在では見つかってないでしょうね。」

副隊長「なるほど。他には?」

クロノ「僕の推測が正しければですが、鎧の上からなら噛まれても歯は貫通しないでしょう。ですが鎧を壊そうとするくらいはしてくるかもしれません。ガイアさん達が大変になるかもしれませんが、遠距離支援攻撃をこっちにもある程度しながら、一体ずつ確実に倒した方が安全です。」

副隊長「分かった。全員聞こえたな‼︎援護兵の半数は向こう‼︎残りはこっちだ‼︎戦闘兵は各々十分注意して戦え‼︎第一遊撃隊の名に相応しくない戦いはするな‼︎」

さすが副隊長、判断が素早い。

副隊長「後でやつらの話をもう一度聞かせろ。それほどヤバいものなら少なくとも兵とギルドのやつらは知っておくべきだ。」

そういってレイピアを持った副隊長が兵を引き連れていく。

レオ「大丈夫なの?」

クロノ「俺としてはそんな危険なやつらではなかったとあってほしいんだがな。」

さて、こんな危険なやつらの相手に時間を割くとこちらが疲れてしまうだろう。

クロノ「それより、レオ。ちょっと頼みたいことがあるんだけど、いい?」

レオ「頼みたいこと?」

クロノ「レオって魔法使いだよね?広範囲を一気に殲滅できてかつ魔獣をあまりふっ飛ばさないような魔法ってある?」

レオ「あるよ。それで一掃しようってこと?」

クロノ「そういうこと。あの兵たちを戦わせながら下がらせるから、その時にズバンとやってほしいだけど、いける?」

レオ「任せて‼︎」

頼られたのが嬉しいのか張り切っているようだ。

さて、自分も突っ込みますか。


やはりゾンビと戦闘していると地獄絵図だな。すごい絵だ。幸い、まだこちらの死人はゼロだ。

クロノ「副隊長さん‼︎」

副隊長「なんだ‼︎口を動かすなら手を動かしながらにしろ‼︎」

クロノ「やってますよ‼︎それより、ウチのレオに敵を一掃する魔法するよう頼みました‼︎合図出すんで巻き込まれないように撤退するよう他の兵にも伝えてくれませんか‼︎」

副隊長「なるほど。一掃した方が確かに早いな。よし、他の兵にも伝えておく。」

さて、これでオーケーだ。後は上手いこと敵を遠ざけながら、レオの準備を待つだけだ。


兵A「ぐあ‼︎こいつ…‼︎」

兵B「大丈夫か‼︎アバン‼︎」

兵A「大丈夫だ‼︎噛まれたが鎧は貫通していない‼︎」

兵たちも苦労しながらも戦っている。

兵C「こんな危険なやつらだと思ってなかったら今頃全滅してたな…。」

兵D「チャーリー‼︎危ない‼︎」

兵C「え?うわ‼︎」

兵の1人がゾンビに押さえ込まれた。押さえ込んだゾンビは兵士のヘルメットを取り、口を大きく開ける。

兵C「ひぃ‼︎やめてくれぇ‼︎」

兵D「チャーリー‼︎」

副隊長「せぇあああ‼︎」

副隊長が投げたレイピアがゾンビの頭に刺さる。ゾンビの近くにまで走り、頭を蹴ってゾンビをふっ飛ばす。レイピアはその衝撃で折れてしまった。

副隊長「所詮使い捨て。予備はまだある。大丈夫か?」

兵C「ありがとうございます‼︎副隊長‼︎」

副隊長「ボーッとするのは家でやれ‼︎今は戦闘中だ‼︎」

この副隊長は戦いながらも周囲を見て指示を出したり、自分で動いたりする。

ガイアがこの部隊にいなかったらこの男が隊長だったろう。

戦闘中、レオから声がかかる。

レオ「クロノー‼︎準備できたよー‼︎」

後ろを振り向くとレオがいない。

クロノ「あれ?」

レオ「こっちこっちー‼︎上ー‼︎」

上?

見るとレオがステッキの下ギリギリを持って上に掲げている。かなりの魔力を感じる。

クロノ「全員退避ー‼︎やつらを一掃しますよー‼︎」

バタバタと兵士が引き上げていく。

副隊長「全員下がったか⁉︎」

兵D「全兵士の撤退を確認しました‼︎」

副隊長「よし、クロノ‼︎こちらは完了した‼︎」

クロノ「よしレオ‼︎ぶちかませ‼︎」

レオ「よーーし‼︎はあああああああああああ‼︎」

ゾンビどもの頭上に星型の円盤のようなものが現れる。凄まじい魔力だ。

レオ「喰らえ‼︎グラビティスタープレス‼︎」

星型の円盤はそのまま落下し、ゾンビを押しつぶす。それだけでなくその円盤の中心にゾンビが吸い寄せられる。円盤に触れただけでもダメージがあるらしく、ゾンビを次々と動かなくさせる。

やがて円盤が消え去り、動いているものがいなくなった。ゾンビは森の方からはもう出てこない。

副隊長「クロノ、これで終わったのか?」

出てこないってことは森の前は安全だろう。

クロノ「森の奥から来たから森の内部にゾンビがいるかは分かりませんが、少なくとも今は終わったと言ってもいいでしょう。」

兵士達が喜ぶ。

副隊長「まだ喜ぶのは早いぞ‼︎ガイア隊長の援護に向かえ‼︎」

ガイアはまだ戦闘していたようだ。


ガイアが次々と武器を出しては消し出しては消しを繰り返しながら戦う。どこぞの聖杯戦争の金ピカ鎧みたいな戦いが出来そうだ。

エリーも鎌を振り回しクルクル舞いながらゴブリンの攻撃を避け、ダメージを与えている。

しかし決定打にはなっていないようだ。

クロノ「ガイアさん‼︎こっち終わりました‼︎」

ガイア「終わったか。なら手伝って欲しいことがある。」

俺にですか。

ガイア「やつの動きを止めてくれ。俺はその間に魔力を貯めて一発デカイのをお見舞いしてやろうと思う。」

クロノ「なるほど、了解。」

動きを止めろか…。

無茶言うぜ。

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