闇からの使者
俺の名前は弘之。
ちょっとませた小学5年生っていうのは仮の姿。
実は闇からの使者なのだ。
「おい、弘之何やってるんだ僕の家に行くぞ」
と声をかけてきたのはしがない小学生の拓実だ。
彼は俺を闇からの使者とも知らず話しかけてきた哀れな人間だ。
まぁ、彼は彼なりに頑張って小学生をしているわけだが。
「何だ、弘之また闇からの使者ごっこでもしてるのか」
「違わいっ、ちょっと考え事してただけだい」
おっと、闇からの使者がこの程度で慌ててわいけないな。
所詮、人間界など魔界から比べれば大したことない。
月とスッポンポンだな。
「お前、犬の糞踏んでるぞ」
「ギャァァー」
「どうせまた変な事でも考えてただろ」
今日は嫌な予感がする。
まぁ、彼のその予感はこの後的中することになる。
「ここが拓実の家か、結構でかいな」
「まぁ、広いだけで古いけどね」
「ふーん、あっピアノもあるさわちゃえ」
「うっ、俺は知らないぞ」
拓実が怯えていたが闇からの使者の俺には恐れるものはなかった。
そのあと、とりあえず拓実の部屋に行った。
「じゃあ、ゲームでもやるか」
「闇からの使者の俺に勝てると思うのか」
ゲームをやる事にした。
しばらくすると。
コンコン。
「はい」
そこには綺麗でグラマーな美女が立っていた。
「お菓子持ってきたわよ、拓実そして弘之君?」
「ありがとうございますお姉さん」
「母ちゃんだよ、レイン母ちゃん」
「えっ」
とてもそうは見えなかった。
「お姉さんなんていやねぇー」
「まるで、女神だったもので」
「そんなぁー」
レインさんは喜んでいる。
「家の母ちゃんと比べると月とスポンポンで」
「いやねぇー」
「いや、間違ってること大人なら注意しろよ」
拓実の言葉など耳に入らなかった。
「あまりにもおっぱいが大きかったもので」
「いやだもー」
「下ネタもスルーかい」
拓実はうるさかった。
「うちの母ちゃんを十両とするとレインさんは横綱で」
「・・・・・・」
「あれ?」
レインさんは黙ってしまった。
「レインさんは横綱ですよ」
ゴチーン。
「私はそこまで太ってません」
なぜか殴って出て行ってしまった。
「痛かったなぁ」
「女性に相撲の例えはダメだったな弘之」
「そうなのか拓実」
「そういう言葉にうちの母ちゃんは敏感なの。例えばデブクソババアっていうと」
コンコン。
ゴチーン。
「こうなる」
「何も実践しなくても」
また、しばらくすると。
コンコン。
「誰、私のピアノ触ったのは」
今度はヴィーナスが現れた。
「ヴィーナス、私が触りました」
「何、この気持ちの悪い奴」
「あー、こいつに悪気はないんだ」
「とにかく、拭いてよね」
「わかりましたヴィーナス」
「あと、そのヴィーナスっていうのやめてお姉さんにして」
「わかりましたお姉さん」
そして、ピアノを拭いた。
「じゃあ、私の曲を10分聞いたら許してあげるわ」
「ありがとうございますお姉さん」
「じゃあ、俺はこれで」
「拓実もよ」
「そんなー」
その時、俺は知らなかった。
お姉さんのピアノがすごく下手でたった5分で気絶することになるとは。
闇からの使者。
俺はそう名乗っていたけれど。
この家族は闇からの使者を遥かに超越した存在だと感じた。