4 提案
「お父様、オーディナル様について教えていただけますか?」
「ははレジーナちゃん? 別に婚約したからって本当に結婚しなくてもいいんだよ」
私は情報を集め出した。
親バカの父なら、王家に忖度せず意見を言ってくれるだろう。
「殿下は他の王子たちより活発で、勉強も苦手らしいね。我がままも多くて好き嫌いが激しいんだ」
殿下は思った通りの少年時代を送っていた。オーディナルは齢9歳の時点ですでにザンネン王子である。
「レジーナちゃんが選ばれたのは血縁が近くなさすぎるからだし、性格が合わなかったら解消しても良いって許可もらっているからね!」
じゃあなんで原作の私は婚約の解消ではなく破棄されたんだ?
レジーナが言い出さなかったからか? 殿下がバカだったからか?
(う~ん、ポンコツは見ていて飽きないけれど、更生する道があるなら選びたいわ)
婚約破棄だけならともかく私が国外追放されたら、お父様は王国に反旗をひるがえすのが原作の流れ。
内戦とか避けたいし。
「でしたらお父様、殿下を我が家でお引き受けすることは可能でしょうか」
ん、と父が首をかしげる。
「わたくし、おバカな婚約者は嫌ですの。王宮だと甘やかされてしまいそうですから、こちらでみっちり教育させていただいては」
前世で何歳まで生きたか覚えていないが、先生をやっていたのは覚えている。
この世界の児童教育の後進性を考えたら、私が教えた方がマシなはず。
「それは確かだけれど、レジーナちゃんはそんなに殿下が気になるのかい?」
お父様はソワソワしている。
「気になるのは王族の今後ですわ。公爵家として仕える王家に、ポンコツがいるのが嫌なのです。きちんと教育した後で、円満に王家にお返しいたしましょう」
婚約の解消をほのめかした途端、お父様は引き受けて下さった。
まあ婚約者だとしても私はあの王子と結婚する気がない。
ショタじゃないのだ。
(せめて20過ぎ、いや30代? ぶっちゃけ40代以上が好みなんだけど)
本当にいくつまで生きたんだろう?
先生だったので前世の知識はやたらと多い。
色々な文章を読んだから、子供時代を一緒に過ごした相手とは結婚しないことも知っている。ゼロではないが確率はかなり低いそうだ。
近親婚を避けるため、本能が拒否するらしい。
将来的には王子もそうなるはずだし、穏便な婚約の解消を目指そう。
「ふん、来てやったぞ」
さっそく王子が我が家に来訪する。
今日も必要以上の上から目線だね。
荷物が次々と客室に届く。
「ではさっそくお勉強をいたしましょう。教材はございますか」
「ええ~少しは遊ぼうぜ」
「まず勉強です」
私はちょっと強めににっこりした。
オーディナルの手を取り歩き出す。
「ど、どこにいくんだよ」
「サロンですよ」
王子はあせっている。
きっと逃げようとしたのを私が阻止したからだな。
「ふふふ、手は放しませんよ」
あきらめたようだ。大人しくついてくる。
子供には優しく教えた方が良いと言う考え方はワイマール時代が始まりで、それ以前はムチで打つことすら推奨されていました。
ワイマール時代は政治・経済の視点ではボロクソに言われますが。芸術・教育分野は現代につながる文化をたくさん生み出しているので人気があるのですよ。
幼馴染とは結婚しない説ですが、出典は忘れました。一応ネットで探したのですが見つからず‥ドイツのギムナジウムの統計だったような気がします。ご存じの方がいらっしゃいましたらお報せ下さい。




