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(ポンコツになる予定の)王子様を育ててみた♪  作者: ノーネアユミ


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3/13

3 禁じられた遊び?

「なあ、お前んち、栗の木ある?」


 前回貸した昆虫図鑑を返しながら、オーディナル殿下は聞いてきた。

 私がうなずくとキラキラした目を向けてくれる。



「お前知ってる? 栗の木にはカブトムシとかクワガタムシが集まるんだ。樹液って言う、木から出る蜜を食べるんだぞ」


 王子はしっかり勉強しているようだ。


「まあ本当ですの! さっそく確認に行きましょう」

 


 子供が興味を持っていることには乗っかってあげよう。

 特殊な才能が開花するかもしれないし、今の私は多忙でもない。



「見えないな」


 季節的には問題ないはずだけど、昼間の栗の木には何もいない。



「上に登ってみるか」

「あぶのうございます」


 さすがに側仕えが止めるが、王子は我関(われかん)せずとばかり木に足をかける。

 私はしばらく放っておいた。



 下の太い枝から高い枝へ。

 王子の割に器用に登るオーディナル。


 ある程度の高さになってから私は声をかけた。


「殿下、こっち見て下さい」

「なんだー」


 よし、下を向かせることに成功。

 少年はやっと自分の状況が分かったようだ。顔を青ざめさせている。


「木から()りてお菓子を食べましょう」

「う、うん」


 同意はしてくれたけど、降りるのは難しそう。



(ちょっとあおってみようかしら)


 私はからかってみた。


「まさか自分で降りられないのに登っちゃったんですか? 殿下がそんなにおバカだったなんて」

「そ、そんなわけないだろう。見ていろ」


 ようやく決意が決まったようだ。まずしゃがみこんで太い枝をつかみ、下半身をそろそろと降ろす。

 もちろん真下に枝はない。


「足を()らして、もうちょっと後ろを探って下さいね」


 王子のくるぶしが下の枝を見つける。

 両足で体重を支えた後、つかまっていた枝から勢いをつけて手を離す。


 これでやっと一段降りることに成功だ。

 私は引き続き声をかけながら殿下の木(くだ)りを手伝った。



 ようやく側仕えに抱きかかえられた時は、もう半べそをかいている。


「木登りは降りる時が大変なのでやめましょう」


 私の言葉に神妙な顔でうなずいた。

 ポンコツは体験しないと解らない生き物なのだ。

 


(今日のことから殿下が少しでも賢くなればいいんだけど)


 たぶん道は遠い。




 お菓子を食べた後はおしゃべりする間もなく、茂みで虫探し。

 クモの巣を壊したりアリの足や触角をもぎ取っていたり。


 私は止めなかった。子供には残酷さがつきものだ。

 経験から知識を得、生命を意識する。大切なのは誰かがつき合うこと。


 壊れた巣を修復するクモを、2人共に観察した。



「また遊ぼうぜ」


 良い笑顔で帰るオーディナルを見送って思った。

 この子は別に生まれつきのおバカではないんじゃないかと。


 周りにロクな大人や友人がいなかったから、ポンコツのまま育ってしまったのかもしれない。


 公爵家が雇った家庭教師の質がアレなら、王家だって同じくらいだろう。



 ちゃんと育てればまとも王子になるんじゃないのか?



 中学の時昆虫の体の構造を学びました。足が六本とかすぐに理解できます。

 だって小1の時、捕まえたり引きちぎったりしながら観察したものね。触角の役割も簡単。だって片方だけ取ったアリは‥

 

 なかなか残酷な子供時代を過ごしました。 (-_-;)

 今はそんなことしませんよ☆

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