16 6年が経ちました
学園生活は一気に終わらせます。
時が過ぎる。
私が作ったゲームは貴族社会を魅了し、実家に莫大な利益をもたらした。
その資金を使って領地の水路を整備させる。洪水対策で遊水地ももうけさせた。
学業の時間が余った分事業に力を入れた感じ。私に甘いお父様へ頼みこんで、かなり強引に進めたわね。
農地整備と災害対策と失業者救済を一度に片付けたった。
金と権力があって初めて、前世の知識は役に立つのよ。
6年がたち、私たちは成長した。幼かった周りの背がのび、表情も大人びる。
「お嬢様にも色香が出て来ましたよ。男共の視線がうるさくてかないません」
フローラルにぼやかれてしまった。確かに異性に声をかけられることは増えたのよ。
私の見た目は小説の主人公だからぶっちゃけ美人。
食べ過ぎても運動すればすぐ体形が元に戻るチート持ち。
余分な脂肪はすぐ胸に。
その上婚約者はいても隣国から帰ってこない。これは不仲を疑われる要因になった。
「ベネット嬢、ご一緒いたしませんか」
クラスを移動するだけでも、誰かしらエスコートを希望してくる。
他から見たら、私に少年たちが群がっているようだろう。
そりゃいつもスルーしているけど。
友人にガードを頼む場合もあるから、しつこく言い寄られたりはしない。
問題は私の内面。
お誘いのたびに、めっちゃドキドキしているのだ!
20歳前は全員子供だと思っていたけど、思春期の体は心まで乱しにくる。
ホルモンバランスの乱れ、甘く見てたわ‥
ダンスの授業なんか男子と手をつないだり見つめられたりするんだよ。
平常心を保つので精一杯さ。
成長過程を見ていなかったら誰かしら本気になったかもしれない。
「気のない男に優しくする必要はないんですからね。婚約者もいるんですから」
勉強会に誘ってくれた男子にていねいな断りを入れていたら、フローラルから釘を刺された。
「ったく、追いはらっても次から次に虫がわくんだから。あいつがいなかったらヤバかった‥ある意味感謝ね」
独り言は聞き流す。
(フローの意見はもっともだけど、私としては公爵家を継ぐためお婿さんは探したいから)
そう。それなりに丁寧な対応を心掛けているのは将来のため。
そろそろ婚約が解消される時期だろ思うの。
独り身になった後のことも考えておかなくちゃね。
「オーディナルだって向こうで恋人作っているかもしれないわ」
「そんなクズはあたしが消します。ご安心を」
王族を消すって、物騒な。
(まあ、そろそろ婚約解消の下地は用意するか)
私はオーディナルあてに筆をとる。手紙を送るのは半年ぶりかもしれない。
お互い卒業試験で忙しかったから、ひかえていた。そろそろ連絡しても構わないだろう。
『親愛なるオーディナル様、いかがお過ごしでしょうか? 私はもうすぐ18になります。入学した時は幼かった学友も次々と恋人を作り、微笑ましいことこの上ありません』
まずは近況報告。
『殿下にもどなたか意中の方ができましたでしょうか? いらしたらぜひ教えて下さいね。わたくしでしたらいつでも身を退きます』
(うん、これなら言いたいことは伝わるっしょ)
しかし優しく育ったオーディナルなら、私の身を心配して無理に婚約継続しかねない。
『こちらはどうにでもなります。わたくしこれでも殿方に人気がありますから。婚約を解消しても次の縁談に支障はないはず、心配はしないでね。 あなたの心の友、レジーナより』
(これであの子も気が晴れるかな。ふう、私の役目もお終いか)
後は返事を待つだけ。そのはずだったのだけど‥




