13 同年代の少年たち
本日、私とオーディナルは王宮の庭園に招待されている。
貴族の子女による園遊会だ。学園に進学前の子供ばかり集められた。
まあここで交流を深めなさいと命じられているわけ。
「ボクは第三王子のオーディナルだ。これからもよろしくな」
はい、あいさつできたね。
「お初にお目にかかります。ロング侯爵家のデューカスと申します」
お、知っているキャラ。こいつはこのまま行けばオーディナルの側近になるんだよね。
頭はいいはずなのに視野が狭くて、フローラルに落とされるけど。
「僕はグラッシーズ子爵家のショーンです」
お、ショーンはこの頃からメガネっ子なのだな。
穏やかで人当りが良い彼は、フローラルに落とされる。
「よ、俺はサーベルト・マークス」
伯爵家の次男は騎士を目指していたはず。
もちろんフローラルに落とされるし、プラス裏切られる。
おお、フローラルにメロメロにされる野郎どもが4人もそろっているとは!
(後は裕福な商家の息子だったっけ? 教師はいなかったはず。‥生徒に手を出すクズがいなくて良かったわ)
教師と生徒の恋愛など、現実では考えられない。
「なあお前、カブトムシ捕まえたことある?」
王子の自慢気な問いかけに、側近候補たちはどう答えようか迷っている。
ちなみに殿下は最近、念願のカブトムシを捕まえることができた。
それから毎日、誰にもこれを言っている。
「クワガタならあります」
サーベルトが食いついて来た。さすが脳筋枠。
「わたくしは他の方とお話してきますわ」
オーディナルを彼らに任せ、私は女の子の集団に向かう。
「初めまして、レジーナ・ベネットと申しますの」
「まあ、あの公爵家の。わたくしは‥」
参加者の名前は大体覚えてきたけど、全員を把握するのは至難の技だね。
(名札とか用意して欲しいよぅ)
泣き言を言いたいけれど、貴族令嬢としては周りに気づかせてもいけない場面。
無難に好きなお菓子や物語の話題をふる。
「さすがレジーナ様は物知りですのね」
「髪飾りもとてもお似合いですわ」
困った。私の身分が高いからみんなおべっかしか使わない。
(ちゃんとした友達が欲しいんだけどなー)
私は会場を見回し、人見知りっぽい子に声をかけてみる。
「ごきげんよう、今日は晴れていて気持ちがいいわね」
「は、は、はい」
「こちらのお菓子はもう食べましたか? とってもおいしいの」
「い、いいえ」
おべっかは使われないけど会話が続かない。
あきらめて次を探す。
会場のすみにポツンと1人、見知らぬ少年が立っていた。
少年は外国人らしい。褐色の肌に銀髪と、ハデな見た目だ。
背が周りの子より高いから年上なのだろう。
(外国から来たから、きっとまだ入学していないのね)
私は近づいてみる。隣国の情報が手に入るかもしれない。
「こんにちは、わたくしレジーナ・ベネットと申しますの」
少年はほほ笑んだ。
「初めまして、僕はアルベール・カステルと申しマス。勉強のためこちらの国来たばかりデス」
やはり留学生だ。言葉のアクセントも違う。
(あれ、この色合いでアルベールと言ったら‥)
原作でレジーナを助けるヒーローじゃん。
彼は隣国の王族だから、この時点でここにいるのは不思議だけど。
「もしかしてヴァルール国の方でしょうか」
「レディは博識でいらっしゃル。僕のことはぜひアルベールとお呼び下サイ」
隣国は人も町もカラフルらしい。
貴族は魔法で髪や瞳の色さえ変えるとか。
アルベールは私が髪と肌の色で予想したとかん違いしてくれた。
「我が国の印象はどうですか? 気に入っていただけたかしら」
「そうですね、色が少ないと上品に見える、分かりマス。女性もつつましやかで優しいデス」
彼は私たちと同じ時期に魔法学園に入学するらしい。
「とても楽しみデス」
アルベールはきらめく瞳で私にほほ笑む。
周りが年少ばかりだから自然な優雅さが目立つことこの上ない。
いつも見ているポンコツ君とは大違いだ。
(くっ、ショタ好きの気持ちが一瞬分かってしまったぜ)
落ち着け自分。体は子供でも頭脳は大人なのだから!




