11 王妃様に招待されて
「王家からお茶会の招待状を受け取った。王妃様が殿下の進捗具合を見たいらしい。2人とも明後日王宮に向かうように」
ある日の午後、お父様から呼び出され招待を知らされた。殿下は目をキラキラさせる。
「母上に会える!」
いつものんきな王子だが、母親に会えないのはさみしかったのだろう。
教育のためとはいえ、良心が痛んだ。
(私がやったことは間違っていたのかな)
「いらっしゃい、ベネット家公爵令嬢」
王家のサロンに向かうと、王妃様が出迎えてくれる。
オーディナル殿下は母親の前で良い姿を見せようと、ていねいにエスコートしてくれた。
(お茶会より授業参観の気分だわ)
招かれたのは私たちの他にも王子や王女にその婚約者たち。
家族だけで気取らずおしゃべりするためだろう。
「お招きありがとうございます」
「母上、お久しぶりで、ございます」
末っ子のオーディナル様は緊張しきっていたけどね。
「おお、あのオーディがエスコートをしているぞ」
兄君様たちが驚いています。
今までひどかったからねー
お茶会は和やかに始まった。
私は王女様や義姉になる予定の令嬢たちと歓談する。
「ベネット公爵令嬢はしっかりしていますね。オーディと同じ年とは思えない」
「おほめに預かり光栄ですわ。どうぞレジーナとお呼び下さい」
いつも子守をしているようなものだから、彼らとの会話は楽しかった。
オーディナルはずっと王妃様とおしゃべりしている。目をキラキラ輝かせて。
しかしお茶会から我が家に戻るまで、オーディナルはずっと静かだった。おしゃべりな彼にしてはめずらしい。
「お疲れですか」
私が頭をなでようとしてもふり払われた。
「疲れてない」
しかしかわいいお顔が仏頂面になっている。
やはり家族から引き離すのは愚策だったか。
「ごめんなさい殿下、王宮に戻りたければいつでもよろしいのですよ。あなたを我が家で預かっているのは、わたくしの我がままなのですから」
私はオーディナルは「そうじゃない」と首を振った。
「どうせレジーナもお兄様の方が好きなんだろう。ボクみたいなバカじゃなくて」
ああ、この子は優秀な兄と比べられ続けて自己を肯定できないのか。
原作では歪んだまま育ったから婚約破棄してしまうのだろう。
ある意味闇落ちかもしれない。
「私はオーディナル様の方が好きですよ。王太子たちでは一緒に虫取りなんかできませんもの。肩がこってしまいます」
これは本音。
お子様のお世話は大変だ。でも生真面目な他の王族と婚約するより、彼の方が私には相性が合っている。
精神年齢の差は埋めがたいが、一生友達でいたって良い。
「そうか」
オーディナルは満足げにうなずいた。機嫌が戻ったらしい。
帰宅後はフローラルも交えて3人で遊ぶ。
「なあ、レジーナはボクのこと好き?」
「ええ、好きですよ」
それから王子はことあるごとに愛情を確認するようになった。
(めんどうくさいけど、愛情不足の子供にはしょうがないことなんだろうね)
「本当に? フローより好き?」
「そうですね」
婚約者と使用人を比べたら、ここは王子を優先させなければ。
「ボクの勝ち! フローのことは嫌いだってさ」
「お嬢様はあたしのことも好きですよ~だ」
なぜか殿下とフローラルで私を取り合っている。
「どっちも好きですよ」
それで満足しないのは分かっているけど。
1人ずつギュウッて抱きしめれば2人とも落ち着くから、今はこれでいいだろう。
こちらの「異世界でヤバい妹になった私は生きるためにあがく」もよろしくお願いします。
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