1 2人の出会い
1話も多少加筆しました。
自分が転生者だと気がついたのは9歳の時。
お見合いで初めて王子を紹介された。
「レジーナ、こちらは我が国の第三王子であらせられるオーディナル殿下だ。そそうのないようにな」
王子の名前に何か聞き覚えあるな~とのほほんとしていたら前世の記憶がフラッシュバック。
記憶の洪水に意識は耐えられず私は失神した。
それは数ある類似作の一つ。だから題名は忘れたけれど、ヒロインは公爵令嬢のレジーナ・ベネット。
レジーナは婚約者を美少女に奪われ冤罪をかけられ婚約破棄されるのだ。
その後国外追放されるも隣国の王族に見染められてラブラブに‥
物語の記憶はそこで終わる。
今自分はレジーナだ。
身体はちっちゃい。年齢は9歳だから年相応か。
豪勢なベッドの中で意識を取り戻した私は状況を確認する。
見合いをしたのはポンコツ王子になる予定のオーディナル。
完璧令嬢のレジーナを嫌う予定。年頃になれば浮気が確定している。
まあ一応小説のヒロインだから放っておいてもハッピーエンドは確定なのかもしれない。しかし。
(溺愛は好みじゃなかったんだよなぁ)
そう、前世の私は砂糖を凝縮させたような話が苦手だったのだ。
物語の知識が途中で終わっているのは、甘々展開に飽きて読むのをあきらめたから!
(しかし他にいくらでも好きな作品はあったのに、なぜこれ?)
記憶の洪水に襲われ、私は前世の家族友人学校仕事を思い出す。
が、それ以外にも本やマンガやアニメやゲームの知識がもう色々あった。オタクだったから。
生まれ変わったのが、なぜこの世界なのだろう?
当時大量に読み、忘れ去ったネット小説の1つ‥今の自分が誰であるかはすぐ分かったし登場キャラや展開も思い出せた。
なのに他の類似作はボンヤリとしか覚えていない。
レジーナのお話だけは繰り返し読んだ名作と同じくらい記憶が鮮明だ。
(これが転生特典なのかな?)
それなら展開を予測して行動を変えた方が良い。
って言うか今の自分がこれから育って完璧令嬢になれるのかと考えたら‥
(絶対に無理じゃん)
用意されたレールに乗れるかどうかも分からないのに、流されるだけの人生なんてまっぴらごめんだ。
今のレジーナは私。
私は私の人生を生きてやる。
今日の私は王子オーディナルと向き合っていた。
前回は気を失ってしまったからお見合いのやり直しだ。
(ここで気が合わないとかなんとかごねて、まずは婚約しないように進めなきゃ)
ポンコツと浮気が確定している奴など早めに切り捨てるにかぎる。
「先日は御見苦しいさまをお見せして申し訳ありません」
「うん、今日は土産を持って来てやったぞ」
王子の側仕えが箱をテーブルに乗せる。
「まあ、ありがとうございます」
リボンもかけられていない箱だから気軽にフタを取った。
ピョン!
その瞬間にバッタがとび出す。
「おい、気をつけないと逃げられるだろ!」
芝生に着地するバッタに、王子は飛びかかっていた。
箱の中には別のバッタやトカゲのしっぽ、それと芋虫をモグモグしているカマキリが‥
「ほら」
王子は捕まえたバッタをまた箱に戻す。
「集めるの大変だったんだからな!」
どや顔の王子からは一切の悪意が感じられない。
私は無言で箱のフタを閉める。
(やっべ、ポンコツ王子おもしろ!)
どうしよう、こいつの生態を観察したい。
婚約は断らないことにした☆
側仕えは王子がうるさいので自由にさせています。




