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2.5

 穏やかに晴れた昼下がり。

 躊躇いのある指先が、インターホンを鳴らした。


「こんにちわ!」

「こ、こんにちわ」

「あら・・・?」

「シャーデ―。この前も言ったろ・・・」


 あくる日。

 まだ少し迷いのある指先が、インターホンを鳴らした。


「こんにちわー!」

「こんにちわ・・・」

「あらあら、いらっしゃい。この前お願いされてた鉢植え、用意できてるわよ~」

「来た来た!さぁ、早く上がってくれ!」


 そして日は沈み、また昇る。

 逡巡のない指先は真っ直ぐに、インターホンを鳴らした。


「こんにちわ」

「こ~んにちわ!!」

「2人とも待ってたわ~!今日はカップケーキを焼いてみたのよ!」

「毎度毎度すまんな、2人とも」


 およそ2ケ月の間、ユウとディスは仕事や学校の合間を縫って、フロイデ宅に通い詰めた。



「・・・俺、話してるだけなんだけど大丈夫なのか?」


 工場応接室にて昼ご飯を食べながら、ユウは当然の疑問を口にした。


「すごい助かってるよ?」

「本当に?」

『ああ。気を引く人間が増えれば、それだけ死角が増える。随分と楽させてもらっているよ』

「それにユウ君のおかげで、仲良くなるきっかけも簡単に見つかるしね」


 それでも納得のいかないユウは、箸の持ち手で頭を掻いた。


「それじゃ、現状のすり合わせしよっか」


 ディスがそう言うと、途端に部屋が暗くなり、スクリーンが降ろされる。

 ドローンから映像が投影され、マリオンが説明を始めた。


『現在分かっている事は、

 ・例の脱臭剤を用いた形跡あり

 ・洗面所から酸素系漂白剤成分の検出

 ・キッチンゴミ箱から、食物繊維を押し固め、乾燥させた物を発見。付着していた指紋は、フロイデのものと一致。

 ・廊下の床に固形化した黒色の工業用塗料がこびりついていた

 ・廃棄物量の減少時期と、フロイデ宅の電力量の上昇時期がほぼ一致

 これぐらいだ』


 何枚かの写真が映し出されると、ユウの表情は和らぎ、止まっていた箸が弁当に向かい始めた。


「最後のやつ追加情報あり。昨日、近くの家電量販店に聞き込みに行ったら、フロイデさんっぽい人が大型のミキサーと乾燥機を購入していったみたい」

『家の中で確認していないのは、フロイデ、シャーデ―、それぞれの自室だけだ。恐らくフロイデの自室に隠しているのだろう』


 ユウは目の前の写真を見るが、眉を顰めるばかりで、丸で分からない。

 どれだけ考えても、見当もつかないこの状況に、彼は高揚感を感じていた。


 ちょっと推理小説みたいじゃないか?


『これで確定だ。フロイデは"本"を作ろうとしている』

「へぁ?」


 ディスとマリオンが不思議そうな顔をユウの方に向けると、彼は首を捻りながら、食事を口に運んでいた。

 間の抜けた彼の顔と、箸から零れ落ちるおかずが奏でる鈍い音は、会議の真面目な雰囲気をどこかに滑り落させようとしていた。


 そうはさせまいと、マリオンが大きく咳ばらいをし、ユウは口を閉じて、椅子に座り直す事にした。


『証拠はそれぞれ筆記用具と紙の材料になる。ミキサーで生ゴミを粉砕し、繊維を取り出し漂白する。それを成形、圧縮、乾燥して、紙が作成できる。そして紙を束ね、塗料で文字を綴れば、本になる。フロイデの本への執心具合から見て、間違いないだろう』

「いやいやいやいや・・・紙?筆記用具?どっちも高級品ですよね?そんなに簡単に作れるものなんですか?」

『作れていたら、既に問題は解消されている。生ゴミから取れる食物繊維の質と量もさることながら、圧倒的に材料が足りていない。我々が発見できていない可能性も考えられるが、これでは粗悪品が高級品に思えるレベルの紙しか作れない。本なんて夢のまた夢だ』


 映像が次に映し出したのは、フロイデを中心とし、そこから伸びた種々のノード群であった。

 そのノード群は聞き出せた情報や尾行して得られた情報、個人的な所感などが色分けして配置されていたが、いまいち纏まりが無く、判然としない図であった。


「今分かってる人物情報はこんな感じで~す」

『それで理由はわかったのか?』

「な~んにも。特に問題らしい問題もなし!って感じで、推測すらできてない」

「それが一番大事なんじゃ・・・・」

「ただ、分からない事があるのは分かったよ」


 ノードの2つが大きくなり、前面に表示された。


「親族関係と病名。この2つ」

『そういえば、あの家・・・家族写真が1つも飾られていないな』


 そういえば・・・


「病名の方はシャーデ―さんも知らないみたいで、病院に問い合わせてみたけど個人情報だから手に入らなかった」

「この2つが、"本"とどう関係してるんだ・・・?」


 ディスは真剣な目でユウを見つめる。重たい空気が辺りを包み出し、ユウは唾を飲み込んだ。


「それは・・・」

「それは・・・?」


 食べかけの弁当すら忘れて、彼は前のめりに、彼女が出した結論に耳をそばだてる。

 今か今かと、胸を高鳴らせ、箸を持つ手が汗ばみ始めた。

 緊張感のある静寂の中、ユウはディスの口の端が上に動くのを捕え、椅子から半分立ち上がった。


「分かんないから、直接聞くしかないね~」


 前触れなく照明が点くと、ディスはクスクスと笑い声を上げた。


『次の訪問は主にこの2つを、自然に聞き出せるような質問を考えておけ・・・どうした、何を崩れ落ちてる?』


 ユウは天井を見上げながら、彼女の推理に期待した自分の愚かさに、溜息をつくのだった。



 翌日。いつも通りの業務を終えたユウは食堂の椅子に腰かけていた。

 時計は、既に終業時刻を指し示していたが、彼はその場を動こうとしなかった。


『食堂にて、13分間休憩を挟んだ後、更衣室にて私服に着替え、退社しなさい』


 今日も日中、メルツはいなかった。

 それでこの通知が届くって事は、また夜勤なんだろう。


 誰にも顔が見えない様、誰とも視線が合わない様、廊下に背を向け、ただ無心に壁掛けディスプレイに映し出された掲示物を眺めながら、時が過ぎるのを待つユウは1つ伸びをして、首を鳴らした。


 最近、不規則なシフトだったからか、ちょっと体が重い・・・

 学生のディスに合わせてシフトを組み直すのは分かるけど、工場長、いやシフトは自動生成だし、ウィールの方か?

 まぁどっちでもいいけど、なんで日勤も入れるかなぁ・・・


 内心で独り言ちながら、暇をつぶしていた彼は、余計な事も考え始める。


 しかしあれ以来、メルツとシフトが被らないな。

 多分ウィールが調整してるんだろうけど、俺、今、イレギュラーまみれだからなぁ・・・

 あいつに迷惑かけてないと良いけど─────────って、別にいいか、そんな事。

 どうせ馬鹿にされてるんだし・・・


 背後の廊下を集団が大きな笑い声を上げながら、通り過ぎていくのを聞きながら、時計を見る。

 きっかり13分後の時刻である事を確認すると、ユウは胸を撫で下ろした。


 ・・・この通知が最善じゃないのは分かってる。

 でも、じゃあ、どうするのが最善なんだ・・・


 訪れた安心はすぐに迷い始め、彼は前かがみに顔を伏せ、鼻で溜息をついた。


「何してんだ、ユウ?着替えて上がんねぇのか?」


 廊下から掛けられた声に驚き、顔を上げると、そこにはフロイデが顔を覗かせていた。



 公園に設置された自販機が2回ガコンッと大きな音を立て、商品を排出した。


「お疲れさん。ブラック・・・でよかったよな?」

「はい。ありがとうございます。いただきます」

「いや~こういうのも久しぶりだなぁ~」


 ベンチに座ったユウに缶コーヒーを差し出すと、フロイデは「どっこいしょ」と掛け声を上げながら、彼の隣に座った。


『工場近くの公園に場所を移し、フロイデに交友関係の悩みを打ち明けなさい』


 ユウは通知を見ながらプルタブを引き上げ、冷たいコーヒーを口に含む。

 粗雑な合成香料の香りが鼻を抜け、とげとげしい苦みが口の中に広がる。


 ・・・缶コーヒーは苦手だ。


「捜査は順調か?」


 ぶつけられた質問に、ユウはむせ返った。


「なんだ?順調じゃねぇのか?」

「・・・いえ、順調、みたいですよ」

「他人事みたいな言い方じゃねぇか。ユウも手伝ってんだろ?」

「いやいや、俺は振り回されてるだけですよ。先輩も見たことあるでしょ?工場内でディスを追いかけて走り回る俺の事・・・」

「まぁディスちゃんは天真爛漫だからな!しょうがねぇ、しょうがねぇ!」


 どっちかって言うと傍若無人では・・・?


 フロイデはガハガハと笑いながら、徐に缶コーヒーのプルタブを引き上げた。


「それで、何を悩んでるんだ?」


 カシュッと音が鳴ると、彼はユウと同じように、コーヒーを一口、口に含んだ。


 ・・・こういうのも苦手だ。

 心の内を曝け出す。この行為に抵抗感が無い人間なんているだろうか。


 ユウは茜空を見上げながら、ゆっくりと口を開いた。


「実はこの前、更衣室で─────────」


 いや、いないはずだ。

 だから俺は、あの事を誰にも相談せずに生きてきた。


 次第に話に熱がこもり、握りしめていた缶から潰れる音が聞こえる。


「俺が悪いんですよ!俺が通知に従わなかったからこんなことに─────────」


 でも、なんでだろう・・・

 この人になら話しても良いと思えてしまう。


 そんな息を荒げるユウの隣で、フロイデはただ黙って、彼の言葉を聞いていた。


「だから、ウィールの言うとおりに、このまま有耶無耶に疎遠になるのが一番なんです!」


 そう言い切ると、公園内を風が吹き抜け、木々を大きく揺らした。

 葉擦れの音が鳴り響くと、それを合図に、周りの街頭に明かりが灯り始める。

 次々に灯る明かりに、夜の始まりを感じながら、フロイデは静かに缶コーヒーを煽った。


「そうだなぁ・・・」


 フロイデは背もたれにもたれ掛かり、空を仰ぎ見ると、ベンチ脇の街頭にも明かりが灯った。

 彼は眩しそうに目を細めたが、街頭から顔を背ける事はしなかった。


「ウィールに従って、そのまま疎遠になるのも良いし、我慢して友達関係を続けるのも良い。そうすりゃみんなと同じように、無難に幸福に生きられるだろう。それもまた、正しい生き方なのかもしれない」

「・・・」

「でもきっと、納得はできないだろうな」


 フロイデはユウの顔を見て微笑むと、そのまま立ち上がり、自販機の方へと歩み出た。


「「あれでよかったのか?」「もっと良い方法があったんじゃないか?」って、しこりを残したまま爺になって、気づいたらどっちかが墓場の中。後悔を抱えたまま、あの世行きだ。なんでそんなことになるかって?」


 ユウは歩いていくフロイデの背中を目で追い、次の言葉を待つ。


「そりゃ、自分で選んでないからさ」


 フロイデは残ったコーヒーを一気に飲み干すと、缶を握りつぶした。


「選ぶってのは、分かる事と分からない事の間で、多くの選択肢の中からたった1つを決める事を言うんだ。目の前に提示される最適解を鵜呑みにする事じゃ断じてない。どれだけその最適解を選ぶことが正しくても、他の選択肢が全て間違いだったとしても。そこに他の選択肢が無ければ、何も選んでないのと同じなんだ。同じなんだよ・・・」


 フロイデが自販機横のゴミ箱に潰れた缶を投げ入れると、缶と缶がぶつかる虚しい音が辺りに響き渡った。

 暫く音の止むのを待ってから、彼は震える声を振り絞り、ユウに最後の言葉を伝えた。


「だからお前は、自分で決めろ」


 耳に留まって木霊する空虚な音を聞きながら、彼はただ呆然と音の鳴る方を見つめ続けるのだった。



 時間は過ぎ、次の訪問日を迎えた。

 フロイデ宅前まで来たユウはいつもの様にインターホンを鳴らそうと、指を突き出した。

 指先がボタンに触れ、その冷たさを感じながら、彼は神妙な面持ちで、その場で静止した。


「押さないの?」


 ディスは首を傾げて、ユウの顔を覗き込む。


「・・・これ押すのは、俺が決めた事なのか?」

「どうしたの、急に?」


 ユウは暫く黙り込んだ後、決意した様に、ゆっくりと指先を押し込んだ。



 キッチンから、紅茶を持ってシャーデ―が現れた。


「ごめんなさいね~。あの人ったら・・・」

「いえ、お構いなく」


 つい先ほどの事。

 いつもならば、シャーデ―が玄関を開け、ユウ達を招き入れ、遅れてフロイデが挨拶にやってくるのだが、今日に限ってフロイデは姿を現さなかった。

 不思議に思ったシャーデ―が彼の自室のドアをノックすると、大声が返ってきた。


「ちょっと今、手が離せねぇんだ!先にリビングで待っててくれ!」


 シャーデ―は、ユウとディスに頭を下げると、そのままリビングに案内したのだった。


「最近ずっと部屋にこもりっきりで・・・お客様が来てるって言うのに恥ずかしいわぁ」


 シャーデ―の後ろには、パンケーキの載ったお盆を持ったディスがついてきていた。


「何か、されてるんですか?」

「さあ・・・聞こうにも、通知が来ないのよねぇ・・・」

「ああ・・・それはなかなか聞きづらいですね。夫婦・・・家族間だからって、強引に聞くわけにもいきませんもんね」


 ユウはシャーデ―とディスと一緒に皿を並べながら、それとなくアシストを出した。


「家族でも、聞く時は聞いた方が良いと思うけどな~。もしシャーデ―さんが聞きづらいなら、私が聞いてきましょうか?」

「そうねぇ・・・」


 シャーデ―は椅子に腰かけると、困った様に頬に手を当てた。

 考え込む彼女の様子をうかがいながら、2人も同じように椅子に腰をかけた。


「おい。家族でもない俺らが口を出す事じゃないだろ」

「何言ってるの、ユウ君。私はもう、シャーデーさん()の孫の気分だよ!」


 ユウは、隣に座ったディスから軽い肘打ちをもらった。

 視線を向けるわけにはいかなかったが、ユウのアシストを称賛しているようであった。


「ふふ。ディスちゃんが孫なら、きっと毎日楽しいわね」

「無理に付き合わなくていいですよ、シャーデーさん」

「どうですか?もう一人、孫、増やしてみませんか?今なら、ユウ君もセットでついてきますよ?」

「俺が孫は無理があるだろ、年齢的に見てもお子さんの方が─────────」

「増やすも何も、私たちに孫はいないわ」


 そう言うと、落ち着いた様子で、シャーデ―は紅茶の入ったカップを持ち上げた。


「もしかして、お子さん、まだ結婚されてない、とかですか・・・?」

「違うわ。私たち、子供をもうけなかったのよ」


 穏やかな表情で香りを楽しんでいるシャーデ―に対し、ユウとディスの表情は強張った。


「それはどういう・・・」

「ウィールに言われたの。私達、人間としての相性は良いんだけど、子への遺伝的な相性はダメみたいで、重度の障害を持った子が生まれるから、子供はもうけない方が良いって。若いころは随分とその事で思い悩んだわ~」

「ウィールに結婚する時に言われてたの。子供はもうけない方が良いって。でも、ほら、ウィールって理由は教えてくれないじゃない?だから私達は納得できなくて、病院で検査を受けたの。そうしたら、遺伝的な相性がダメだったみたい。重度の障害を持った子が生まれる、そう診断されたわ。人間としての相性は抜群なのに変な話よね~」


 困った様に肩をすくめ笑う彼女に、ディスは頭を下げた。


「ごめんなさい。私、無神経でした」

「いいのよ、気にしないで」

「でも・・・」

「確かに昔は思い悩んだ時期もあったわ。でも今では、あの時の選択は正しかったって思ってるの。本当よ?」


 シャーデ―は、顔を上げるディスに微笑みかけると、カップに目を落とした。

 立ち上り、左右に揺らめく湯気を見つめながら、懐かしむように話始める。


「映画館に行ったり、植物園に行ったり、旅行に行ったり、時には家の中でまったりしたり、とにかく沢山の時間をあの人と共有できたわ。一緒に泣いて、笑って、喧嘩して、喜んで・・・かけがえのない2人だけの思い出。それが沢山あるんですもの。私はちゃんと幸せだったわ」


 シャーデ―が優しく語り終えると、そのままベランダに目を移した。

 そこには日光を浴び、枝葉を茂らせ、伸び伸びと育つ植物達。

 今度は室内に目を移した。

 そこにも水を与え、肥料を施し、毎日言葉をかけた植物達。

 彼女は目を細め、手塩にかけて育てた植物達を眺める。

 その視線はまるで、我が子の成長を優しく見守る母親の様であった。


 その穏やかな沈黙を壊したのは、廊下から聞こえた重く、鈍く、床に伝わる異様な物音だった。


「あら、なんの音かしら?」


 シャーデ―は席を立つと、廊下のドアを開けた。

 心配そうに暗い廊下を覗き込むと、今度は何かが床に叩きつけられた様な大きな音が鳴った。


「フロイデ?」


 ただならぬ状況にユウとディスも席を立ち、シャーデ―の後ろに続く。

 4人は恐る恐る静まり返る廊下を進み、フロイデの自室のドアを開けた。


 そこには床に倒れているフロイデの姿があった。


 シャーデ―が悲鳴を上げ、フロイデに縋り寄る。

 マリオンがすかさず救急車を呼び出し、ディスはフロイデの容態の確認に入った。

 それぞれがフロイデを助けようと動く中、ユウは1点を見つめていた。


 床に置かれた大型のミキサーや乾燥機を避け、彼はゆっくりと机に近づくと、それを手に取った。

 それは四辺が酷く歪み、厚さも均一ではなく、今にも崩れそうに脆い、濁った色をした1枚の紙切れだった。

 そしてその紙の裏を捲ったユウは、書かれていた言葉を目にした。

 それは確かに大切な言葉であった。


 シャーデ―に視線を向けたその時、示し合わせたかのように勢いよくドアが開かれる音が聞こえた。

 すぐさま、ユウはその紙片をポケットにしまい込む。


 その次の瞬間には、救急ドローンが部屋に突入し、迅速にフロイデを担架に載せると、様々なパッドを体に貼り付けていく。

 ユウ達は、シャーデ―がフロイデの名を呼びながら必死に手を伸ばすのを抑えつつ、ただその光景を無力に眺めている事しかできないのであった。


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