『変わってる人』は誉め言葉なのか
突然ですが、あなたは「変わった人だね」と言われた事があるでしょうか。
私はあります。それこそ小さい頃から現在に至るまで数えきれない程に。
その言葉は誉め言葉なのか、それとも遠回しの揶揄なのか未だに分かりませんし、かと言ってこれまでその言葉の持つ意味合いを深く考えた事も理解しようとした事も無く、しかし最近になってふと「そういえば『変わった人』ってどういう人なんだろう」という疑問が脳裏を巡り始めたので、この場を借りて『変わった人』とは一体どういった人物を指す言葉なのだろうか、そしてその言葉は果たして誉め言葉なのか揶揄なのかという事を私なりに推論していきたいと思います。
まず私が私自身を俯瞰した時に感じた私の一番変わったところは――
『周囲の目を気にせずマイペースで単独行動が多い』
これでした。 「それくらいなら普通なんじゃないの?」と思われる方も居るかも知れませんが、私は昔から集中力に関する頭のネジが一つか二つほどぶっ飛んでいるようで、現在の仕事環境で言うと身体を使う作業だろうと頭を使う事務仕事だろうとやり始めたら黙々と延々とひたすらやり続けます。
もちろん要所要所での一服やトイレ休憩などはしますが、不真面目が嫌いという私の性格も助けていわゆるサボりやおしゃべりなどはしません。 ゆえにそうしたサボリやおしゃべり癖のある人たちからは次第に敬遠され、必然的に単独行動が多くなります。
ではなぜ私がそうした行動を取るのかというと、答えは至ってシンプルで、
『残業がしたくないから定時内に仕事を終わらせて定時で帰る為』です。
この思想が一部の人には全く理解出来ないらしく、同じチームの人たちに「残業したらそのぶん給料増えるじゃん」や「そこまで真面目にしなくても、もうちょっと気楽にやろうよ」と言われる事も多々ありましたが、生活出来るだけあれば必要以上のお金など求めませんし、私は私自身が真面目でいる事こそが気楽なので言ってしまえば大きなお世話です。
ここまで纏めてみましたが、人が特定の誰かを『変わった人』と印象付ける場面というのは『自身のこれまで培ってきた価値観の枠から大きく外れている』場合に起きるという事が何となく理解できました。
次に私自身が変わっているなと思った要因は――
『役職や年齢関係無く言いたい事はストレートに言う』
でした。 一つだけ断っておくと、そうは言っても別に誰彼構わず喧嘩腰に振舞うという訳ではなく、たとえば特定の上司の発言や態度が倫理に反するものだったり、昔からこれはこうしているからと効率の悪いやり方を押し付けられたりした場合、本来なら相手の立場上反論し辛い状態なので泣き寝入りしたり唯々諾々と従ったりすると思いますが、私はそこで自分の思っている事を全て素直に口にします。
当然相手からしてみれば、立場は自分のほうが上のはずなのにそれより下の者に反論されるのはあまり心地が良くないようで、経験上相手に十中八九嫌われます。 昔から私が嫌われる人にはとことん嫌われてきたのはこうした背景があったからこそだったのでしょう。
そうして嫌われたり敵が多かったのは事実ですが、その1か0かの極端にさっぱりした性格のお陰と言えるのか好かれる人からはとことん好かれたり特別愛想良くしてもらったりと悪い事ばかりでは無く、むしろその性格が人間関係フィルターとなり、私の人生にとって必要な人間と不必要な人間を分別してくれていたとさえ思っています。
さて、ここまで書き連ねて文章を見直してみると、本来の趣旨であった『変わった人の推察』というよりは私自身の自己紹介のようなものになってしまって少々照れ臭さに襲われましたが、よくよく考えてみたら私は『変わった人』で、私の自己紹介=変わった人、と成り得る筈なので表現的には間違えていないのではないでしょうか。(自分で言うのも何ですが)
他にも私が変わった人だと考えられる要因として、変人が多いとされているAB型の血が私に流れている事や『集団行動をしている内に気が付いたら一人になっている』『他人と行動を合わせるのが苦手』などありましたが、前者は血液型占いみたいなものであまり信憑性は無いですし、後者は上記の『マイペースで単独行動が多い』という性格ゆえに引き起こされている事は明白ですから、その一括りとして考えました。
『変わった人』――今回改めてこの言葉と向き合ってみて、ようやくその意味を感じ取れたような気がします。
もし、このエッセイを見て頂いた方の中で「何かこの人面倒くさそうだから関わりたくないな」と思われた方、気にしないで下さい。その思考はきっと正常です。
もし、このエッセイを見て頂いた方の中で「何か面白そうな人だな、ひょっとしたら気が合うかも」と思われた方、私と同じ『変わった人』かも知れません。
この世は十人十色。 単色一辺倒より見渡す限りカラフルな世界の方が楽しいですよね。 だから私にとっての『変わってる人』は、誉め言葉として受け取ろうと思います。