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1-6話 無事見つかりました!



(心配するフリくらいしろっつーの!!

てゆうかここに来て荷物預かったのってコイツじゃん)



まさかー!



(コイツが盗んだ!?)



店長は行き倒れていたコイツを両親が拾ったと言っていた。



コイツの財布事情は知らないが、ここも開店してさほど経っていないならたいした持ち金は無いんじゃないだろうか。



たしか指輪には名前は彫っていなかった。



結婚して指輪をもらった友達が不謹慎だが知った話として教えてくれた。



リングにイニシャルを彫る人もいるがそうすると買取価格が下がるらしい。



友達は豆知識と笑って、まあ私もそんな事しないけどと惚気て話していたが。



だからウエイターは指輪を見つけて魔がさしたんじゃないんだろうか。



これ以上、ここで指輪を探す事を諦めて探すのをやめてウエイターを見ていたからだろうか?彼もジッと私を見つめ返してくる。

 


なんなんだ。こっちが悪いみたいじゃん。



「何?」



沈黙が重くやり切れなくなって口を割ったが意外にも彼はこちらの心を読んだのか「いや、言っておくけど俺はとってねーから」と断言してきた。



「嘘」と声が漏れてヤバ!っと口を覆ったがヤツは表情を変えず壁に寄りかかっているが店長はこの空気を何とかしなきゃと思っているのか頭をかきながら「ごめんね。なんか嫌な思いさせてこっちでも指輪探しておくよ」と申し出られてお願いをする。



もしこのままー。



やましい事を考える。



もしこのまま指輪が見つからなかったらこのプロポーズは無かった事になるのだろうか。



スーッと身体が冷えてく。



そんな考えが思い浮かび本当に自分、最低なんだなという感情に涙が出てきた。



そんなとこを見てしまったからか店長ははいっとティッシュを渡してくる。



(私、ただの客なのに)



酔っ払いだし迷惑かけるし、怒りにまかせて自分の事お構いなしに気に触った奴疑ったりいまだ周吾のプロポーズ素直に受け入れられないし指輪は見つからないし。



(最低だ)



「すみませ、••」グスッと謝罪を連呼して2人に詫びる。



「『汝、隣人を愛せよ』」

急にウエイターがそう言ってきたので「はあ?」と間抜けに答えると「知らない?」この言葉と聞いて来たので「はい」と返事をするとやれやれみたいな顔をされた。



何なんだ。



「隣にいる奴を自分のように大事にしろと言っていう意味」とウエイターが説明すると店長が「それ、今話す事?」とウエイターの話を遮るのでなんだ、宗教の話かとつばきはまた引いた。



元ホストから宗教勧誘の話をされるのは御免だ。



「自分大事にしてますよ」自虐気味に答える。



大事にしすぎて自分の事ばっかで嫌になってくるけど。



本当の意味で大事にしてるかは分からないけど。



それに自分を大事にとかピンとは来ない。



「お前、彼氏の事相談する前惚気てたじゃん?」とウエイターに聞かれてしたっけ?とつばきはと考えてた。

すると店長が

「してたよ〜。それから突然指輪貰ったけど悩んでるんですけどって言われて女子は分からんって思ったけど〜笑」と言われ(あ!)となんとなく思い出してきた。



ウエイターはまた悩ましそうにお前がいると話がそれるとシッシッという仕草をしたが

「まあ、俺の作った酒、旨いやら天才やら言っていたけど•••。それは当然だが人を褒めるのが上手いみたいだな」



「それは•••、仕事柄」


お客様相手に会話をしながら仕事をしてるのでできて当然というかと迷っていると

「でもさあ、いい事だよ。ほら男って煽てられると弱いじゃん」と店長も自分を固定してくれた。



「なんか、ありがとうございます」と照れていると

「彼氏もそんなとこが惚れてるんだと思うよ」と言われて「でも周吾•••、彼とはその上手くやってけるのかって」



そうだ。恋愛と結婚は違う。

 


好きと上手くやっていけるかは=(イコール)じゃない。



「まあ、そんなに悩んでるんだったら本人に言えばいんじゃねえ?」

ウエイターがまた適当発言をしたので

「嫌ですよ!嫌われます」と大声で拒否する。



すれと、店長がニヤニヤして「嫌われたくはないんだ」と聞いてくる。



二人に冷やかされてる?と呆れていると

「結婚したらそれこそ喧嘩は増えるだろうな」とウエイターがいたずらっぽく言うと

「多かれ少なかれ話し合いの場を設けるのは大事だよ」と店長が意外にも真面目に諭すように答える。

 


そうなのか。確かにどんなに上手くいって見えそうな夫婦も喧嘩0のところはないらしい。



「まあ、相手もアンタの話じゃ顔はいいらしいし金もあるなら、案外またすぐ女作って結婚すんじゃねえ」ケタケタウエイターが笑う。

これには店長も「あるかも!」と同調していたので


「それだけは嫌!!」



大声を上げる。



すると

「じゃあ、やる事は一つなんじゃねえの?」とウエイターに言われてハッとなる。



「あ、でも指輪」

無くした事を周吾に謝らなくては。



振られるかな。自分。



虫がいいけど今更怖くなる。


「もう一回さ、トイレ探してみようか」

店長にそう言われ

個室に入る手前の洗面台の下を見ると

「あった!」



水色の箱の中身を確認するとちゃんと中には指輪がキラッと光っていた。


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