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第9話 劣等と変化

中間試験も無事に終わり、ようやく榎田とゲームができる。



と思っていたのだが、何故か僕らは地元の大型ショッピングモールに来ていた。

目的は買い物と映画である。


榎田の計らいで、名雪さん、秋山さんと四人で映画を見に行くことになった。



「仲良し四人組でショッピングモールで買い物と映画とか青春だねぇ」



榎田は飄々と言うが、僕の心は穏やかではない。

名雪さんと秋山さんの私服…。



以前の勉強会で見ているはずなのだが、失礼ではあるがその時は別に仲良くはなった。

だが教室で、図書室で距離が近くなった事で見る新しい"友達”は…綺麗だ。



正直恥ずかしい。



彼女たちを見る事が恥ずかしいのもある。

しかしそれ以上に、僕のこの見た目…私服がださすぎるのではないかと感じている。



厨二クサい服は卒業したつもりではある。

だが、その進化先は黒系統一。


全ての無難が詰まったこの黒系の服は僕の心に安寧をもたらしてくれる…はず。



榎田にこの服装がださいと言われたことはない。

しかし、目の前にいる三人に黒系はいない。


ファッション素人の僕でもわかる。

全員統一感はあるが、色彩豊かで季節を意識した爽やか、可愛い、綺麗である。



いますぐこの場から消えたくなる。



「それで、今日は映画以外にどこ行くの…?」



僕は恐る恐る眩しい三人へ尋ねる。



「そうだね~中間試験も終わったし、買い物してお昼食べて~

 映画見て~

 あ、ゲーセンもいきたい!」



今日も元気いっぱい名雪さん。

私服の彼女はまた可愛い…。

この三人の陽キャの中で一番眩しい。



「うちら最初服見たいんだけど、榎田と春江もくる?」



イメージ通りのギャル風の装いをしている秋山さん。

この二人の服装の系統は到底合いそうにないが、二人は同じ店を巡るのだろうか。



「榎田はどうする?」



僕は親友に意見を求めた。

こういう時は頼りになる親友の意見を聞くのが一番である。



「俺らは俺らで買い物したいから、買い物だけ昼まで班別行動しようぜ~」



男女の買い物は時間の流れが違う。

僕は以前、ネットの記事で読んだことがある。


僕らは名雪さんたちといったん別れ、僕は榎田についていくことにした。



「ところで榎田、何を買いにいくんだ?」



「それは…きまってるだろ」



不敵な笑みを浮かべる榎田。

僕にはわかる。

こういう時の榎田は良からぬことを考えている。



「服だ!

 その黒統一の服をイメチェンしようぜ」



やっぱり。

僕の服をイメチェン…?_

それってつまり。



「正直ずっと思っていたが、春江の服はださい…とまでは言わないが地味だ」



地味…。

こいつはエスパーか。

さっき僕が脳内で考えていた事を言葉にしてきた。



「そ、それはわかっているが… 

 具体的にどうするんだ…?」



「俺に任せておけ

 さ、行くぞ」



僕は榎田の後を追いかけ付いていくと、その先には安くも若者に人気の洋服店がそこにはあった。



「コーディネイトは任せておけ」


榎田はにかっと笑うと僕へ着せる服を選び始めた。


正直不安だ。

どんな服を着せられるのか。





――どれくらい着せられていたのだろうか。



「よし、これが良いな!」



榎田のゴーサインでコーディネイトは完成した。


僕は目の前の鏡を見つめると、そこには先程までの"黒"とは正反対の清楚、爽やかが似合う好青年が目の前に立っていた。


誰だこれ。



「めっちゃいいじゃん春江!」



榎田も絶賛している。

良いか悪いかで言ったら確かに良い。

しかし、これが自分なのか不思議な感覚に陥る。



「まだ10時か

 よし次行くぞ」



僕は着せられた服をそのまま購入し、次に訪れたのは薬局。


何故薬局…。

榎田はルンルンで足を弾ませながら一直線に整髪料コーナーへと向かった。


僕はもう何をされるか想像できた。



僕は生まれてこの方、髪のセットなんかした事がない。

ワックスなんてどう使うのかわからないが、僕は榎田にされるがままに髪をいじくられていた。



「春江はやっぱり身だしなみしっかりするとかっこいいじゃん」



榎田の笑顔がこのイメージチェンジの成功がわかる。

しかし、何故ここまで榎田は急にしてくれる気になったのだろうか。



「俺は嬉しんだよ

 春江がこの前約束した通り、一歩前へ進んでくれたことがさ」



あぁ…

気が付けば僕は一歩間へと進んでいた。

テスト勉強会の時も、榎田が先に帰っても僕は榎田なしで二人と勉強という名目で他の人間と交流を築けていた。


これが変化というやつなのか。



僕はこの変化を少しの意識をきっかけで自然とやれていた。

いや、正確には名雪さんの行動力のお陰でもある。


彼女は自然と僕の心を。

あのハンカチの一件の際も、僕から自然と謝罪と事の経緯をゆっくりとだけど話す事ができていた。


秋山さんも僕のドジきっかけに話しかけてくれて、今では自然と話すことができる。



僕は友人に恵まれているな。



「さて、そろそろお昼時だし

 彼女たちに春江にイメチェン姿をお披露目しにいこうぜ」



あ…僕はこれからこの新しい服と髪型を彼女たちにお披露目するのか。

仲良くなった彼女たちは何て思うだろうか。

笑われないだろうか。


急に不安でいっぱいになる。


榎田に連れられ、待ち合わせのお店へと向かう。

内心、何ということはないとわかってはいる。


だけどやっぱり僕はまだ変化が…その変化を見られることを恐れているんだ。、



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