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第11話 陽キャの祭典

――今年もやってきた。陽キャの祭典"体育祭"。

僕はこのイベントが学校行事の中で最も苦手だ。



別に運動が苦手なわけでは…ないわけではないが…。

それよりも何よりも僕はチーム一丸となってというイベントが苦手なのである。



最近はようやく話せる友達も増えてきたわけではあるが、それでも僕はクラスメイトの大半の人の事をまだ知らない。



「それでは体育祭の出場競技を決めるからな

 一人二種目は絶対だからな」



ホームルームの時間。

担任の吉岡先生は、黒板に次々と競技種目を書いていく。



チーム対抗リレーや障がい物競争、玉入れや借り物競争など多岐にわたる。

正直ここは簡単に終えられる競技に入り、できるだけ静かな体育祭を終わらせたい。


僕が狙うのは玉入れ、そして大縄跳び!



僕が思う中で一番楽な競技はこの二つ。

そして、競技の参加人数も多いから倍率も低い。

これで今年の体育祭は乗り切れる。





――何故こうなったのか。

両競技の参加権をかけたじゃんけんに全敗…。

僕が何をしたというのだ…。

神様も陰キャに厳しいのか。



こうなるとどれに参加したものか…。



「春江君、災難だったね」



じゃんけん全敗事件を見ていた名雪さんは僕を憐れんでいる。



「ねぇねぇ、一緒に男女混合の二人三脚にでない?」



え。

名雪さんと二人三脚?



「私も出たかった競技出れなかったからさ~

 そんなに運動部も少ない二人三脚良ければなと思って」



それは有難い申し出だけど…女子と人三脚…?

無理無理無理。

しかも学年上位カーストの美人と。


周りからなんて言われるのか考えただけで胃がいたい。



「はい!春江君と二人三脚決まりました!」



更に、え。何勝手に…。



「お、男女混合二人三脚は皆恥ずかしがって決まらないから助かるぞ」



吉岡先生は黒板に僕と名雪さんの名前を、白いチョークで刻む。

本当にいいの?

あぁ榎田以外の男子の視線がこわい。



「勝手にごめんね!」



両手を合わせて謝る名雪さんは可愛い…。

まぁ、結果的に二人三脚はそこまで運動部も多くない競技だからいいか。


そんな複雑な気持ちでいると吉岡先生は残る競技の書き出しをしていた。



「埋まらなった競技はじゃんけんで決めるからな」



結局僕はどれも選ぶことができず、残ったクラスメイトでじゃんけんとなった。

せめてこの場だけ勝ちたい。



「じゃあ春江は学年クラスリレーな」



負けた。

最終的に決まった学年クラスリレー。


星稜高校では1年から3年まで各学年6組まで存在する。

学年クラスリレーは各学年の1・2組、3・4組、5・6組のチームに別れ、各クラス1名ずつの1チーム計6名の選手でリレーを行うという、苦行の種目である。



普段は運動部が基本的に参加するのであるが、今年は運動部は部活動対抗リレーなど多種目の追加により最後まで余った学年クラスリレー…。



「春江がクラス代表でリレーに出るとは、俺は嬉しいぞ」



だから親目線かよ。

いつも通り…というのも変な話だが、僕は榎田にツッコミをいれる。





僕の体育祭の種目も無事に決まり、明日から体育の時間とホームルームの時間を使い体育祭りの練習が始まることとなった。



体育祭は3週間後。

今から僕の気持ちは既に憂鬱であった。



「ねぇねぇ春江君!」



今日の放課後。

僕は帰り支度をしていると名雪さんに話しかけられた。



「どうしたの?」



鞄を持ち、既に下校の準備を終えている名雪さんは一緒に帰らないかと誘ってきた。



「二人三脚一緒に出るんだし、練習しながらかえろ?」



悪戯な笑みを浮かべ話しかけてくる彼女は、絶対に僕の事をからかっている。



「ごめん!それは冗談!

 でも一緒に帰らないは本当」



断る理由は特にないし、僕は名雪さんと一緒に帰ることにした。

下校中、今日のもちろん話題は体育祭の種目となった。



「春江君、クラスリレー頑張ってね!」



あぁ…そのワードだけで三日は引きこもれる。

早く終わってほしいが、クラスの代表となってしまった以上、手を抜けばクラスの…果ては先輩方からのブーイングも食らうことは明白である。



「まぁ…足を引っ張らない程度には…ね」



「二人三脚もあるし、今度の休みリレーの練習付き合おっか?」



それは有難い申し出だが、休みの日に名雪さんと…?



「え?二人で?」



次に出た言葉は二人でなのかを確かめる言葉であった。

よくよく考えると、どうとも捉えれるこの言葉のチョイスは気持ち悪かったかもしれない。



「そうだよ?

 やだ?」



嫌なわけはない。

僕は全力でその言葉を否定すると、僕らの体育祭へ向けた練習が始まったであった。



この体育祭を通して、僕の心が大きく揺れ動くとは今の僕には想像もできなかった。

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