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暗闇の空間 4

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 ……終わってしまいましたね。二つの視点から展開されたこの物語も、ついにエンディングのお時間となってしまいました。

 壮大な時間をかけて挑んだこの『暇潰し』だったのですが、終わるとなるとやっぱり寂しいものがあるというものです。まあそれも風情の一つと捉えさせてもらいましょうか。

 しかしですね、まさかセバスチャンがああ言って仕上げとするとは思ってもいませんでしたよ。当初の予定では、『刀銃の左腕が治った理由』を言ってもらうつもりだったのですがそれをまさか裏切りと……ああ、すいませんね皆さん。説明不足で。これは簡単な理由なんですよ、皆さん。

 刀銃は左腕を撃たれる時、徳永切裂によって銃弾を庇われていたのです。つまり、刀銃は撃たれてないのですよ。十五年前、刀銃は虐待の傷以外は全くの無傷だった訳です。

 しかし刀銃の左腕は動きませんでした。それは間違うことのない不変の真理です。

 では何故、刀銃の左腕は動かなかったのか。答えは簡単なんです。両親に撃たれるとは思っていなかった刀銃の……トラウマだったんですよ。当然と言い切ってしまえば、成る程確かに当然なのです。虐待はされても殺されることはないだろうと信じていた刀銃。しかしながら両親は実際に銃を所持し、自分を撃ってきた。その時照準に入っていただろうと思われる刀銃は、そのせいで自分の左腕を動けなくさせてしまいました。

 ヒーローはそれを知っていていたのです。皆さん。最初のシーンを思い返してみてください。そう。最初のカフェテリアでヒーローと刀銃が会話をするシーンです。

 あの時、ヒーローは刀銃に向かって、無神経にも両親の話を持ち出しました。

 ですが、何かおかしくありませんか?

 そうです。そうなんです。

 何百年も生きているヒーローが……そんな失態をおかすなど有り得ないにも程があることなんですよ。

 更に、決定的なのはその後のヒーローと刀銃の会話です。ヒーローは刀銃に右腕の調子を聞きました。何かの金属を入れたから調子はどうだいとか何とか理由をつけて聞いていましたね、ヒーローは。

 そして刀銃は右腕の調子を確認しました。

 ではここで、一つの問い掛けです。

 刀銃は……どうやって右腕の調子を確認したのでしょうか?

 答えは単純明快です。しかしその答えが明らか過ぎて、皆さんはスルーしてしまったのです。

 そうなのですよ。

 刀銃の左腕は、この頃から少しではありますが動いていたのです。

 それは、両親のトラウマが払拭されてきたからに相違ありません。ヒーローと毎週というように喋り、最後の悪の息子だから近寄ってこなかった為友達が出来なかった刀銃に……私達が生み出した叶香里という存在を与え、友達というものに初めて触れることが出来た訳です。

 そして、少しずつトラウマが消えていく刀銃。

 それに呼応するかのように動き出す左腕。

 ですがここで誤算があったのです。徳永切裂を殺す復讐者が、かなり早い段階でこの街に入ってしまったのです。とりあえずの処置として佐藤栄作の記憶を少し消させてもらいましたが、やはり苦肉の案。記憶は戻り、動き出すのも時間の問題でした。

 仕方なく私達は刀銃に強制的に、いじった徳永切裂の記憶をコピーペーストさせ、左腕を動かすようにさせました。

 そして巻き起こる二つのバッカーノ。

 復讐劇と救出劇。

 それらが終わりを告げる、この高揚感。

 ああ……楽しかったです。本当に。満足しきることが出来ました。暗闇の空間の皆さんもご協力、感謝します。特に遊園地での刀銃と西山あゆみに対するカモフラージュの為の五、六人の協力者さん達。あなた方には本当に感謝します。途中、高梨和也に疑われたようですが、大丈夫でしたか? ……そうですか。今でも地下で尋問を受けているのですか。後で誰か、瞬間移動をしてあげてください。私からのお願いです。命令……と言った方がいいかもしれませんね。とにかく、お願いしますよ、皆さん。

 さて。色々ありましたが、これからあなた方を元の世界に帰らさせてもらいます。……ですがしかし、残念ながら暗闇の空間の情報を露見させる訳にはいきませんので、暗闇の空間の存在だけは記憶から消させてもらいます。ご了承とご理解の旨、よろしくお願いします。

 ではでは、さようなら皆さん。楽しい一時でしたね。

 またの機会を楽しみに…………って、へ?

 何を言っているんですか、セバスチャン? あなた、裏切るふりをしておきながらやっぱり私に逆ら……何ですと?

 ……ちょっと待ってくださいよ。本当に、これを言ってしまっていいのですか? ……いいんですね? じゃあ言いますよ? 後悔しないでくださいよ? 知りませんよ、私は。どうなっても私のせいではありませんからね。

 すいません、ごたごたしました。もう少しお待ち下さい、皆さん。

 えー、ゴホン。

 最後の最後になりますが、一つ伝えさせてもらいます。


 真実には、嘘偽りが含まれる場合があります。それはいついかなる状況でも起こる事象であり、私達も含めた全員はそれに逆らうことが出来ないのです。


 ヒーロー。

 叶香里。

 西山あゆみ。

 セバスチャン。

 学校の先生。

 川田まみ。

 山田ことこ。

 柳田亜希子。

 門番。

 西山よしえ。

 徳永切裂。

 高梨和也。

 高梨の妻。

 ヒーロー夫人。

 佐藤栄作。

 刀銃。


 この中で。

 私は一体誰でしょう?

ネタバレ含みます。

長く長く続いたこの話も、とうとう終わりまで書き切ることが出来した。いやはや、本当に長かったです。自分の人生で、初めて単行本一冊分以上の物語を書き切ることが出来ました。プロット、構想、制作等など諸々の時間を全て足すと、かれこれ8か月くらいですか。その間迷走に迷走を重ねて、何度も逃げたしたくなる自分を抑えたものです。頑張った、自分。テスト期間中も書いてた自分を褒めろ、自分。

さて、と。ヒーローがいるのに平和な街はこれにて完結です。結構曖昧な終わり方をさせましたが、一応プロット通りですので、自分には何の後悔もありません一番思い通りにいかなかったのは……佐藤君だな……あーあ。

あ、一応傍観者が誰なのかは推理出来る形になっています。まあ推理といっても針の穴通すみたいにくだらない話でわかる仕組みになっておりますので、正体知るくらいだったら知らないままにしておいた方がいいのでは……と思い、あえて書きませんでした。これからも書く予定はありません。


因みに次回作はもう構想が出来あがっておりますので、もう書くだけの状態です。今度は完全に一部始終鬱になりそうです。会話の掛け合いさせたいなーホント。




ではでは。

ヒーローがいるのに平和な街。

読了、ありがとうございました!

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