人生って、何だろう。~加奈Side~
今回の小説には、暴力表現や性的表現が含まれます。
実際に経験された方や、苦手な方、トラウマなどがある場合は見ないことをお勧めします。
また、今回の話は鬱なストーリーになっています。あらかじめご了承ください。
私は何のために生きているんだろう。
親はただ性交したいという理由だけで私を産んだ。つまり私の誕生は望んで行われたわけでは無かった。
私はいつも学校の中ではトップクラスに頭が良かった。周りのクラスメイトからも担任からも一定の評価を得ていた。体育もすべて上手くできていた。部活などでも県大会や全国大会に進出するレベルを持っていた。しかし、私がこのトップクラスの成績を持っているのはそういった理由ではなかった。
私はいつも、勉強面では定期試験で上位TOP3もしくは全教科95点以上取らなければ父親に殴られてしまうからだ。
私の両親はいわゆる毒親である。父は暴力暴言タイプの毒親、母は過干渉、過保護タイプの毒親だった。
時はさかのぼること二年前。定期試験で70点を取ってしまった時の事。
父「おい加奈!!テメェ70点ってどういうことだ!!こんな点を取る奴に育てた覚えはねぇぞ!!今回はマジで許さねえ…歯ァ食いしばりやがれ!!」
―――ドガッ、バキッ
加奈「っ、ご、ごめんなさい…」
父「ああ!?聞こえねえんだよバカが!!」
――バンッ
90点以下の点数を取るといつもこうして殴られ蹴られる。それも口や鼻から血が出るほどに。
両親曰く私をエリートに育て上げて一流企業に勤めさせ、その稼ぎで暮らして行こうとしているらしい。つまり金づるにされているのだ。今も私はバイトをしているが、その給料の9割を親に持っていかれている。バイトしたくないと反抗したこともあったがその時は家を追い出されたこともあった。
母「だからもっと一生懸命に勉強しなさいって言ったのに…どうしてこうなるのかしら…」
母は私が説教を受けている間ずっと泣いている。廊下には私が説教、暴力を受けている様子を楽しそうに伺っている弟、奏斗がいる。ずっとクスクスと笑っていた。
奏斗は私とは別の高校に通っている。高身長でいわゆるイケメンの奏斗はいつも待遇されていた。学校でも一軍の陽キャらしく、よく私のことをバカにしてくる。
数時間後。両親があきれたように怒り部屋を出て行ったあと、私は一人、部屋でケガの手当てをしていた。両親がすべて正しい。私はすべて間違い。昔から刷り込まれた教えをもとに、そう思い込んで心の苦しさを抑えた。
―――翌日。
美咲「加奈!その傷どうしたの!?」
私の唯一の友達、美咲が駆け寄ってきてくれた。でもこの傷の事情はバレたくない。なぜならそのことが知れたらまた父に殴られるかもしれないからだ。
加奈「大丈夫だよ!昨日顔から転んじゃっただけw」
実際は全然大丈夫じゃないけど。でもこうするしかないのだ。
―――夕方。
学校が終わり家に帰ってきた加奈。本当は帰りたくないがここしか帰るところがないから仕方なく帰っている。
加奈「ただいま,,,」
母「お帰り加奈。門限には間に合ったわね。」
加奈「うん…」
母「今日の復習と明日の予習しときなさいよ。あと課題も出ているならやりなさい。」
加奈「わかった…」
加奈は自室に入り勉強を始めた。
それから1時間ほどたったころ、奏斗からLINEが届いた。
なんだろ、と思ってみるとそこには一言書いてあった。
「奏斗 今夜話したいことがあるから部屋にいて」
話したい事?何のことか見当もつかなかった。
―――それから数時間後、夜。
加奈は制服のまま奏斗に言われた通り自室にいた。
「コンコン」
奏斗だ。
加奈「はーい」
しかしここで怪しんで部屋に入れなければよかった。
奏斗「時間大丈夫だよね。」
加奈「うん。それで話したいことって?」
加奈は奏斗に誘われるようにベッドまで連れていかれた。
奏斗「俺さあ、すげえ疲れてるからさ…加奈に癒してほしいんだよね。」
加奈「うん…でも、どうやって?」
奏斗「…体で。」
奏斗は不敵な笑みを浮かべて加奈に近づいた。加奈は一瞬でその言葉が何を意味しているのか理解したようで、すぐに部屋から逃げようとしたが、素早く奏斗に腕を掴まれてしまった。
加奈「やだっ!離して!!」
奏斗「静かにしろよ。今からいいことするからさw」
奏斗は加奈の制服を無理やり緩め、下着もどかして“それ”を露出させた。
加奈「いっ…やだぁ…」
加奈は半泣きになりながら拒否するが奏斗は一向に止める気配がない。
奏斗「大丈夫だって。痛くはしないから。」
奏斗は抑えきれないと言った様子で下半身を露出した。加奈は人生で初めて見せつけられたそれに恐怖を覚え、顔が一気に青ざめていった。
奏斗「あっ、びっくりした?実はさ、俺デカいんだよねえ♡」
加奈は自分より力のある奏斗に抵抗することもできずになされるがままの状態だった。
その後、加奈の身体は奏斗の欲のままに貪られていった。
―――事後。
奏斗「中々よかったよ加奈。いい癒しになった。またやろうね♪」
奏斗はそう言い残して加奈の部屋を出て行った。
加奈はぐちゃぐちゃにかき乱され、身体にはまだ白い液体が残っていた。
加奈「…っ…うっ…」
奏斗に犯された衝撃と性の暴力を振るわれたことによる心の傷で、加奈は精神的にも身体的にも深い傷を負った。
そしてこの時、加奈は初めて、
加奈「…死にたい…生きたくない…」
と、呟いた。
―――翌日。
美咲「おはよ加奈。」
加奈「……」
加奈はボーっとして美咲の挨拶を無視してしまった。
美咲(加奈、なんかあったのかな…目は虚ろだし歩き方もフラフラしてる。こりゃただ事じゃないな…)
美咲は加奈に何があったかを聞いた。すると、加奈は大粒の涙を流しながら美咲に心の内
打ち明けた。親の暴力のこと、奏斗の性暴力のことを。
―――保健室。
加奈は心に深い傷を負ったため、今日一日は保健室で休むことになった。と同時に、学校の担任から警察への通報、及び親への事実確認が行われたらしい。
私の心の中は不安と恐怖で溢れていた。家に帰れば父にまた暴行されるからだ。
―――時は経ち夜、家にて。
―バンッ
やはり予想していた通りに暴行を受けていた。
父「テメエ外部に口出ししやがって!!ふざけんじゃねえ!!」
―バキッ、バンッ、ドガッ
加奈「……」
加奈はもはや痛みも感じなくなっていた。
父「黙ってねえでなんか言えよ!!」
―――私、悪いこと、したっけ。
父「もういい、テメエは勘当だ!出ていけ!!」
―ガチャン
父は加奈とローファーを乱雑に一緒に締め出した。
加奈はおぼつかない足取りでフラフラと歩いて行った。
―――大きな橋の上。
加奈「ここから飛び降りて消えよう…って、あれは…」
橋の中腹あたりに人影が見えた。その人も橋の上からどこか遠くを虚ろに眺めていた。
その人はどこかで見覚えのある顔だった。
加奈「もしかして君は…」
???「…君ってもしかして…」
ファイナルストーリーへ続く
次回、颯太編です。